Zのトモダチたち

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この前、知人とロシアについて話をしていて「世界でこんなに孤立しているのに…」みたいな言い方をしているのを聞いて、ん?となってしまった。

いわゆる西側の先進国だけを『世界』と捉えちゃうのってどうなんだろ?って…

認識の違いというか、確かに欧米からは孤立はしているけど、中南米やアフリカも含めて『世界』と呼んでいいのなら別にそこまで孤立はしてないんじゃないかな?と思っているワタクシ。

現にロシアのラブロフ外相は1月に続き今月もアフリカ諸国を歴訪している。

先月は、南アフリカ、エスワティニ(スワジランド)、アンゴラ、エリトリア。

今月は、マリ、モーリタニア、スーダン。

わざわざ2カ月連続で行くって…なんか必死だな。

最近はアフリカの一部でロシアの存在感が増してきているから、ロシアとしては今のうちに関係を強化しておきたいところなんだろう。

最近はアフリカでよくロシア国旗が振られてたもんなぁ…

例えば、去年のエチオピアの祝日アドワ戦勝記念日(3月2日)。

首都アディスアベバに集まった1万人の群衆が振る旗の中にはロシア国旗があった。

アドワ戦勝記念日は、19世紀にエチオピアの植民地化を狙って侵略してきた列強のイタリア軍を現在のティグレ州アドワで大敗させて撃退した戦いを記念する日。

「アフリカで唯一植民地化されなかったオレたち」というエチオピア人のプライドを再確認し、愛国心を暴上げするイベントでロシア国旗が振られたってことには意味があるわけで。

去年3月のエチオピアといえば、ティグレ戦争の真っ最中。

アビィ首相率いる正義の味方エチオピア連邦政府軍が、邪悪なTPLFと戦っているというのに…

ティグレ側の「連邦政府軍による大量虐殺・民族浄化が行われている」などとする根拠のないプロパガンダを鵜吞みにした西側の白人どもが、エチオピアに対してことさら“誇張”した非難をしているのは根底に偏見があるからだ!とか…

エチオピアを不安定化させて“アフリカ最古の黒人独立国家”を解体し、自分たちに都合の良い国に作り替えようとする人種差別的なアメリカ帝国主義者たちによる陰謀だ!とか…

そう信じている連邦政府支持者たち。

これ、別にオレの創作ではなくエチオピア国内で実際にあった主張を例として挙げただけ。もっと言うと、国際社会からの非難をこういう風に捉えるようにアビィ首相が世論を誘導させていたってのもある。

そういう脳になっていると、国連決議(S-33/1)で「国際人道法および国際難民法に違反してて、民間人を意図的に標的とした無差別攻撃、殺害、拷問、非人道的な処刑、強姦が行われていて、戦争犯罪および人道に対する罪を行っている」などとエチオピア非難をしてくるのは、西側の悪意ある偏見であり陰謀でしかない。

でも、そんな西側の偏見に満ちた国連決議にも反対票を投じてくれた味方がいた。

それがロシア!

ロシアはトモダチ!

みたいな感じで、愛国心が爆上り中のアドワ戦勝記念日でロシア国旗を振ったのだろう。

まぁ、ゴリゴリのアムハラ民族主義者辺りがロシア国旗を振ってるだけな気もするけど。

当たり前のことだけど、同じエチオピア国民でもティグレの人たちからしたらロシアは敵の味方(=敵)だろうし。

エチオピアと比べて、もっと直接的にロシアが存在感を示しているのが西アフリカ。

知ってる限りだと、この1~2年でブルキナファソ、マリ、中央アフリカでロシア国旗が振られている。

↓ブルキナファソ

Why is France being kicked out of Burkina Faso? | Inside Story

2022年1月、ダミバ大佐が文民政権に対してクーデターを起こし政権を掌握。

2022年9月、トラオレ大尉がダミバ軍事政権に対してクーデターを起こし政権を掌握。

1月のクーデター時も、9月のクーデター時も、首都ワガドゥグーに集まった支持者たちはロシア国旗を振っていた。

↓マリ

Mali: Hundreds show support for army and Russia

2021年5月、ゴイタ大佐が文民政権に対してクーデターを起こし政権を掌握。

首都バマコに集まったクーデター支持者たちはロシア国旗を振っていた。

↓中央アフリカ

Pro-Russia protesters rally in Central African Republic

首都バンギで開かれたロシアによるウクライナ侵略を支持するデモには約100人が集まった。

デモ参加者たちは「中央アフリカはロシアと共に」、「ロシアはドンバスを救う」、「ロシアと中央アフリカはナチズムに反対する」、「NATOのせいだ」などと書かれたプラカードを持ってロシア支持を表明。

デモ参加者たちが集まっているのは2021年にトゥアデラ大統領が建てた銅像の前。

なんと!女性と子供を守るロシア傭兵と中央アフリカ軍兵士の銅像だ。

銅像好きのオレとしては非常に気になるところだが…この銅像の写真を撮るためだけにバンギに行けるか?と自問してみれば、即答で否。

バンギなんてクソつまらないだろうから、後悔すること必至だろ。

ブルキナファソ、マリ、中央アフリカでロシア国旗が振られていたのには理由がある。

この3カ国に共通しているのが、暴れまくってるイスラーム原理主義勢力たちや反政府武装勢力たちのせいで国内の治安が悪い!!

ブルキナファソやマリの場合は、主にアル・カイーダ系の「イスラーム及びムスリムの守護者」(JNIM)が大暴れしているが、他にイスラーム国系の原理主義勢力などもいる。

中央アフリカは…よく分からんけど反政府武装勢力が14くらい暴れてたんだけど、一部が合体して「変革のための愛国者同盟」(CPC)になって首都バンギを攻撃して来たり。

治安を回復できない政府に国民の不満は高まり、その矛先はフランスにも向いた。

旧宗主国としてフランスは10年近く前からブルキナファソ、マリ、中央アフリカに軍を送って反政府武装勢力の掃討戦をしているにもかかわらず…

全然治安が良くならねーじゃん!逆に状況は悪化してんじゃん!

そんな不満が、イスラーム原理主義勢力を制圧できない文民政権に向いて…

治安回復が出来ない能無し政権と軍上層部は追放だ!と、2021年にはマリで、2022年にはブルキナファソで、若手将校がクーデターを起こし国民も支持。

ブルキナファソの場合、2022年1月にクーデターで政権を掌握したダミバ政権が期待外れで、9月時点で国土の40%を原理主義勢力に取られてて「こりゃダメだ」と別のクーデターを起こされて失脚。

当然、軍部によるクーデターってのはフランスをはじめとする民主主義国からは非難される。

しかも選挙によって選ばれた政権に対して軍がクーデターを起こしたから、なおさらけしからん!となる。

つい60数年前まで自分たちを植民地支配して「人権?はぁ?」と言ってた奴らが、今じゃ「やれ民主主義だ、やれ人権だ」と口うるさい。昔も今も自分たちの価値観を押し付けてくる点では何も変わってない。

しかも、10年前からイスラーム原理主義勢力掃討作戦をやってるのに、一向に状況は改善しない。フランス軍は役立たずなんじゃねーか?

フランスはもういらない!

これからはロシアの民間軍事会社ワグネルに頼もう!!

こうしてブルキナファソ、マリ、中央アフリカにいたフランス軍は撤退。

フランス軍の代わりに新たにパートナーに選ばれたのはロシアのワグネル。

ロシアは民主主義がどうこうとか口出ししてこないから、政権側にとってもフランスより好都合。

全然治安回復出来ない文民政権&フランス軍に不満を募らせていた国民も、(期待を込めて)軍&ワグネルを支持してロシア国旗を振ると。

オレの偏見だけど…

中央アフリカ人が「ロシアはドンバスを救う」ってプラカード?

表面上は別として、実際のところはドンバスがどこかも知らない(もしくは興味ない)だろうし、ウクライナとロシアの戦争自体にも(我々が中央アフリカで行われてる戦争に興味がないくらい)興味ねーだろうな。

フランスに対する当てつけというか、フランスに抱いていた治安回復の期待を裏切られた反動によるロシアへの期待という意味でのロシア支持なだけな気がする。

ただ、アフリカは全般的に独立直後に社会主義路線を採ってたから、旧宗主国の“西側”よりも社会主義陣営の盟主だったソ連の継承国ロシアにシンパシーを抱きがちってのは多少あるかもな…

世界で唯一、国旗にソ連製AK-47突撃銃が描かれているモザンビークも独立直後はマルクス・レーニン主義。

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