この1週間のジンバブエ

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この1週間ほど、燃料不足に伴う小売価格改定(世界一ガソリンが高い国になった)に端を発してジンバブエ国内は完全にカオス状態らしい。

NGOジンバブエ人権フォーラムによると、この1週間で軍や警察の無差別発砲により死亡したのは12人、撃たれて怪我をしたのは78人、軍用犬・警察犬にかまれて怪我をしたのは242人(かみ過ぎ!)、逮捕・拘留されたのは600人以上とのこと。

逮捕されたエヴァン牧師は、SNSを通じて国民を扇動した国家転覆罪(禁固20年)で起訴される見通しだが、他の逮捕された人たち400人以上も“正義のために”保釈を拒否している状況だそうだ。

ちなみに、情報相は「抗議のデモに参加したらテロとみなす」と言っている。

まぁ、ガソリン代が世界一の高さになったどうこう以前の問題として、そもそものガソリンがないから国内経済はほぼ麻痺している状態。

経済だけじゃなく、地方自治体もサービスのほとんどを停止せざるを得ない状況になっているようで…

首都ハラレでは、この2週間ゴミ収集がストップ。

ゴミ収集車のガソリンがないことが原因だったのだが、先週金曜日にガソリンの配給を受けてゴミ収集を再開。ただ、ハラレ市のゴミ収集車16台に配給された分が枯渇したらその後のゴミ収集は出来るかどうか分からないそうだ。

チトゥンギザ市では、一部の地域で昨年12月以来ゴミ収集が出来ていなかったが、与党ZANU-PFの評議員が個人的に630リットルのガソリンを市に寄付してくれたおかげで、ゴミ収集を再開するという。

グウェル市では、ガソリンがないためゴミ収集車1台で市内全てのゴミを収集しているそうだ。

ちなみに…オレが行った2005・2006年の時もほぼ同じ状況だったが、その時は「ガソリンがないから牛車やロバ車でゴミ収集をはじめた」とニュースになっていた。

今の状況が続けば、衛生環境が悪化して腸チフスやコレラが蔓延するのも時間の問題かと。

ジンバブエ労働組合会議(ZCTU)は、ムナンガグワ大統領が突然発表した燃料費2.5倍の値上げに抗議して1月15日(火)~17日(木)までの3日間のストライキを実施。

そのため国内のスーパーマーケットが臨時休業となり、食料品が買えなくなった市民がパニックに。

多くの店舗が襲撃され略奪された模様で、ボツワナ資本のチョッピーズは9店舗が襲撃され、内4店舗が焼失したとのこと。

もちろん、どさくさに紛れてスーパーマーケット以外の家電量販店やオートバイ屋なども襲撃されて略奪されている。

ストライキ後の18日(金)に営業再開した時は、何百人もの人が押し寄せて買い占めに走り、軍が出動。ただ、18日は終日インターネットがシャットダウンしていたせいで、店舗のPOSが稼働しなかったとか。

なお、買い占めにより在庫不足に陥ったスーパーマーケットだが、仕入れの見通しは立っていないとのこと。

ジンバブエ最大の食用油やマーガリンなどを製造するオリバイン・インダストリーズ社が、深刻な外貨不足を理由に今月1100万USドル(約12億円)の負債を抱えて倒産。1950年設立のこの会社、10年前の経済崩壊を生き残ったものの、今回はダメだったようだ。

スーパーマーケットの仕入れ先がまたひとつ減った。

ちなみに…オレが行った2005・2006年の時もこれに近い状況だったが、その時は加工食品は不足していたものの、野菜などの未加工品は露店などで手に入った。イヤらしい話、金があれば(外貨を持っていれば)何とかなるため、オレ自身はひもじい思いはしていない。こういう場合、隣国からの密輸が増えるので物価は上がるが流通が全くのゼロになることはほとんどない。ただ、国境近辺は密輸のおかげで比較的物資は豊富だが、内陸に行くほど厳しくはなるけど。ニュースでは深刻な食糧危機で「腹ペコの国軍兵士が国立公園に攻め込んでゾウを狩って食べた」などと出ていたが、正直「え?今ってそんな状況なの?」と他人事だった。地域差はあるようで、現在も240万人に緊急食糧支援が必要な状況ではあるらしい。

当時の教訓をもとに予想すると…隣国から密輸が増える次の段階は、貨幣経済から物々交換経済に移行していくかも。

SNSで国民が結束するのを防ぐため、1月14日(月)から政府は断続的にインターネットをシャットダウンさせている模様。

政府の対応は憲法に違反するとして、人権のためのジンバブエ弁護士協会と南部アフリカメディア協会の2団体が裁判所に提訴しているが、どうなることか。

政府はシャットダウンを合法化させるための新たなサイバー法案を成立させるみたいだし。

分かりきった話ではあるんだけど、インターネットがシャットダウンされると国民生活を直撃するようで…

POSが使えないのもそうだし、ジンバブエ政府は公務員への給与をRTGSsで払ってたりするんだけど、インターネットがシャットダウンしていると口座にアクセス出来ない&お金を下ろせなくなり、「現金が枯渇してバスにも乗れない」状態になった公務員がいる模様。

というか、一般人だけじゃなく全部を止めたから政府系機関のシステムも当然のことながら止まって、ジンバブエ歳入庁のシステムも止まり…オンラインでの輸出入手続きも止まり…機会損失だとか支払遅延に伴う違約金などで国家として数百万USドルの損害が出ている模様。

1月19日(土)の報道によると、ジンバブエ政府は治安回復のため第2の都市ブラワヨの市内に重武装の軍を展開し、市内は静まり返っているとか。

そんな中、ムナンガグワ大統領は外遊中。

どちらも石油・ガス成金の国アゼルバイジャンからカザフスタンと、諸外国を歴訪している。

なんか、お金はないけどコーヒー、お茶、タバコを輸出するから石油をくれ!的な交渉に行ってる模様。

プチ情報だが、ムナンガグワ大統領は2030年までにジンバブエを中所得国にする目標を立てている。

まぁ…夢は大きい方がいいだろうけどね。

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