ティグレ州で問題視されていること

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前回の続き。

エチオピア国防軍・エリトリア国防軍・アムハラ州軍・アファール州軍・アムハラ民兵組織ファノに攻め込まれてフルボッコ状態のティグレ州だが、ティグレ人民解放戦線 (TPLF)は戦いを止める気など全然なさそうだ。

武器を持ってる奴ら同士の戦いはおいといて…国連や欧米が問題視しているのは少し違うところにある。

以下、かなり不快な内容が含まれているのでそのつもりで。

まずは、国境なき医師団(MSF)のツイート。

メケレからアディグラトに向かっていたMSFの車と、その後ろを走っていたミニバスがエチオピア軍に止められ…MSFのスタッフが見ている前でミニバスに乗っていた男4人がエチオピア兵によって超法規的処刑をされたという報告。

最初は『TPLFのメンバーや関係者をあぶり出す』という目的だったんだろうけど、誰がそうなのか?分からないということに気付き、怪しいなと感じたら処刑し出したらそのうち全員怪しく感じてきた…的な流れで手当たり次第に処刑してるのかもな。

去年、ティグレ州が勝手に選挙をした時はTPLFが98.2%を得票して州議席をほぼ独占。数字だけ見ればティグレ州の奴らは皆TPLF支持者で、ある意味で全員関係者だ!的な思考になりそう。

証拠を持っているわけではないので完全なるオレの偏見になるが…98.2%の支持率なんて眉唾ものだけどな。それが暴力なのかもしれないし、色々な手を使って自分たちに投票させているはず。

ただ、TPLF=ティグレ州そのもの=全住民は敵という認識に陥ると超法規的処刑が横行する原因になるのかも。

アムネスティ・インターナショナル『Ethiopia: Eritrean troops’ massacre of hundreds of Axum civilians may amount to crime against humanity(エリトリア軍による数百人のアクスム市民の虐殺は人道に対する罪になる可能性)』

昨年11月に、ティグレ州アクスムでエリトリア軍によって一般市民数百人が虐殺されたとする話でも、11月28日16時頃から街中で無差別銃撃で市民を殺害した後、改めて家々を回って10代の少年や成人男性を処刑していったという行動をみるとそういう認識を持ってそう。

10代の少年や成人男性はTPLFの、正確に言えば軍事部門のティグレ防衛軍(TDF)の兵士になるのかもしれないし、すでに兵士かもしれない…と考えたから処刑していったんじゃね?

他にも…

ロイター通信『Eritrean and Ethiopian soldiers detain hundreds in Tigray(エリトリアとエチオピアの兵士がティグレで数百人を拘束)』

ティグレ州内にある4か所の難民キャンプを取り囲んで、500人を連れ去ったという話。

連れ去られた後にどうなったかは知らないが、同じ事件を取り上げているドイチェ・ヴェレの記事だとTPLFのメンバーが紛れ込んでいると考えて難民キャンプを襲ったっぽい。

国境なき医師団のレポートだと、ティグレ州内の病院や医療センターは“意図的に破壊”(国際人道法違反)されて正常に機能している病院は13%しかないとか…

井戸から水を汲み上げるためのポンプに砂を入れて壊して使えなくするとか…

CNNの報道だと、エリトリア軍が複数の地域で食糧支援を妨害し、物資を略奪しているというエチオピアの緊急調整センターの内部資料の話とかを見る限りだと…

TPLF=ティグレ州そのもの=全住民は敵という発想で、ティグレ州のためになることは全て妨害・破壊してそう。

上述のCNNの記事の中段に出ている7才の子供の写真は、オレが子供の頃に見た“アフリカの写真”そのものだな…ついに出てきたか。

女性もターゲットになっている。

エチオピア軍を支援するためにアムハラ州から隣接するティグレ州の西部に攻め込んできたアムハラの民兵たち。

アルジャジーラの記事によると、3人の子供を持つ34才の母親アクベレット(仮名)が住むフメラにもアムハラ民兵たちがやってきて「24時間以内に手ぶらで立ち去るように」最後通牒。「お前らの財産は全てアムハラのもの」だから手ぶらで出ていけと。

すぐに翌朝の3月8日、アクベレットは6カ月の赤ちゃんを背負い、4才と7才の息子たちを連れて徒歩で逃げることに。

7時間後、テケゼ川の橋で4人のアムハラ民兵に捕まり、子供たちと引き離され輪姦。

その後、民兵たちはアクベレットの膣に熱した鉄の棒を挿入したそうだ。

泣いて懇願するアクベレットに民兵たちはこう言ったという。

「お前は何も悪いことはしていない。問題なのはお前の子宮だ。お前の子宮はウォヤネ(TPLFを指す侮蔑語)を産む。ティグレの子宮は子を宿してはいけない」

エチオピアが第2のユーゴスラビア化するんじゃーか?と憂慮しているのだが…

やってることがボスニア内戦時の民族浄化と似てて、だいぶヤバいな。

恥辱を与えるだけじゃなく、民族の根絶を目指してるようだ。

このロイター通信の動画は、被害者へのインタビューだ。

'Raped by 23 soldiers': Ethiopian woman sheds light on sexual violence in Tigray conflict

この27才の母親はエリトリア兵23人に11日間レイプされた後、道端に捨てられて意識を失っていたそうだ。

動画では、被害者の膣内から取り出したという7.6cmの釘2本、石、ビニール袋、ティッシュといったエリトリア兵たちに詰め込まれた異物を医者が見せている。

性暴力の被害者の数に関しては出典元によって色々あるし、そもそも正確な数は把握が難しいと思うが、参考までに州都メケレのアイデール病院の報告だと「おそらく氷山の一角だと思うが」という前置きをした上で州全体で829人(4月時点)。

「2月22日、病院に『21歳の女性が集団レイプされ、エダガ・ハムスに投棄された』という緊急通報が入りました。報告によると、エリトリアの兵士が熱した金属の棒を使って彼女の外性器と内性器に火傷を負わせたとのことでしたが、治安の問題で救急車をすぐに送ることができませんでした。その後、通信が途絶えてしまったので、おそらく少女は死んでしまったと思われます」

こういう“病院に行く前に殺されちゃった人”は数字に入っていないようだ。

ちなみに、アビィ首相はレイプの存在自体は認めているが「プロパガンダ」と「誇張」というワードを入れている。エリトリア政府はもちろん認めていない。

日本語で読めるニュース記事としてはAFP通信『「軍服見ただけで怖い」 兵士からのレイプ被害訴えるエチオピア女性たち』などがあるが、外国語と比べると全然少ない。

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