ロシア非難決議に反対したアフリカの国

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国連総会で行われたロシアのウクライナ侵攻への非難決議に賛成したのは141カ国。

反対はロシアの他に、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの5カ国。

ちなみに中国など35カ国は棄権、エチオピアなど12カ国は欠席して意思表示せず。

当事者であるロシアを筆頭にベラルーシ、シリア、北朝鮮が反対するのは分かるが、アフリカで唯一反対票を投じた謎の国エリトリアの話。

Eritrea (Africa orthographic projection)

エリトリア…

独裁者イサイアスが治める“アフリカの北朝鮮”。

周りに行った人はいるが、オレ自身は行ったことがない。

行ったことがないくせに言ってしまえば、旅行という点に限ってはトルクメニスタンや北朝鮮と比べたら一番行きやすいというか…自由に旅行できるイメージ。トルクメニスタンはトランジットビザじゃなくて観光ビザで入国する場合との比較。

行ったことがないくせに言ってしまえば、トルクメニスタンや北朝鮮と比べたら一番面白くなさそうだけど。

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イタリア植民地時代に建てられたアール・デコ様式のガソリンスタンド(写真)など、イタリアン・デザインの建物が残る首都アスマラの世界遺産『アフリカのモダニズム都市』が一番の見どころだろうけど…

個人的には、世界遺産でも何でもないトルクメニスタンの白亜の首都アシュガバードの方が楽しいと思うが、これは完全に好みの問題。

エリトリア自体は入ろうと思えばそれほど難しくなく入れるという話は空路限定の話で、陸路にこだわると昔も今もほぼほぼムリなはず。

だからオレは行ってないんだけど。

エリトリアが陸路国境を接しているのはスーダン、エチオピア、ジブチの3カ国。

昔、スーダンからエリトリアに陸路国境越えをした日本人がいたな… そんなことした人は1人しか知らないが、当時から相当マニアックな国境越えだったことは確か。

スーダンとの国境はたまーに開いているが、とりあえず今は閉まっているし、カナダ政府は「国境50km以内には近づくな」と退避勧告を出している。

ジブチやエチオピアとの国境は昔も今も陸路国境は開いていないし、開いたことがあるのかも分からない。

つまり地続きにもかかわらず陸路では入れない国、それがエリトリア。

理由は簡単で、周りの国全部ととにかく仲が悪い。

そんな、空路限定で旅行に行く分には普通に行ける国エリトリアに関して、なかなか面白い動画を見つけた。

エリトリアに文化交流で招かれた初の日本バンドHEAVENESEによる国紹介。

HEAVENESE / 独裁国家に平和の橋をかけた音楽使節団の奇跡

「監視社会」「人権蹂躙国家」のはずが、とにかく安全だし、夜道も安心!

とか言っているけど、ぶっちゃけ…だからどうした!?というね。

そんなこと言い出したら北朝鮮もトルクメニスタンもそうでしたけど?

アパルトヘイト撤廃後に南アフリカの治安が極悪になった事実をもってして「アパルトヘイト時代は安全だし夜道も安心だった」と言ったところで、そんなもんがアパルトヘイトを肯定する理由にはならないのと一緒。

エリトリアには平和があった!世界はフェイクニュースで満ちている!

って…すげえナイーブなんだな。

知らないけど、どうせ行ったのってアスマラとかマッサワくらいでしょ?

国内が平和だったから何?って話で、陸路でエリトリアに入れない理由を知ってるのかな?

スーダンとは、エリトリア政府が裏についてるスーダンの反政府武装勢力がエリトリア領内から出撃するせいで国境が開いたり閉まったり。2018年1月の時のように、スーダンが5万の軍を国境に派兵すると、反政府武装勢力はエストニア領内に逃げ込む。

ジブチとの国境は、過去に何度もエリトリア軍がジブチ領内に侵入して軍事衝突を起こしている紛争地帯。2008年の時の国境紛争と、あともうひとつはソマリアのイスラーム原理主義武装勢力アル・シャバーブを裏で支援していた二つの理由で国連の制裁を受けたエリトリア。

ちなみに、もしジブチとの国境が開いていたらオレもエリトリアに行っていたかもしれない。

エチオピアとは…言わずもがな戦争の歴史で、戦争でお互いの軍隊以外は通ったことがない国境(正確には2018年にちょっとだけ開いたけど外国人は通れず)しかない。

国内の主要都市はそりゃ平和でしょーね、それは北朝鮮だって同じこと。「弾道ミサイルをばんばん飛ばしてる?!フェイクニュースだ!だって、オレは平壌や開城に行ったことがあるけど平和だった!」っていうくらい意味不明。

関係ねーよ。

さてさて、なぜエリトリアがロシア非難決議に反対したのか?というThe Africa Reportの記事。

Eritrea: Isaias’ hostility to the West is about survivalism(エリトリア:西側に対するイサイアスの敵意は生存主義に関するもの)

エリトリアという国は、アメリカなどの欧米が提案する国連決議にはいつも反対するのが当たり前だったから、ロシア非難決議に反対したこともニュースとしての価値がなかった。

この常に反欧米のスタンスは、独裁者イサイアスのイデオロギーというよりかは、ただの“戦術”。

反欧米のエリトリアだが、同じようにアメリカと敵対するシリア、イラン、北朝鮮などのようにロシアや中国からの保護も求めておらず、アメリカに限らずロシアや中国の影響下に置かれることも望んでいない。

イサイアスの反欧米はイデオロギーでなく国内向けの戦術であって、全体主義体制を維持するために欧米との敵対関係を続けているだけ。

イサイアスは国民の(過去の列強による侵略や戦争などの)歴史的記憶を利用して、エリトリアを破壊しようとしている邪悪な敵が周囲にいるという環境をあえて作り、自身の権力を強化・独占している。

政権の正当性の唯一の源は、現在進行中の自衛戦争を戦っているということ。つまり、イサイアスは常にエリトリアを非常事態下におくことでのみ存続することができ、そのために無期限の強制的兵役を導入している。

常に軍事動員をして常に非常事態にしておくためには永続的な敵が必要で、その敵の筆頭に選ばれたのがアメリカというだけ。

エリトリアではテレビ、ラジオ、新聞も国営1社のみで、国民に与える情報を独占し、イサイアスに都合の良い“物語”を刷り込む。(ちなみにエリトリアの報道の自由度ランキングは北朝鮮よりも下で世界最下位。ジャーナリストは入国不可) だから、外側からみるとイサイアスは冷酷な独裁者かもしれないが、エリトリア国内では邪悪な外敵と戦って国を守ってくれる指導者と捉えられている。

欧米との敵対関係を維持するために、イサイアスは常に西側、特にアメリカの決定にはなんでも反対する。

ロシア非難決議に反対したのも、ロシアとかウクライナとかどうでもよくて反対することで欧米を怒らせるため。反発や制裁があれば「アメリカがエリトリアを破壊しようとしている」というイサイアスのプロパガンダを国内で強化できるツールになる。

エリトリアでは「国家への奉仕」制度があって、男女問わず全国民に無期限の兵役または労役がある。無期限だからちょっとの人もいれば、一生の人もいるみたい。

インターネット普及率も2017年時点で1.3%で、ほぼ外界から閉ざされている。

中国にはエリトリアからの国費留学生がまぁまぁいるみたいで、みんなイサイアスを絶賛するらしいね。

そんな国だけど、旅行に行く分には普通に行けるし国内はきっと安全だよ。ただし陸路では国境に近づけない(下手したら死ぬ)から、行く時は絶対に飛行機にしよう。

このブログ内に一カ所だけ、エストニアが混じっています。

エストニアはバルト三国のひとつで、名前が似ている以外の共通点はない国です。

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