ドゥテルテの本じゃない、ちゃんとした本を読んだ。
水谷竹秀著『ルポ 国際ロマンス詐欺』
世界に羽ばたく起業家を目指すオレは、最近こそすっかり霊言道士にハマってしまっているが、かつてはJKの使用済みパンティを買い取るビジネスを考えていた時期もあった。
使用済みパンティと言えば?
そう、魔術の儀式で使う以外に用途などない。
使用済みパンティを魔術の儀式で使うのは?
そう、皆さんご存知のヤフープラスボーイズである。
ヤフープラスボーイズと言えば?
そう、国際ロマンス詐欺を含む419詐欺犯たちである。
昔『下着泥棒はヤフープラスボーイズ』で書いたが、国際ロマンス詐欺をするナイジェリアのヤフープラスボーイズが、ロマンス必勝祈願の儀式で使う“若い女の使用済みパンティ”を、日本でJKから買い取ってナイジェリアに輸出するビジネスを考えた。
時代の寵児としてオレが“パンティ王子”と呼ばれる日も近いと思われたが、残念ながらまだ1枚も買い取っていない。
さて、そんな国際ロマンス詐欺についてのルポを読んだ。
かなり昔から海外にはあった古典的な詐欺、国際ロマンス詐欺。
オレ的には今さら感がすごいのだが、最近は日本でも流行っているようだ。
そんな国際ロマンス詐欺の被害者と加害者の双方に迫った本邦初(らしい)ルポルタージュ。著者は開高健ノンフィクション賞を受賞したこともある方。
国際ロマンス詐欺に引っ掛かる被害者は『素直で真面目な、いわゆる“いい人”が多いのも特徴』か…
ドキッ
我ながら大いに心当たりがあるだけに心配である。
オレのように素直で真面目ないい人を自負している人は、読んでおいて損はないだろう。
どんな人がどんな状況から被害者になったのか、被害者側に取材した部分も興味深い。
日本人にはない積極性や甘い言葉にコロッといってしまう人もいるようだ。
「毎日、太陽はあなたを照らし、夜には月があなたを見守っています。私はその太陽や月のようになりたい」
「猛烈に愛している。現在も、そしてこれからも永遠に」
「あなたに100万回の笑顔を送る」
うむ、日本人でこれに近いことを言う人なんて堀内孝雄以外に思いつかないもんな。
ロマンス詐欺犯「100万回の笑顔」 vs 堀内孝雄「君のひとみは10000ボルト」
いや、オレだって甘い言葉くらい幾らでも言えますよ!
「オー、君のひとみは1アンペア♡」とか。
でも、それで日本人女がコロッといくか?と言うと、たぶんいかない。
感電で危ないのはボルト(電圧)よりアンペア(電流)だし、1アンペアなんて文字通りコロッと感電死する危険性がある値にもかかわらず…である!!
日本人のオレが言ってもコロッといかないくせに、外国人が言えば「キャッ、1アンペア♪感電死~」とコロッといく。それはもはや逆外国人差別だ。
著者は、最終的に国際ロマンス詐欺の聖地ナイジェリアに取材に行く。
サイバー犯罪が専門の現地大学教授によると、ナイジェリアの若者の10人に8人はサイバー犯罪に関与したことがあり、ナイジェリアでは国際ロマンス詐欺はサイバー犯罪の入門編でしかないそうだ。国際ロマンス詐欺で才能を開花させたエリートは、次のサイバー犯罪にステップアップすると。
ということで、当然ながら本にもヤフーボーイズが登場しインタビューしているが、残念ながらヤフー“プラス”ボーイズは出てこない。
サイバーと魔術の合体は、国際ロマンス詐欺そのものを主旨にしているこの本の内容からは少しブレてくるからな。
この本によると、ナイジェリアのヤフーボーイズは欧米人をターゲットにしていて、日本人を含むアジア人はほとんどターゲットにしていないようだが、時差とノウハウの問題だろうな。
騙す相手とのやりとりに、昼夜の生活リズムがある程度合わないといけなさそうだから時差の違いも参入ハードルになっている気がする。
とは言いながらも、ガーナを拠点にした日本人をターゲットにした国際ロマンス詐欺グループがあったみたいだけど。
ノウハウは…
“国内”ロマンス詐欺で名を知られた頂き女子りりちゃんのマニュアルを参考にしながら日本人ターゲット向けノウハウを蓄積していったナイジェリアのヤフーボーイズ精鋭部隊が上陸して来たら恐ろしいことになりそう。
ヤフーボーイズのマニュアルと頂き女子りりちゃんのマニュアルをチラ見したことあるけど、けっこう共通してるから飲み込みは早そう。
信頼関係の構築として、相手を否定しない、肯定と共感、相手に対して興味を持つ、相手に好意を持っている前提で会話をする、相手やその家族を気に掛ける…とか一緒。
違いがありそうなのは、ターゲットから金を引き出すところでの「ちょっと言いづらいんだけど…」的な“遠慮の素振り”の加減ね。グイグイ押すだけじゃなく、ちょっと引いてみる“遠慮”が上手くハマればターゲットが自主的に金を出そうとしてくるが、加減が難しそう。
ま、今のところ日本人をターゲットにしてるのはラオスのGTSEZとかミャンマーの詐欺工業団地、タイやカンボジア辺りにいる日本の反社グループだろな。
アフリカ勢の参入はまだまだだろう。
これはオレの意見だけど…
翻訳アプリの手軽さと精度の向上は、数年前と今とで全然違うように、数年後にはさらに向上しているであろうことを考えると、これまでは日本語という障壁に守られてきた日本市場への参入ハードルはますます下がっていくだろうし、
いわゆるディープフェイクの進化は騙しやすい世界にもなるかと。女性のフリしたおっさんでも、拾ってきた見ず知らずの美女の画像を使ってAIフェイススワップ(自分の顔を読み込んだ画像の顔に入れ替えちゃう)でビデオ通話したり、野太い声をAIボイスチェンジャーで可愛らしい女性の声にして電話したり、今や誰でもお手軽に出来てしまう。
文字や画像よりも信用判断基準の上位にくるビデオ通話(映像)とか声まで作り込まれてきたら、騙される人の数は増えることはあっても減ることはないんじゃないかと。
水谷竹秀著『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』
『ルポ 国際ロマンス詐欺』を書いた人が他にも面白そうな本を書いていたので、読んでみた。
タイトルそのままに、バンコクのコールセンターで働く日本人に焦点を当てたルポ。
たしか、コールセンターのタイ進出は三井物産系の旧もしもしホットラインと、トランスコスモスの2社が始まりだったはず。
日本のコールセンターのオフショア化は、中国の大連の方が早いと思うけど、その後にバンコクにも進出してる。
そんなバンコクのコールセンターで働く日本人とは…
働いている人は三〇代が中心で、ぱっと見はオジサンが多いです。学生の時、クラスに必ず一人か二人は変な子がいたじゃないですか? コールセンターはそれが全員集合したみたいな職場です。どこか一般常識が欠落したような人が多いですね。
なかなかクセの強そうな職場だ(笑)
ゴーゴーボーイ(男娼)にハマってゴーゴーボーイの子供を孕んだ女性、ゴーゴーボーイにハマるゲイ、日本から夜逃げしてコールセンターの安月給で妻と子供を養う男性…
バンコクのコールセンターに集いし日本人を追ったルポ。
女が男を買いにってのも全然あるもんな。
個人的に何人か知ってたけど、偶々全員が日本在住の主婦。大学生の娘がいる当時40代前半の何とかさんとかゴーゴーボーイを買いまくりのやりまくりだったけど、名前なんだっけ?と思って今LINEみたらいなくなってた。あれ?オレ、消された?
そういえば彼女もバンコクに住みたいって言ってたな。
まぁ、バンコクって己の欲望を解放しやすい謎の開放感と寛容さがあるからな。
その謎の開放感に飲み込まれるから、テレ朝の森本バンコク支局長みたいにタイ外務省相手に自分のチンコを出したりするのだ。
コールセンターは、英語もタイ語も出来なくても、学歴も職歴もなくても、漠然と“海外に住んでみたい”という願望を叶えてくれる手っ取り早い手段のひとつだとは思うが…
ハードルが低い分、“変な子が全員集合したみたいな職場”になるのは致し方ない。