アメリカのラッパーChildish Gambinoの新曲『This is America』が出たのは2カ月前。
社会風刺が満載のMVについて色々と考察が行われたり、世界中でカバーされたりとバズりまくったのも既に過去の話か?
今さら感はあるものの、アフリカなどでカバーされた『This is ~』シリーズをご紹介。
ナイジェリアver.
カバーとしては最も有名になった(と思われる)ナイジェリアのラッパーFalzは「誰もが犯罪者/This is ナイジェリア」から始まり、「警察署は6時に閉まる/セキュリティ上の理由」、「毎日は電気がこない」、「フラニ遊牧民はいまだに(他の農耕民族を)虐殺してる」などなどナイジェリアの社会問題を歌う。
1:03で「マダム・フィロメナはどこだ?」とヘビとお金を持ったおばちゃんが出てくるが、これは今年2月にナイジェリアで起こった公的機関である入試委員会の事務所から3600万ナイラ(約1100万円)が消えた事件のことを揶揄。
横領容疑で逮捕された職員のフィロメナは、警察の取り調べに対して「ヘビが3600万ナイラを食べた」と容疑を完全否認してヘビのせいにした。
シエラレオネver.
英語ベースのクリオ語は、現在形のgoを未来形にするとgo goになったり、How are you?はHow de body?になったり…
クセがすごい!!
なんとか聞き取れた歌詞としては「国にはほとんどインフラがねぇ/ミュージック、ムービー、スポーツ、オレたちが真に必要なのはスポンサー」とか。
一番オレが嫌いな発想(外国からの援助頼み)w
ウガンダver.
ナイジェリアのFalzは音的には原曲をほぼ忠実にコピーしていたのに対し、ウガンダのはアフロハウスな音にアレンジしてる。
近年倍増している幼児誘拐とかウガンダの社会問題を提起。幼児誘拐は以前だとカルト系武装勢力『主の抵抗軍』がやってたけど、最近は幼児の部位を黒魔術の材料にするために誘拐したりとか…身代金目的とかで増えているようだ。
南アフリカver.
これもただのカバーじゃなく南アフリカン・ヒップホップ色を上手く出したアレンジだ。
なんか、これを聞いてたら昔に南アフリカで微妙に流行ったラッパーZubzの曲『The Listener』を急に思い出して久しぶりに聞いてみたら全く似てなかった…
「南アフリカには良いところも沢山あるし、アフリカで最も美しい国のひとつなのは知ってるけど、あえてこのセンシティブな問題を取り上げる」と、女性に対する性犯罪や家庭内暴力について歌っている。
イラクver.
ついでにイラクver.もご紹介。
結局のところ、ステレオタイプなイラクのイメージを再確認するだけっていうか…
もうちょっとひねれないかなぁ?
日本ver.
日本のダンスチームAlaventaが『This is Japan』とカバーしたものの、言ってることが「インスタ映え」とか「マジ卍」とかただ流行ワードを羅列しただけで社会問題に何の関係もない内容だったもんだから「薄っぺら過ぎる」と炎上して即削除されている。
結局のところ…
「Kawaii」!!と“インスタ映え”するパフェの写真を撮ってる女子たちの後ろに並べたディスプレイで福島原発が爆発してる映像をループで流すとか…
麻原死刑囚らに死刑執行の号外ニュースを受けて、サッカーW杯コロンビア戦後の渋谷スクランブル交差点で狂喜乱舞するサポーターの映像を差し込むとか…
そんな風刺が“正解”だったのか知らんけど、個人的には「別にいいんじゃね?」というか、ただのカバー作品であってオマージュ作品ではないと思えばいい話だと思うんだけど…世間的には許されないようだ。
アフリカの各カバーと比較した場合、確かにアフリカの方が「内容が重い」のは確かだ。ただ薄い・重いの『社会問題の過激さ』比べになったら日本よりアフリカの方が重いに決まってんじゃん! モリカケ問題でThis is Japanとか言われても、はっきり言って外国人的には超どーでもいい話だし。エグさ対決になったら、モリカケ問題じゃインパクト弱いでしょ。
逆に、社会問題なんか目をそむけるぜ!頭の中はお花畑でマジ卍!的な主張こそThis is Japanだぜ!と開き直っちゃえばいいのに。性的目的のために搾取される女性問題などを議論していたタイ外務省のLINEスレッドで、いきなり己の小さなチ○コの写真をぶち込んで社会から抹殺されたテレビ朝日の森本尽バンコク支局長みたいに、日本人はそういう類いの風刺が得意そうだしな。
あれは風刺じゃなくてただの誤送信という説が最有力だし本人もそう言っていたようだが、「またまた謙遜して~、森本さんなりの風刺だったんでしょ?」とオレは思っていたり思っていなかったりする。
大体、アフリカやイラクのカバーだって「まぁそうでしょうね」というただ事実としての社会問題を列挙しているだけで、特にシエラレオネver.とか実は全然大したこと言ってないぜ。「スマホをひったくられる」とか別にシエラレオネだけじゃねーし、政治や治安に問題があるのは他のアフリカ諸国にも共通しているわけで…ニュースで普通に知ってる通りの情報をわざわざありがとう、みたいな。
そもそも「オレたちが真に必要なのはスポンサー」とか言ってること自体がおまえらの脳内に巣食う根本的な問題だということに気付いていないのが薄っぺらさに拍車をかけている。
ただ、個人的には別に「自分たちの国の社会問題がいかに深刻で悲惨なのか?」を競うのがカバーする時の流儀だとは思っていないので、「This is シエラレオネと言う時の発音がフランス語っぽくて耳に残るな…」程度の感想で十分なんじゃないか?とは思う。
結局のところ、ネットで叩かれてすぐ削除しちゃうまでの一連の流れを全て踏まえた上でのThis is Japanだったのかな?