北朝鮮旅行【2日目】一線が越えられない

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北朝鮮に持っていくカメラは手ブレ補正機能が必須です。
大抵の場合、興味を持つ被写体は観光地にではなく、移動中のバスの中からの景色だったりします。
写真を撮るためにバスは止まってくれません。
そのため、バスの中から撮る写真が大半になってしまいますが、道路がけっこう凸凹しているせいで上下震動がけっこうある上に、窓ガラスの反射映り込みを気にしていたりすると、アッと思ってる間に被写体を通り過ぎちゃったり・・・
平壌市内も場所によっては凸凹がひどかったですね。
シャッタースピードを上げて撮っていたのですが、それでも思ったより手ブレてました。

板門店

今日は板門店に行きます。
現在、朝鮮戦争は休戦中ですが、いわばその最前線である軍事境界線にあるのが板門店です。

板門店までは平壌からバスで南下して3時間ほど。

つまらない景色が続きます。

途中で立ち寄ったサービス・エリアもどき。

しかし、なぜか建物自体は使われておらず、外に微妙な露店が・・・
しかも完全に外国人観光客用にセッティングされてる露店。

ソフトドリンク類は、ほぼPokka製品。
缶の裏をみると、シンガポールで生産されて・・・ドバイやロシアのディストリビューターを経由して・・・など、わけのわからん国を3~4カ国経由して、最終的に北朝鮮に到着してるみたいです。

売り子のお姉さん。
胸にはキラリと光る金日成バッジ。

こうやって改めて見ると・・・初冬の東北のどこか田んぼの写真を載せてもバレないんじゃねーか?と思いますね。

板門店を案内してくれるのは、こちらの軍人。

なんか色々説明してくれて、昔の停戦協定調印場も見てまわったんだけど・・・全然興味ないから話をなんにも聞いてなかった・・・

板門店では、この風景だけを見たかったんです。
北朝鮮から望む韓国の自由の家

逆に韓国側の建物から眺めると北朝鮮側はこんな感じで見えます。
こちらは韓国から望む北朝鮮の統一閣

1995年に、初海外旅行にひとりで中国と韓国を船でまわった時に板門店に来たことがあって、その時の写真です。
ちなみに、オレが韓国側から板門店に行った時は、北朝鮮側を指さしたり手を振ったりは禁止、服装もジーンズは禁止で、襟付きシャツ限定でした。
北朝鮮側は・・・特に制限なし

この話を北朝鮮人ガイドに話したら「なんでジーンズはダメなの?」だって。
「ジーンズは作業ズボンだから『そんなものしか履けない南側は貧乏だ』と北朝鮮が写真を撮ってプロパガンダに使うから」という理由だった、と話したら失笑してました。

地面がコンクリートなのが北朝鮮領
砂利になってるのが韓国領です。

北朝鮮兵が2人で向かい合って立っている足元にコンクリートの線が横に走っていますが、それが軍事境界線、通称38度線です。
とりあえず正面の北朝鮮兵にタックルをかまして、向かい合ってる兵2人をフェイントでかわせば、10歩くらいで韓国に行けます。

建物の陰から韓国兵が半身を出してこちらを見つめています。
裏から見るとこんな感じです。

隠れきれてない『かくれんぼ』みたい。
韓国から板門店に行った時に、「なんでそんな格好で微動だにしないんですか?」と聞いたら、「いざ銃撃戦になっても身を守れるように、半身だけ出して北朝鮮を監視している」と言ってましたっけ。
さらに「片方の目は開けてるんですか?閉じてるんですか?」と聞いたら、「知りません!」と切り捨てられましたね。

青い建物の中は、こんな感じ。
北朝鮮軍人の説明をそれぞれのツアー団体に通訳しているので、英語と中国語とスペイン語が飛び交っていました。

建物内だけは軍事境界線を越えられるので、韓国側から北朝鮮兵をパチリ。
真ん中のコンクリートが38度線です。

韓国側からも観光客が来ているのが見えます。

どのアングルで撮ってやろうか?と、ウロウロしていると、右側に立ってるトランシーバーを持った北朝鮮兵に怒られるので、ほどほどにしておきましょう。

開城

板門店から平壌まで戻る途中、開城(ケソン)に立ち寄って昼食。
開城の様子をダイジェストで紹介しましょう。

個人的には、コンクリート製の味気のない建物を撮るよりは、生活感のある瓦屋根の古い街並みの方が楽しいです。
下から3番目の景色とか好きですねぇー。 散歩したい。

開城で昼食をとると、ガイドが「さぁ、平壌に帰りましょう」。

ちょ、ちょっと待ったぁーー!!

ものすご~く気になるものがずっと目には入っていたんですけど、まさかあれを見ずして帰ろうなんてことでないですよね?

とりあえずガイドにオレのスタチュー(像)に対する熱い(?)想いをぶちまけて、なんとか目の前まで行ってもらうことが出来ました。
かなり「スタチュー!」を連呼したからね。
もしかしたら、「よっぽど金日成のことが好きなんだなぁ~」とか思われたかも知れん。
今回の旅で最初にテンションが上がったのが、実はここ。

ちなみにですが・・・金正日のスタチューはないんだってさ。

じゃーん! 金日成の銅像 in 開城!

ちょっと空の色が残念でした・・・

万景台学生少年宮殿

平壌に戻ってから向かったのは、子供がいっぱいいるとこ。

えー、わざとではないのですが、実はワタクシめは「英語だったから読む気が起きなかった」という理由で旅行の日程スケジュールを全く読んでいなかったせいで、ツアー中に初めて「次はどこに連れて行かれるか?」を知ったのと、建物名を『なんちゃらschoolchildren’s palace』とか教えられても事前情報がないので「へ~」と言うしかなかったのと、興味がないせいでほとんどツアー中もガイドさんの説明を聞いていなかったという事情がありまして・・・
今日、どこに行ったのかわからーん!と、北朝鮮でガイドブックを買いました。

このガイドブックもなかなか面白いので、後ほど『おまけ』で紹介したいと思います。

ガイドブックによると・・・オレが行ったのは万景台学生少年宮殿
ガイドさんも同じことを言っていましたが、ガイドブックにも「平壌市内の学生少年たちのための課外活動の場」と書かれています。

でも、万景台学生少年宮殿の外観を撮ってないので・・・
ウィキペディアから拝借・・・

By Kounosu CC By 3.0

写真には映っていませんが、建物自体は左右にさらに延びています。
オレは正面など目もくれず、その左右の建物に描かれた壁画を撮りに行っていました。

社会主義リアリズムでも北朝鮮独特な画ですね。
ポップアートなどという堕落した芸術ではなく、労働階級の人民にも理解しやすいようにリアリズムを追求した社会主義的芸術スタイル。

他の国の社会主義リアリズムと比べてみると・・・

(アルバニア)

(キルギス)

(ソ連)

(ソ連)

・・・どーでもいいですね。

才能のある子供が放課後に来て、スポーツや芸術などの英才教育を受けるところ、それが少年宮殿です。
“宮殿”を名乗るだけあって、大理石をふんだんに使った豪華な箱モノで、「子供たちのために、こんなに充実した施設を造る我々はすごいでしょ?」という意図があるのかどうか知りませんが、見た目は立派です。

ただ・・・無駄に広々と造ってあるせいでクソ寒い!!

旅行者は、その各教室をまわって見学するのですが、完全なる“観光コース”になってる趣があり、ホントに授業中なのか?ただの見世物なのか?分からないです。
もし・・・ホントに授業中だったら、子供たちはすごいと思いますよ。 あれだけ観光客が来て、フラッシュを焚いて写真を撮られまくって、ビデオに撮られたりしたら、オレだったら集中できない。

教室をまわった後は、劇場で芸のお披露目コンサート。

歌や踊りや演奏が繰り広げられるステージでした。
皆さんの独特な笑みを浮かべた表情が印象的でしたね。

よく『やらされてる感』がどうこうの話になったりもしますが、そんなことは知る由もないし、正直どっちでもいいので、オレは何とも言えないですね。

ただ・・・

女の子と男の子が、それぞれソロで歌うステージがあったのですが、これにはちょっとビックリしました。

はんぱねぇー歌唱力!!

さすが選び抜かれた子供だけあって天才なんでしょうね。
正直、ちょっと鳥肌ものでした。
歌の内容は知らんけど、案外“将軍様を讃える歌”だったりして。

四月一五日

皆さん、4月15日が何の日か知っていますか?

そうです!『突撃!隣の晩ごはん』で有名なヨネスケの誕生日でもあるのですが、実は金日成の誕生日でもあるんですねぇー。

オレも今まで知りませんでしたよ。
今回、『金日成お誕生日ツアー』ということで初めて知ったのですが、何か楽しいことがあるんじゃねーか?と期待して参加したわけです。

明日が誕生日ということもあり、14日は夜19時くらいから花火がバンバン上がっていました。

この日も深夜まで酒を飲み、カジノに行って『大小』で遊んだりと、ハードな一日でした。

最後にガイドに関して・・・
どんなツアーに参加しても必ず2人のガイドが付くようです。
ガイドを『監視』と表現する人もいるようですが、オレはそんなニュアンスでは感じませんでしたね。「ツアーってこんなもんじゃね?」というのが正直な感想。
ただ、ガイド同士が“資本主義の手先ども(旅行者)から影響されないように”お互いを監視する目的はあるんじゃないか?というのが、オレの想像です。

そもそもが、ツアーで旅行したことがほとんどないので、人よりもちょっと感覚がおかしいかも知れませんが、違和感はなかったです。
ツアーのような集団行動の場合、引率する側にとってみれば集団から離れてフラフラどこかに行こうとする人がいたら「ちょっと、こっちですよー!」というのが当たり前だと思うのですが、それを『監視』と表現してしまえばそれまでだけど。
今回、オレの行動に対して「そこは写真撮ったらだめ!」とか制限を加えられたことが一度もなかったので、そう感じただけかも知れないですけどね。

オレの場合、「この銅像をどのアングルで撮ろうか?」ウロウロしていて、気付いたら集団から離れちゃっていたけど、ガイドの1人はジッとオレの傍で待ってる・・・みたいな。
あれ?これこそ監視? 待ってくれてる、すげー親切な人としか思ってなかった。

もうひとつ、政治的な会話に関してですが・・・
当然のことながら“ガイドによって違う”ってのが正解なんでしょうけど、オレたちのツアーに付いたガイドはそんなに嫌な印象ではなかったです。
もちろん、こちらと向こうでは持ってる情報量も違うし、思想教育の影響もあるので、“思想的なこと”に関しては他のツアー参加者含めて議論はしませんでしたが、少なくとも“事実認識”に関してはこちらの言い分にツバを飛ばして反論してくるような感情的な人たちではありませんでした。

あとはオレの北朝鮮の印象には、言語的な理由もあるかも。
日本語で「偉大なる金日成主席」とか「偉大なる金正日書記」とかずっと言われたら何かひっかかりますが、英語で「Our president」と言われる分にはまぁ普通なわけで・・・
英語だから言い方がマイルドになって聞こえるっていうか(笑)
あと、興味がないことだったら、こちらが勝手に意識を遮断してしまえば(母国語じゃないから)一切耳には入ってこない。

日本人のツアーで行くと、ガイドも日本人用の部署から来るらしいですが、オレが行ったツアーはヨーロッパ人用の部署から来たガイドだったので、そこら辺も若干は違うのかな?と思ったりして・・・

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