いっそのこと一切報じないとか

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エチオピア連邦政府軍がティグレ州の州都メケレを制圧したと発表。

思っていたよりもすごく早かった。

公然の秘密ながらエリトリア軍がエチオピア軍と一緒になってティグレ州内で軍事行動をしている上に、UAEがドローンを使って関与していたりしてフルボッコ状態だったからな。

アビィ首相は「作戦完了」と言っているが、いや…終わりの始まりじゃね?と思っているワタクシ。一番最悪の想定は、エチオピアが『第二のユーゴスラビア化』すること。

メケレ陥落で日本でもチラッとニュースになっていたが、そもそも今までこの話題が報じられているのを見たことがなかった。オレ“が”見ていないというだけかもしれないけど。

なにも「日本でもトップニュースで連日報道すべきだ!」と思ってるわけじゃない。

イメージの形成という点から考えると、なんならいっそのこと一切報道しなくてもいいんじゃねーか?とすら思う。

自分のことを例にとって考えてみると…

昭和世代であるオレが小さい頃に形成したアフリカのイメージに大いに影響したのはガリっガリに瘦せこけて文字通り骨と皮だけになった子供の写真かな?

目は虚ろで、ハエがたかってるんだけど、お腹がポッコリ膨らんでお腹いっぱいみたい!と子供ながらに思っていたが、そもそも知識が未熟なところに強烈な写真を何度も目にしたものだから…

アフリカ = 飢餓でガリガリに瘦せ細った子供がいるところ

というイメージが形成された。

うろ覚えだが、小学生の頃に「アフリカの恵まれない人たちに」的なチャリティ活動とかテレビ番組とかやったような気がする。その際にもはや“定番”になったガリガリの子供たち写真を出してさ。

そんな写真ばっかり見せられてたら、そりゃあ子供ながらにアフリカのイメージが刷り込まれるのも致し方のないこと。アフリカっていわゆる「可哀想な」ところだから、お金を「恵んであげる」ところというイメージを持った。

当時は認識していなかったけど、あれって世界的なムーヴメントの中にいたんだね。

U.S.A. For Africa – We Are the World (Official Video)

1985年発表の『We Are The World』などまさにその代表格だろう。

クイーンの伝説のライブと呼ばれる1985年のLIVE AIDもその目的は同じだった。

Queen – Bohemian Rhapsody (Live Aid 1985)

どちらも1984-1985年のエチオピア大飢饉をきっかけに発足したプロジェクトだ。

通説では100万人が死んだ飢餓になっているけど、世界的なムーヴメントになるほどショックを与える出来事だったと。

飢饉が起こったのは広範囲だけど、犠牲者の大部分は今まさに戦争をしているティグレ州を中心としたエチオピア北部と言われている。(Famine and Foreigners: Ethiopia since Live Aid

当時のエチオピアは、独裁者メンギスツが治めるエチオピア人民民主共和国。

独裁者って言うくらいだから、何十万人とも言われる国民を粛清して恐怖政治を行っていたメンギスツ。

当然、打倒メンギスツ政権をもくろむ反政府勢力が出てきてゲリラ闘争を始める。

そのひとつがティグレ人民解放戦線(TPLF)だったと。

1984-1985年のエチオピア大飢饉は、そもそもは干ばつという自然災害がきっかけではあるんだけど、メンギスツによる対反乱作戦の一環で意図的にティグレ州への食料の物流を止めた兵糧攻めが事態を深刻化させたと言われている。だから犠牲者はティグレ州を中心としたエチオピア北部に集中していたと。

自然災害をきっかけとした人災。

「この世の地獄」のような事態に衝撃を受けた世界が、まさにオレが何となく覚えている子供の頃の「アフリカの恵まれない人たちに」ムーヴメントで反応したわけだ。

世界中から集まった多額の寄付金のおかげで独裁メンギスツ政権は延命したとも言われているが、結局1991年にTPLFを中心とする反政府ゲリラたちが首都アジスアベバを陥落させてメンギスツ政権は崩壊。

長年の山岳ゲリラ闘争を経て1991年に「天下を取った」TPLFだが、去年に都落ちしたと思ったら1年後にはアビィ政権率いる政府軍に攻められるって…

メンギスツ時代のデジャヴか?

って本人たち思ってるかな。

最初に「終わりの始まり」と書いたのは、TPLFがまた以前のようにメンギスツ政権相手に20年近くやった実績のある山岳ゲリラ戦に戻るだけのような気もするわけで。

そんな中、3日前に国連はティグレ州の食糧事情が『非常に危機的』と警告を発している。

デジャヴか?

仮に1980年代のような大飢饉とまではならなくとも、またもや人災で食糧危機になって、ガリガリに痩せ細った子供の写真がニュースに頻出するようになって、それを見続けさせられた日本の子供(当時のオレ)が「アフリカって可哀想なところ」というイメージを刷り込まれてゆくのか…

それで、またいっぱい死んだらみんなでチャリティーするの? 死ねば死ぬほど人々の興味は引くが、あまり死ななかったら誰も見向きをしてくれないって事実もあるし。

ある意味、盛り上がりは死んだ人の数に比例するからな。

基本的には、情報をアップデートしない限りは最初に持ったイメージで物事を捉え続けてしまうのは致し方のないこと。

それを前提に考えると、どうせ過程なんて気にしてないんだから事後で起こった超ネガティブなニュースをいきなりドカンとぶち込んでステレオタイプを形成しちゃうくらいなら、何も報じないというのも(極論ではあるけど)有りじゃね? 正しいかどうかは別として。

最後に…

ティグレ州の通信網を完全遮断して外部から流入も制限した中での今回の内戦。

ティグレ州(TPLF)側とは音信不通の状態で、出てくるのはエチオピア連邦政府側からだけ。情報戦で片方が圧倒的に有利な状態で、出てくる情報は当然ながら偏ってるのは気にしておくべきかと。

ティグレ側が600人のアムハラ人を虐殺したってニュースになってたけど、エチオピア軍もマチェーテ(牛刀)で一般市民を殺害していたとか、TPLFの兵士を並ばせて処刑したという話もある。まぁ、事実だったとしてもこんな話は形勢が逆転しない限りは日の目を見ることはないと思うけど。

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