1998-2000【16】旅に飽きる

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第15話に続く第16話。

かつて1泊4日で超高速南下したマレー半島を、ゆっくりとジグザグに北上。

マレーシア

ポルトガル、オランダ、イギリスと列強の植民地だった時代の面影を残す古都マラッカは、オレが行った当時はまだだったが後年UNESCOの世界遺産にも認定された。

マレー半島の西海岸にあるマラッカから、逆に東海岸に移動しメルシンという町の沖合にあるのがティオマン島

ボートの上からでも様々な色をした熱帯魚たちの姿が見れるくらい透明度が素晴らしい。

マレー半島の東海岸には美しい小島が他にもあり、クアラ・トレンガヌの近くマランという小さな町の沖合にあるカパス島もいい。

一応、オレも行くには行っているが…ティオマン島よりも小さい島でそもそも宿泊客を受け入れるキャパシティーが小さいうえに、ちょうど現地の大型連休にぶつかって全て満室。

乗り継ぎが悪かったせいでティオマン島から22時間もかけてカパス島に行った末に、朝食だけ食べて島を出るという残念な結果に。ただ、雰囲気としてはなかなかいい島だった。

東海岸のコタバルを経由して行ったのは西海岸のペナン島

ペナン島のジョージタウンも、マラッカと同時期に世界遺産に認定されたようだ。

マレーシアからタイへは超マイナーな国境を越えて入った。

正確に言えば、望んでいないのにその国境を越える羽目になったというか…同じくタイに行くと言うバスで知り合ったマレー人2人組に無理矢理タクシーに乗せられ、どんどん山奥へ。

え?どこに連れて行かれてるんですか?

本気で心配になりかけた頃に辿り着いたのが、山の中にポツンと小屋のように建っていたイミグレーション。マレーシア側の名前はワンクリアン、タイ側の名前はクアンドン。

地図を調べても載っていないし、未だにどこだったのか?よく分かっていない。

山奥の国境から最寄りの町へ行く唯一の交通手段はトゥクトゥクであった。

タイ

クラビーでボートに乗り換えてピーピー島へ向かう。約2時間の旅なのだが、これがまたすごかった。縦横にグリングリン揺れ、座っているのも大変なくらい。入り口からガバガバと海水が入ってきた時には全員が救命着を着た。吐く人続出。揺れで窓ガラスが割れ、窓枠がはじけ飛んだ。柱はメキメキ言ってるし…ものすごいことになっていた。今まで乗った船の中で一番やばかった。

沈没を覚悟しながら行ったのは、ピーピー島

翌2000年に、ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ』が公開されて一気に脚光を浴びた島だ。何が残念って、この頃に撮った写真を現像したタイの写真屋が粗悪な現像液を使っていたせいで、どの写真も変色しちゃってること。デジタルではなくアナログだった時代の旅人あるある。写真にこだわっている人は、現地の写真屋を信用していないからわざわざ日本にフィルムを送って現像していた。

本当はもっといい色が出てたはずなんだけどな…

ピーピー島からはプーケット島へ。

さらにサムイ島パンガン島と島々を回りながら北上する。

フルムーンパーティー

パンガン島はもちろんフルムーンパーティー目的。

その名の通り満月の夜に開催されるレイブで、今やスペイン・イビサとインド・ゴアと並び世界三大レイブと呼ばれているとか…

The Crazy Best Full Moon Party Video Ever 2016! Koh Phangan Thailand

浮かれとるなー!!

1999年当時はここまで人が多くなかったし、もっと質素な感じだった。

今もそうだと思うけど、ビーチにいくつも並ぶブースごとにHip-Hop系とかトランス系とか流している音が違うから、自分の好みの音を探してビーチをウロウロするみたいな。

パーティーは夜にスタートするので、それまでキノコ(マジックマッシュルーム入りオムレツ)を食って、テキーラをあおって出来上がった状態でスタンバイするみたいな。

マジックマッシュルームってようするに幻覚作用のある毒キノコなんだけど、あんなもん食って腹を壊す以外に効く人なんているのか?と思っていたら、ホントにいた。

キノコを食う自分のサンダルが無くなっていることに気付くパッと最初に見たのがたまたま野良犬だった野良犬が自分のサンダルを盗んだと思い込む自分も犬になって4足歩行でワンワン言いながら野良犬を追いかけまわす…

もちろんサンダルは無くなっておらず、ただ見つけられなくなってるだけなんだけど。犬になって消えていなくなってしまったので皆で手分けをして探していたら、なぜか上半身裸で傷だらけになって藪の中で倒れているのを発見。なぜ自分が上半身裸なのかも覚えていない彼は、パーティーが始まる前に戦線離脱した。

キノコ以外の出来事もあった。

名前は忘れたが、とある日本人旅行者とパンガン島で知り合い、彼のバンガローで皆で飲もうという話になった。

さっき島で知り合ったタイ人に「いいのがある」って勧められてガンジャを手に入れたぜ!

ガンジャ(マリファナ)をよく分からない奴から買ったという彼。オレ的には危険な匂いがプンプンしていたのが、彼は「大丈夫だよ!インドでも普通に吸ってたし」と意に介さず。

いや、インドは知らんし!

部屋に入って30分くらいして、彼だけがガンジャを吹かしていたちょうどその時、案の定というか…警察が文字通りドアを蹴破って突入してきた。完全に現行犯での逮捕である。

私が買って私だけが吸いました。他の人たちは関係ありません

ま、実際にその通りだったのだが、彼は他の人を守ろうとする漢気だけは見せて連れ去られて行った。彼以外には事情聴取すらなく「帰れ」とバンガローを追い出されて終了。

不思議なのが、あまりにもタイミングが良過ぎる警察の突入。

タイには密告制度があり、売人はドラッグを売った後に売った相手を警察にチクれば報奨金も貰えて一石二鳥でおいしい。裏で売人と警察がグルになっているというのは昔はよくあった話だ。2003年当時に首相だったタクシンが始めた麻薬一掃作戦で2500人以上が射殺されているが、あれだって下手に逮捕して口を割られたら自分の身が危なくなるから警察が口封じで売人を射殺してたともっぱらの噂だったし。

結局、彼も売人から売られた、とみるのが一番辻褄が合うかと。パンガン警察のお小遣い稼ぎで賄賂として数十万円~100万円くらい取られて釈放されるか、賄賂を断って法律通りブタ箱入りになるかの究極の二択を選ばされることになったんだろうな…

まぁ、“選択肢があった”のは過去の話で、タクシン政権軍事政権と時代の流れの中で今は“問答無用でブタ箱行き”の一択になっているけど。数日前のニュースでも、軍がマジックマッシュルームと笑気ガス風船を売っていたパンガン島のバーを閉鎖させたと出ていた。

警察に連れ去られた後の彼が、その後どうなったのか?は不明だ。

バンコク

約1年ぶりに戻ってきたバンコクで、久しぶりに再会した人たちがいた。

日本を出た直後のオレが「これから世界一周するんだっ!」と威勢のいいことを言っていた頃を知る人たちだ。彼らは前年に1~2カ月の旅をした後に日本に帰り、翌年になってまた来たという人が多かった。

あれ?!久しぶりー!!世界一周してきたんだ?!
お、おう…

思わずウソをついてしまった。

まさか、マレー半島を南下して“近場”のインドネシアやフィリピンをずっと旅していただけとは言えなかった。じゃあ、これからようやく西に向かって旅をはじめ、いよいよ本当に世界一周をするのか?と言うと…その気力も失っていた。

なんか…疲れちゃった…

インドネシアで戦っていた毎日。ジャワ島で乗った夜行バスでは、通路を挟んだ隣の席のインドネシア人2人組が“ひったくり”で移動中ずーっとオレのバッグを力づくで奪おうとしてくるのを足蹴にしながら戦っていたので一睡もできず…白昼のメダンでは若者3人組の“中華系狩り”に遭い、荷物を力づくで奪おうとしてくるのを張り倒して戦い…気力をインドネシアで全て消耗してしまった。

旅モードがOFFになってしまったオレは、代わりに散財モードに入る。

移動はタクシー、食事は日本食、毎晩飲み歩く酒代。

あと…プレステ本体を買ったりなんかして。

旅人なのに思わず据置型のゲーム機を買っちゃった。その昔、東南アジアには『プレステ屋さん』という謎のビジネスが流行っていた(今もあるにはあるけど)。ようはゲーセンみたいなもんで、テレビとプレステをずらっと並べた店内(もしくはデパートの一角に必ずあった)で1時間いくらと客から金を取って遊ばせるというビジネスだ。

今は知らないけど、昔はああいう『プレステ屋さん』で置いているプレステは全て違法改造がしてあって、チップを取り換えてコピー防止を無効にしてあり違法コピーソフトで遊べるようにしてあった。違法コピーソフトの相場も上下するんだけど、最安時期だと1枚60円とかで売られていた。しかも、最新作が発売された数日後には違法コピーソフトが売られていて、常に最新作で遊べるという…

基本、旅なんてヒマじゃない?だからタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンと各地で『プレステ屋さん』に入り浸っていたワタクシ。そのうちMyソフトとMyメモリーカードを持ち込んで『プレステ屋さん』でゲームするようになっていたオレは、当時Myソフトを80枚持って旅していた。

そのうち必然的にドラクエとかFFとかRPGに手を出すようになる。そうなると、わざわざ『プレステ屋さん』に出向くことすら面倒くさい! ずーっと部屋にこもってゲームしたい! そうなるとMyソフトやMyメモリーカードだけでは飽き足らず、Myプレステ本体も欲しくなってきた。

さらに、プレステを買ったらテレビがいる。テレビを求めて、バンコクで家具・家電付きのアパートを借りることにした。

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