Diamond Online『橋本聖子会長が「五輪反対は非科学的」と反論する根拠と理由』
橋本:オリンピック・パラリンピックは「平和の象徴」です。いろいろな世界的イベントがありますが、休戦決議ができているのはオリンピック・パラリンピックだけ。これが価値なんです。
オレが知らないだけかもしれないが、この東京オリンピック期間中に休戦している戦争があったら教えて欲しい。
これって国家間同士の戦争が主流だった時代には一定の効果があったかもしれないけど、今は逆に国家間同士の方が珍しいからな。
東京オリンピック期間中なのにターリバーンが攻勢強めてるのなぜですか?
そして、東京オリンピック期間中にもかかわらず戦争が続くエチオピア。
専門家でも何でもない、ただのティグレ・ウォッチャーの感想でしかないが…そろそろ「エチオピアのアビィ首相が亡命」とか有り得ない話ではない状況になっている気がする。
Jfblanc, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
反転攻勢に出たティグレ防衛軍(TDF)がアムハラ州に攻め込んで快進撃を続けている。
東部では世界遺産ラリベラを掌握。
Sailko, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons
「建てた」わけじゃなく、彫刻のように一枚岩をくり抜いて造られた聖ゲオルギウス聖堂はラリベラの教会群の中で一番有名。
個人的にはアフリカ大陸の中でも屈指の見どころのひとつ。中はダニだらけだけど。
最新の情報では、TDFはラリベラからさらに南下してアムハラ州ガシェナを掌握したようだ。これはアムハラ州を東西に繋ぐ主要幹線道路B22号線を寸断したことを意味する。
西部では先月末から世界遺産ゴンダール攻略戦が行われていた。
Bernard Gagnon, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
かつてのエチオピア帝国ソロモン朝時代の王宮群が世界遺産になっている。
戦略的には、ラリベラとは比較にならないくらいゴンダールは重要。
ゴンダールからはティグレ州中部と西部、あとはスーダンに続く主要幹線道路が伸びていて、この交通の要衝を抑えればティグライ州西部を占領しているアムハラ州軍は孤立して援軍も送れなくなる。
最新の情報では、相当アムハラ州軍とエチオピア軍が粘ったらしく、TDFはゴンダールを迂回。迂回して南に回り込んでA3号線を抑えるつもりのようだ。
A3号線を抑えられたら、戦略的にはゴンダールを掌握するのと同じ意味を持つかと。
一方、一転して攻め込まれる形になったアムハラ州。
アムハラ州大統領は7月25日にテレビ演説で「ティグリニャ人は全エチオピアの敵だ。敵を全滅させるまで我々は休まない」と大量殺戮を扇動するような発言をしている。
今週、今もアムハラの民兵が占領するティグライ州最西部のフメラで虐殺があったという報道も。BBCやロイター通信などの海外メディアも報じている。
テケゼ川の下流になるスーダン側に、上流のフメラから数十体(30~50体)の死体が流れてきた。後ろ手に縛られたままとか、両目を抉り取られていたりと処刑されたようで、オレも画像を見たがなかなかのえぐさ。
もちろんエチオピア政府は「プロパガンダ」と一蹴しているが、現在海外の専門家がファクトチェック中。
2週間前のブログでこんなことを書いた。
ガローウェ・オンラインの記事によれば…TDFはアファール州内の幹線道路と鉄道を抑えてアジスアベバの物流に打撃を与える戦略を立てているという話も。内陸国エチオピアの玄関口となっているジブチ港との大動脈(対外貿易の95%)を寸断されるとアジスアベバは非常に困る。
まぁ…距離的に道路はあり得る話だけど、鉄道はないだろうな。
そもそもアジスアベバ・ジブチ鉄道はアファール州をほぼ通っていない。厳密にはアファール州アワシュを通ってるけど、アファール州の先っぽをチョロっとかすめる程度。
現在、アジスアベバとジブチを繋ぐ道路と鉄道が寸断されて1週間以上が過ぎた。
この状態が続くと首都アジスアベバは深刻な燃料不足に陥り、ガソリンも配給制になるようだ。ティグレ州を兵糧攻めにしていたら、今度は自分たちが兵糧攻めされていると。
不思議なのが…このアジスアベバ・ジブチ道路と鉄道の封鎖をしているのはソマリ人で、しかも原因はティグレ州と関係ないのだが、なぜかTDFの目論見通りの結果になっていること。
ソマリ州シッティ県を巡る領土問題で、アファール州軍とソマリ州軍が激突。
7月24日(土)に、アファール州軍がソマリ州ガブライーサの町を攻撃。市民の少なくとも100人が殺害された。
これに怒ったソマリ人たちが、アジスアベバ・ジブチ道路と鉄道の封鎖をして首都アジスアベバを兵糧攻めにして既に1週間以上が経過。
しかもエチオピア国内のアファールとソマリの民族対立が、隣国のジブチにも波及。
ジブチ国内のアファールとイッサ(ソマリ系)の間でも衝突が起こって複数の死者を出すまでになり、ジブチ軍がエチオピアとの国境に兵を移動させている。
どうやら、ソマリ人はエチオピア軍がアファール州軍と一緒になって攻撃してきたと思っているらしく、反発の矛先がエチオピア政府にも向かっているのは頭で理解できるが…
そこからなぜ急に「アジスアベバ・ジブチ道路と鉄道の封鎖」をしようと思ったのか?がよく分からない。
ただただ(全く関係ないはずの)TDFが望んでいた通りに事が運んでいるのが謎すぎる。
アファール州とソマリ州の間で深刻な民族問題が再燃して、ソマリ人がTDFの思惑通りに動いてくれている…かと思ったら、
今週、アファール州軍の副司令官モハメッド・イブラヒムがTDFに合流。
これが事実なら、ついにTDFが自民族以外の仲間を得たことになる。
もはやカオス過ぎてよく分からないが…
なぜだか色々な状況はティグレ州にとって有利に動いている。
逆に言えば、アビィ首相にとってはどんどん不利な状況に。
TDFとの戦争で、エチオピア政府軍はほぼ崩壊。
さらに戦争のために巨額の出費(約2440億円)をしたことで、国家の財政状況もかなりヤバいことに。
さらにノーベル平和賞受賞者なのに、ティグレ州で民族浄化や組織的レイプを行ったアビィ首相。
去年11月に開戦してわずか2週間で勝利宣言をしてから早9カ月。
たぶんアビィ首相もオレと同じように「ティグレは百戦錬磨で決して侮れない相手だけど、地味な山岳ゲリラ戦が続くくらいでしょ?」と思ってたら、まさかこんなに強いとは。
エチオピアとエリトリアの二カ国の国軍に加えて、全エチオピアの州軍や民兵を送り込んで袋叩きにしたはずが、今や着実に首都アジスアベバに向かってきているという…
軍事史に残るくらいの出来事なんじゃないか?と。