今日、ロシアがウクライナに侵攻を始めた。
部分的というか限定的な侵攻はするだろうと予想して暗号資産や外貨を空売りしておいたが…ここまで本格的に(しかも堂々と)やるとはちょっと予想外だったな。
さて…
「NATOに入りたい!」というウクライナと、「それは許さん!」というロシアの立場があって、それぞれお互いの立場から「NATOとのPfPがどうこう」だとか「ミンスク合意がどうこう」だとか色々と主張があるんだけど、(大事な部分ではあるが)そこら辺の話よりも別なところに個人的には注目してたりなんかして。
意外とロシアに理解を示す人がいるというね…
例えば「友愛の理念に基づく世界平和の実現を究極の目的」とした東アジア共同体研究所の理事長にして、第93代内閣総理大臣の鳩山友紀夫氏はこんなことをツイートしておった。
忘れられてる事実がある。東西ドイツ統一の時、嫌がるソ連を納得させるため、米独はNATOをドイツから東に1インチも拡大させないと約束した。ところが約束は破られNATOは東方拡大し遂にウクライナまで近づいた。G7側はドイツ統一の時に約束したようにこれ以上緊張を高めることはしないと言うべきだ。
— 鳩山友紀夫(由紀夫)Yukio Hatoyama (@hatoyamayukio) February 22, 2022
例えば長年北方領土問題に関わってきた鈴木宗男氏は、自身のオフィシャルブログ「花に水 人に心」の2月22日付の投稿にこんなことを書いておった。
アメリカはウクライナの首都キエフに侵攻すると挑発しているが、東部2共和国の承認により、ロシアがキエフに侵攻することはないと私は思う。
懸念することはウクライナの軍が、この東部2カ国を攻撃した際、ロシア人の保護のためロシア軍が動く可能性があることだ。
2014年9月5日のミンスク合意を頭に入れず、この合意を破ったのはどちらなのか。冷静に考えるべきだ。
さかのぼれば東西冷戦の終結後、NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大はなしと約束したにもかかわらず、約束を破ったのはどこか。
両人とも暗に「そもそもNATOが悪いよね、ロシアの対応も仕方ないよね」と言っているようにオレは読めちゃう。
鈴木氏に至ってはドネツクとルガンスクを『東部2カ国』と国家認定までしちゃって、おいおい…腐っても参議院議員にもかかわらずウクライナの主権は無視ですか?と心配になってしまう。
どんだけロシアに懐柔されてんだよ?!って人が、日本の北方領土問題に取り組むとか謎すぎるな。
例えば新右翼団体・一水会はこんなことをツイートしておった。
ウクライナを巡る国内報道だが、相変わらず「ロシア悪玉論」ばかりだ。「次は北海道」「日本もウクライナに軍事援助を」と。吉本芸人までが調子に乗ってロシア脅威論を煽る。便乗商売にとっては格好のネタだ。しかし、こんな検証なき反知性主義の跋扈に、退嬰の芽がひそんでいると警告せざるをえない。
— 一水会 (@issuikai_jp) February 22, 2022
どっちが緊張を高めている真犯人なんだ?という情報戦の狭間にいると、欧米(NATO)寄りとかロシア寄りとか出てきてしまうのはある意味で仕方がないとは思う。
日本の場合は欧米(NATO)側発信の情報ばかりに晒されているのは事実なわけで、意図的に“よりフラットであろう”とすることで結果的にロシア寄りになるパターンもあるかもしれん。
「敵の敵は味方」理論で、反米だから親ロシア(もしくはロシア寄り)パターンもあるかもしれん。
まぁ、じゃあ…原因は全部NATO側にあって、悪いのは100%NATOだとしよう。
そうだとしても、ウクライナとの国境に大軍を結集させて軍事力で圧力をかけたうえに、実際に侵攻を始めたロシアに“理解を示す”のは違うと思う。
少なくとも日本国憲法には一切手を加えてはならないと教典のように崇め奉っている人は、特に。
教典には「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」って書いているのに、ロシアのオラオラな「国際紛争を解決する手段」には理解を示してたら意味不明だろ。
そういう点では「世界平和の実現を究極の目的」とされていらっしゃる鳩山氏ともあろうお方が、ロシアに理解を示している時点で意味不明だし、
北方領土問題に長年ご尽力され“日ソ中立条約を破ったのはどちらなのか”重々承知でいらっしゃる鈴木氏ともあろうお方が、「合意を破ったのはどちらなのか。冷静に考えるべきだ」などと言ってロシアに理解を示している時点で意味不明。
個人的にはロシアには強力な制裁を課して、自らの行動の報いを思い知らすべきかと。徹底的に追い込まれて自暴自棄になったプーチンが血迷って核の発射ボタンをポチッと押さない程度に。
国境沿いに大軍を集結させて威嚇した挙句、実際に侵攻することがいかに高い代償を払うことになるか…当事者であるロシアはもちろんのこと、事の成り行きを注視しているだろう中国に学習させるためにも。
国際社会の反応を見ながら、どこまでムチャしても大丈夫か?学習するには絶好の機会だからな。
理想は別として、実際問題「武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段」として大いに有効であることは事実としてあるんだけど、有効ではあるがいかに高い代償を払うことになるか?天秤にかける時の重りを今から国際社会は決定することになると。
近い将来、習近平が台湾や尖閣諸島で“冒険”したくなった時に計算するであろうその冒険の代償が、今のウクライナ問題で明らかになる…とも言える。
ここでぬるいことをすると、将来的に日本にとっても手痛い結果を招きそう。そういう意味では、国際社会は2014年のロシアのクリミア併合の時に対応を間違えたから、今回の侵攻があったと言えるかもな。
まぁ、ロシアとNATOの戦争にはならんだろ。
そもそもウクライナはNATOに加盟していないし防衛義務がない。核戦争のリスクを背負ってまでNATOがウクライナのために参戦するとは考えにくい。
結果的に、リスクを冒してでも強気にオラオラできる方が有利になってしまっているが、そういう世界では民主主義体制よりも中国とかロシアとか権威主義体制の方が強いだろうな。
そんな強気にオラオラできるもん勝ちの世界は…イヤだ。