あの国にとってのアフリカ

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以前にブログに書いた『ヨモギ茶とヒューマノイドロボット』の続報で、マダガスカルが開発した新型コロナの【自称】予防&治療薬であるCOVIDオーガニクスが苦くて子供たちが飲み辛いから、教育大臣が220万USドル(約2億4千万円)相当のお菓子とペロペロキャンディを買って全国の子供たちに3つずつ配る計画をぶち上げてクビになった話をするかどうか迷ったが…

せっかくなので前回のブログに追加して、中国が「アフリカとは昔から兄弟じゃないか!」と仲良しアピールをする時のプロパガンダをご紹介。

イデオロギー輸出

“中国”の正統な政府は、蒋介石の中華民国か?毛沢東の中華人民共和国か?

「二つの中国」に決着をつけるため、世界に仲間を増やしたかった中華人民共和国はアフリカに目をつけた。

17カ国が独立して「アフリカの年」と呼ばれる1960年を皮切りに、1960年代はアフリカ諸国が続々と独立。

独立国が増える ⇒ 友達になる票稼ぎになる“中国代表”として国連で常任理事国までやってる中華民国を追放して、代わりに中華人民共和国がその座につく

という魂胆が基本にありながらも、植民地支配からの脱却後に社会主義にハマっていたアフリカの新しい指導者たちに『アカ先輩』としてイデオロギーに基づいた援助をしてゆく。

ほーら、アカ先輩だよぉ

ほーら、社会主義トラクターの前で記念撮影するよぉ

ほーら、毛主席のお言葉はアフリカでも大人気だよぉ

文革時に流行った「毛主席是○○的大救星(毛主席は○○の大救世主)」シリーズの世界革命人民バージョン。

1960年代はアメリカをはじめとする西側陣営にくわえて、『アカ大先輩』のソ連とも仲が悪くなった中国は、「英米帝国主義とソ連修正主義との闘争を全面的に支持する」としてアメリカやソ連が援助している勢力とは逆の勢力を援助したりして。

ナイジェリア内戦(ビアフラ戦争)では、ナイジェリアからの独立をもくろんだビアフラ共和国に軍事的援助。なぜなら、アメリカとソ連はナイジェリア政府側を援助してたから。

Wikipediaのビアフラ戦争では、中国がナイジェリア政府側の援助国になってるけど、これは間違い。

ナイジェリアからしたら内戦時は反政府勢力側に味方した中国ってことで、根に持ってるのか?知らんがナイジェリア的「中国脅威論」の記事に「ビアフラ側を応援してたくせに」的な内容をチラホラみる。

インフラ輸出

中国が「歴史的に兄弟の仲であるアフリカ」アピールをする時に好んで持ち出すのが…日本ではタンザン鉄道として知られるタンザニアのダルエスサラームとザンビアのカピリムポシを結ぶ全長1,860kmの通称タザラTAnzania-ZAmbia RAilway)。

中国の援助で1970年から着工して6年かけて建設された。

カピリムポシってどこだよ!?

あとちょっとなんだから首都ルサカまで繋げておけよ!

オレも含め誰しもが思うことだが、そもそも旅客鉄道ではなく貨物鉄道として建設されているので銅を運ぶための利便性でカピリムポシというよく分からん場所から港があるダルエスサラームまで繋がっている。

これは1976年7月14日の引き渡し式の写真。

オレが行った時もこの写真のまんまの外観だったから、何十年も変わってない。

ちなみに、オレがカピリムポシ駅に着いた時には国際列車が出発してしまった直後で、慌ててバスで列車を追いかけたので駅のホームは見ていない。

このタンザン鉄道建設に中国は延べ56,000人の労働者を派遣。66人の中国人が犠牲になり、アフリカの地に眠っている。犠牲者の死因の3割はマラリアだったそうだ。

“東側陣営”である中国のタンザン鉄道建設に対抗して、同時期に“西側陣営”の筆頭アメリカがタンザン道路を建設している。鉄道と道路なのでどうしても現場が隣接しちゃうみたいで、ピリピリした雰囲気だったっぽい。建設現場での“西と東の衝突”がニュースになったりして。

TheNewYorkTimes(1970年3月26日アーカイブ):「American and Red Chinese Workers Reported to Have Clashed in Tanzania

「中国の共産主義者たちがアメリカ人たちを脅して取り囲み、9時間も拘留されたがタンザニア軍の将校に助けてもらった」的な、色々と話を盛ってそうな気もするニュース。

アメリカが援助したタンザン道路はザンビア側で言うところのT2号線がそれだが、タンザン鉄道に乗り遅れたオレはバスでタンザン道路を走り…地獄のような悪路で尻が崩壊した。

ちなみに、タンザン鉄道が営業を開始した1976年といえば毛沢東が死んだ年。

つまり、中国が半鎖国状態にあって経済が大ダメージが受けた文化大革命の真っ只中に始まって終わった巨大援助プロジェクトという意味で「自分たちもあんなに貧しくて苦しかった時代にもかかわらずアフリカのために…」という“特別な感情”を中国に抱かせ、「歴史的に兄弟の仲であるアフリカ」アピールをする時にタンザン鉄道を好んで持ち出すのかと。

当時の中国外交部副部長だった何英という人が『援建坦赞铁路的决策过程(タンザン鉄道建設の意思決定プロセス)』というタイトルで党機関紙に寄稿しているのを読んだが、元々はタンザニアとザンビアが鉄道建設案を世界銀行に持って行って断られ、次にソ連に持って行って断られ、3番目に中国に持って来たのがきっかけらしい。世界で孤立を深めててお友達が欲しかった中国としては、自分たちのプレゼンス向上のために戦略的に話に乗ったようだ。

タンザニアのニエレレ大統領はノリノリだったが、ザンビアのカウンダ大統領は本当は西側陣営に援助してもらいたかったらしく、中国の前に日本、イギリス、フランスの民間企業に打診していたのを毛沢東自ら説得したという裏話も。

なお2019年7月にタンザン鉄道とベンゲラ鉄道が接続されてアフリカ大陸横断が可能に。可能になっただけで、簡単に出来るわけではなさそう。

大西洋のアンゴラ・ロビトから、インド洋のタンザニア・ダルエスサラームまで、4カ国4,300kmを1年に1往復だけする豪華列車The Pride of Africaの片道運賃(14泊15日)は13,200USドル(約145万円)から。

『万村通』プロジェクト

最近の話をすると…

習近平の肝いりで始まった、アフリカ全土の貧しい村10,000カ所に無料で見られる衛星テレビを設置しちゃうぞ!プロジェクト。

いやぁ…これはなかなかえげつない話で、ソフトパワーを高めたい中国にとってはそれなりの効果を発揮するんじゃないか?と思ってる。自分たちにとって都合の良い情報を刷り込むための手段として考えれば先行投資するだけの価値はありそう。

このプロジェクトを担っているのが四達時代(StarTimes)という会社。

2018~2020年の3年間で25カ国10,112の村に展開する予定で、現在17カ国で展開完了。

まずハードとして、各村にプロジェクター2台、32型デジタルテレビ1台、衛星放送受信アンテナ、太陽光発電システムを無料で配る。プロジェクターは村の公共スペースに設置して、テレビは学校に設置するみたいな。太陽光発電で蓄電した分で夜間でも6時間はテレビが見れるそうだ。

ソフト面では、無料で21チャンネルが見れる。カンフー専門チャンネルとか、現地の言葉に吹き替えた中国のドラマチャンネルがあるようだ。

中国・アフリカ協力フォーラムの公式サイトにこんな内容の記事があった。

ケニアのミリマニ小学校の校長は「中国には本当に感謝しています」と述べた。教師によると、テレビが設置されてから子供たちは中国語と中国に非常に興味を持っているという。そのため学校は特別に中国語のクラスを設けた。「子供たちは新しい言語を学ぶことを非常に喜んでいます。クラスでは中国語だけではなく中国の文化などについても教えています」

内容的には、匠の技で海外の困ってる人を助けて「ありがとう!ニッポン!」って言われるのを日本の茶の間で見て自尊心をくすぐるオナニー的自己満足の世界と同じだが…

スケールが違う。

プロジェクターとテレビと太陽光発電システムをただでくれるうえに、21チャンネルも無料で見られるならオレでも「中国には本当に感謝しています」って言いそう。ディスカバリーチャンネルとMTVも見られるようにしてくれたらもっと感謝するけど、さすがにそれは無理か?

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