エチオピア情勢(2022年5月)

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久しぶりに最近のエチオピア情勢を。

4月のブログに「近々(今週か来週)2年目に入ったティグレ戦争に決着をつけるべく大きな動きがあるかも」と書いてからそろそろ2カ月経ちそうだが、今のところティグレ戦争での大きな動きはなし。

嵐の前の静けさなのか、このまま終戦に進んで行くのかは分からないが、思っていたより長く小康状態が続いている感じ。

そんな中、最近のエチオピアではアムハラ州がきな臭くなってる。

これまでアムハラ州の民兵組織や州軍はエチオピア政府軍と一緒になってティグレ州に攻め込んでいて、エチオピア政府とは“べったりな仲”なのかと思いきや…アムハラ州だけで4500人が逮捕・拘留されている模様。

どうやらアビィ首相は自身に批判的な人間や、野党、アムハラ民族主義者、ジャーナリストに対する弾圧を強めているようだ。もちろん裁判所からの令状などない逮捕・投獄。

YouTube動画にコメントして逮捕とかもあるらしい。

まずアビィに狙い撃ちにされているのが、アムハラの民兵組織ファノ。

ゆるーく組織されたアムハラ青年の武装自警団みたいなものだが、ティグレ戦争ではエチオピア政府軍と一緒になってティグレ州に攻め込んで民間人を虐殺したりしている。

ただ、エチオピア政府のために一緒に攻めたというよりかは、「西ティグレは本来は我々アムハラの土地だ!」という民族主義的な動機で、たまたま利害が一致していただけだったと。

エチオピア政府からすれば、ファノ民兵は連邦政府の指揮体制の外で活動している集団で、エチオピアの安全保障に対する脅威になりうる存在だから、ファノを弱体化させたい。

そこで政府がコントロールできるように組織しなおして、武器を登録制にしようとした。

ファノ側からすると、政府はファノを武装解除して解体しようとしていると捉えて、秘密裏に軍事訓練を行うなどしてエチオピア政府の間で緊張が高まっていたのだが、特に今月に入ってから衝突が続いている。

5月19日、政府軍がファノのメンバーを武装解除しようとしたため銃撃戦に。少なくとも2人が死亡し、15人が負傷。

同日、住民たちがモタとメラウィの町で集まって投獄された若者の釈放を要求するデモをしたところ、エチオピア政府軍とアムハラ州軍がデモ隊に実弾発砲し、不特定多数が死傷。

5月20日、アムハラ州軍とアムハラ州警察は、西ゴンダールで共同軍事作戦を実施し、ファノのメンバー3人を殺害。

ファノの指導者は「政府当局者は、我々が武器を置いて彼らの提案を受け入れなければ殺すと脅迫してきた」と述べたが、武装解除には応じるつもりはないと明言。

民兵組織ファノ潰し以外だと…

アムハラ州軍の司令官だったテフェラ・マモ准将が突然解任されたのは今年2月。

そして今月5月16日に行方不明に。

行方不明になる直前のテレビで放送されたテフェラ准将のインタビューで、ティグレ戦争におけるアビィ首相の戦略を批判したのが原因と思われている。

行方不明で騒いでいたら、どうやらエチオピア政府当局に(ほぼ拉致気味に)逮捕・拘留されていたようで、今後は裁判にかけられる模様。

アビィ首相的には、黙って思い通りに動くアムハラ州軍はいいけど、ちょっとでも批判しようものなら許さないってことなんだろう。

今月、エチオピア人権委員会がティグレ州での緊張の高まりに懸念を表明したりして、「近々ティグレ州での戦争が再燃する可能性が高い」とされているが、仮に再燃したとして…今までのようにアムハラ民兵ファノが参戦する可能性は低く、エチオピア政府軍側にとっては戦力的にマイナス要素。

一方のアムハラ州軍は批判的な司令官を拉致って裁判にかけちゃったから、今のところアビィに言いなりの従順な状態。

どっちにしてもエチオピア政府軍だけではティグレ防衛軍(TDF)に勝てないから、仲間が減ると色々と大変だと思うけど…大丈夫かな、アビィ。

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