ソマリランド国境
エチオピアのハラールは、まだエチオピア高原にある町です。
ハラールから高原をくだり、ジジガに着くころには低地になっています。
ジジガという町で国境行きのバスに乗り換えて、ソマリランドへ向かいます。
より大きな地図で Harar to Hargeysa を表示
これが一番メジャーな陸路国境越えルートですが、他の入国方法は『ソマリランドの行き方』にまとめてあります。
これまでメケレアジスアベバ、アジスアベバハラールと、快適な長距離バスに乗って移動してきました。
オレが昔にエチオピアに来た時には存在すらしていなかった“高級”長距離バスです。
今はスカイ・バスと、セーラム・バスという長距離バス専業会社が2社あり、ミネラルウォーターやパン、お茶のサービスがあります。
時代と共に進化しているんですねぇ。昔と比べると感慨深いものがあります。
だが、あくまでも長距離バスであり、中距離・短距離は昔と同じようなバスで移動することになります。
はっきり言って、乗りたくなかったけど選択肢がない以上は仕方がない。
ハラールからジジガに向かうおんぼろバスですでにちょっと凹んでいたのに・・・
ジジガから国境に向かうバスは乗車率150%超で鬼のすし詰め状態。
2人掛けの席に3人が座り、通路には麻袋を置いてその上に座ります。
ギュウギュウに詰め込まれて国境まで耐え忍ぶのです。
ジジガから先に広がっているのは、不毛な景色がひたすら続く半砂漠。
オレの隣に座ったソマリランド人のおねえちゃんが片言の英語が話せる上に親切な人で、結局ハルゲイサまで一緒に行ったのですが、周りの人は皆親切でした。
ジジカ辺りから国連の車をちょくちょく見かけましたが、どうやらWFP(世界食糧計画)がジジガを拠点に活動しているようです。
ちなみに、エチオピアとソマリランドの関係はおおむね良好で集団安全保障条約を締結しており、この二国間での軍事衝突の危険は今のところないと思われます。
国境は、干上がった川が境になっています。
川の両岸はゴミの山、川底はヤギの散歩道になってます。
ソマリランドの入国管理は意外としっかりしていて、指紋読取機器と顔写真撮影用カメラが置いてありました。
ビザは、写真1枚と30USドルでその場で発給されます。
国境から首都ハルゲイサまで警察か軍の検問が9カ所くらいあり、いちいちパスポートチェックされるので国境からはパスポートを出しっ放しにしておいた方が楽。
入国管理官も高圧的ではなくフレンドリーで、沿ドニエストル共和国のようにカツアゲしようとしてくることもないし・・・ウクライナのように「金を払わなかったらここは通さねぇ」とか、キルギスのように笑顔で「お金ちょーだい!」と言ってくることもありません。
至極まともな国境です。
首都ハルゲイサまでの乗合タクシーも、入国管理官に聞けば教えてくれます。
ソマリランドの乗合タクシーは、乗客が満員にならないと発車しません。
タクシーも順番に客を乗せて行けばいいのに、それぞれのタクシーが我先にと客を奪い合うので、客が分散してしまうといつまで経っても1台の車に満員にならず非効率的このうえない。
オレが乗り込んだセダンタイプのタクシーは、3人は集まったが満員まであと2人必要。
一方、別なミニバンタイプのタクシーはあと3人集まれば満員になり発車出来る。
当然、オレが乗り込んだタクシーの3人が移動すれば別なタクシーはすぐ発車出来ます。
別なタクシーの運ちゃん「こっちに乗ったら、すぐ発車するぞ」
オレ「じゃあ、そっちに乗る」
最初に選んだタクシーの運ちゃん「オレの客は渡さん!」
こうして客を巡ってタクシーの運ちゃん同士でケンカがはじまり、放置された客はそのケンカをボーっと眺めることになります。
運賃先払いなので、オレの払ったお金をもっているタクシーの運ちゃんが別のタクシーにオレの分のお金を渡さないと話がこじれるのです。
オレの場合は、入国管理官が仲裁に入って無事に別なタクシーに移ることが出来ました。
ただ、このやりとりで30分以上をムダに・・・
首都ハルゲイサへの道
国境からの景色は、ずーっと半砂漠。
な~んにもない。
国境を出てしばらくは未舗装道路でしたが、すぐに舗装道路になります。
工事中だったので、全面開通すれば首都ハルゲイサからエチオピアを結ぶ道路は全て舗装になるはずです。
道中の検問所は「検問ですよ!」と分かりやすいように絵が描いてあります。
エチオピアからソマリランドに入って「あれ?なんか違う・・・」と思ったのが、文字でした。
今までこんなアムハラ文字だった表記が、ローマ字表記になって読めるようになった!!
ソマリ語の意味は分からずとも、なんと書いてあるか読めるだけでも全然違います。
半砂漠を走り続けて辺りが暗くなりはじめた頃、少し丘になった場所に建物が多く見え始めました。
首都ハルゲイサです。