エチオピア情勢(2021年12月)

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この数日でエチオピアの戦争がまた別な局面になったようだ…

これまで交通の要衝デセやコムボルチャを掌握し、A2号線を南下して首都アジスアベバに向けて進軍中だったティグレ防衛軍(TDF)が撤退

逆にエチオピア軍はデセやコムボルチャの他、世界遺産ラリベラを含むかなりの広範囲を奪還した様子。

TDFが攻略を目指していたアジスアベバの北東130kmにあるデブレ・ベルハンから、現在の最前線とされるメルサまで、大体350kmくらい北に前線が移動(=アジスアベバからは遠ざかった)。

具体的な地名を言われたところでよく分からないが、ようするにアムハラ州の北東部を若干残したくらいでほぼほぼティグレ州まで押し戻された感じ。

各国が首都アジスアベバからの脱出を呼び掛けていたが、当分の間は首都攻防戦の危機が去って急いで脱出しなくてもよくなったと。

アビィ首相もご機嫌で「私を止めるものは何もない、TPLFを完全に破壊する!」と演説したりと、ノーベル平和賞受賞者らしく和平交渉は完全拒否して敵の徹底破壊を誓っている。

一方のティグレ州のデブレチオン・ゲブレミカエル州大統領は「我々は全体的な状況を考え、このままアジスアベバへ進軍を続けるべきではなく追加の調整をするために撤退することを自ら決定した」と戦略的撤退であることを強調している。こちらも和平交渉をするつもりはないようだ。

アビィ首相がUAEイラントルコ中国から武器を爆買いしているのは公然の秘密だが、ようやく近代的装備の力を借りてTDFの進軍を止めて押し戻したってとこか。

特に大きかったのがドローンの効果のようだ。

TDFはティグレ州からA2号線を南下して首都アジスアベバに進軍していたわけで、一本線に伸びた進軍ルートはバレバレ。

次にどこを攻めてくるのかバレバレだったのに、エチオピア軍は進軍を止められなかったわけでエチオピア軍が急に強くなったわけではない。

TDFの伸びきった兵站線(=A2号線)をドローンで空爆したことが効果大だった様子。

それに併せてアビィ首相が“総力戦”を仕掛けたことで、TDFも撤退せざるを得なくなったと。

エチオピア軍はドローンを使った空爆をしまくってるらしく、偶に味方も空爆してアムハラ民兵が死んだりしている。

なんとなくのオレの勘だけど、この戦争は決定的な勝者が生まれないままどんどん泥沼化するような気が…

TDFも攻勢になるとエチオピア軍から鹵獲した戦車などの重火器を使って、劣勢になると重火器を捨てて山岳地帯を活用したゲリラ戦に持ち込むから、エチオピア軍も『完膚なきまでに叩きのめす勝利』は難しいかと。

TDFのスポークスマンによると、TDFのある部隊は158kmの距離の山地をたった2日間で徒歩行軍して敵に奇襲攻撃したりと…旧日本軍みたいな戦い方してるし。

さすがマラソン大国!!

まぁ、いくら山岳地帯を恐ろしい速さで行軍できようが、長期化すればするほど装備の近代化の差がものを言ってTDFが劣勢のまま戦況は固定化されそうではある。

とりあえず、少し前までは「アジスアベバに旅行で行く」って言う人がいたら「今は止めておけば?」と言っていたと思うが、この数日で「当分の間は戦場にならなそうだから、いってらっしゃい」に変わった。

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