映画『暁に祈れ』

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タイでは公開されていなかった映画『暁に祈れ』を帰国後さっそく鑑賞。

あらすじ

タイでドラッグ中毒になってしまったイギリス人ボクサーのビリー・ムーア(ジョー・コール)は、警察の家宅捜索を受けて逮捕され、刑務所に収監される。汚職、殺人、レイプが公然と行われている劣悪な刑務所で、死の危険にさらされたビリーは、所内に設立されたムエタイチームの門をたたく。懸命にムエタイを習得することで、彼はこれまでの自堕落だった自分と決別し、生きる希望を見いだす。(出典:シネマトゥデイ

ビリー・ムーアが2014年に発表した自伝『A Prayer Before Dawn: A Nightmare In Thailand』の映画化。

実際にチェンマイ中央刑務所と、バンコクのクロンプレム中央刑務所に服役していた著者の体験を、映画内でもリアリティを追求して描写したジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督。

リベリアの少年兵を描いた監督の前作『ジョニー・マッド・ドッグ』同様に、今作も“語る映画”というよりは“見せる映画”に仕上げている。

ひたすら刑務所内の過酷な環境を描いてリアリティを出すため、ロケ地も本物のタイの刑務所、エキストラも本物の元囚人を起用。

正直、「タイの刑務所がどんな感じか?めちゃくちゃ興味がある!」って人以外には評価が分かれそうな気はするところ。そんな人がいるのかは知らんが。

ま、大方の予想通り絶望的な環境でしかないんだけど(笑)

ムエタイの試合も、リアリティの追及の結果なのか?接写を多用するカメラワークが気になるところ。個人的な好みの問題だけど。

オレ個人的には…もう少し引きで撮ってもらった方が好き。

要するにこの映画は、ムキムキ主人公(ジョー・コール)がいて、汚い刑務所があって、全身タトゥーだらけの男たちがウジャウジャ出てきて、そいつらをボッコボコにする看守がいて、接写で殴り合いを見せられるただただマッチョな映画。

この映画…タイでは公開しなさそうな気がするな。

ムダに『自国のイメージ』を気にする現政権的には、この映画で描かれているタイなんて良いところがひとつもない(笑)

ホントにタイの刑務所はこんな感じなのか?

所詮は又聞きなので、どこまでが本当なのか?は分からないけど…

友達が高校(インターナショナルスクール)時代に、同級生が飲酒運転で警官を轢き殺して刑務所に入ったことがあるらしく「まさにイメージ通りの刑務所らしいよっ!w」って言ってた。

雑居房の中には、座布団を何枚か重ねて高くした上に房のボスが座って君臨してるみたいな。

両親が「我が子を守らねば!」つって、とんでもない額の賄賂を裁判官たちに払ってすぐ出所させたみたいだけど…両親に権力と資金力がなきゃムリだろうな。

出演者

なんか見覚えのある顔が映画に出てるな…

と思ったら、ムエタイのトレーナー役はタイの英雄ソムラック・カムシンだった!!

伝説の最強ムエタイ選手ベスト10には名前が出てくる天才タイプのファイターだが、実は無冠の帝王。実際には試合でルンピニ王者を倒したりしているのだが、プロモーターがタイトル戦を組まなかったためムエタイのタイトルを保持したことはない。

ただ、国際式ボクシング転向後にタイ史上初のオリンピック金メダリストに。

確か…オレの記憶が正しければ、ソムラックはその金メダルを王様に献上したはず。

初の金メダリストになったことで巨万の富を得て数々のビジネスに手を出すものの、所詮はビジネスの素人だったため、ことごとく失敗。

逆に借金まみれになるという急転直下の人生。

その後、ノンタブリー県のよく分からん場所で始めた韓国焼肉レストランが起死回生の一発となり復活。さらには映画内でジェット・リーと戦ってみたり、歌を歌ってみたりと、「また調子に乗り出したな」って頃までは何とな~く知ってた。

Jet Li Vs Somluck Kamsing – Fearless Fight Scene

「最近は元気かな?」ってソムラックのことを気にしたことは正直一度もないけど、この映画で久しぶりに見た!!

もう一人、見覚えのある顔が。

凶悪犯の囚人たちを束ねるリーダー役は、タイのネットアイドルパンヤ・イムアンパイ

通称ゲーン・ライプラーン。

まぁ、この顔でネットアイドルとか言われても意味が分からないですよね?

正直、オレも分からない。

強盗と殺人で8年間服役し2011年に出所後、フェイスブックでフォロワー数200万人を誇るネットアイドルになり、一躍セレブに。

歌を歌ったり、俳優活動をしたりと活躍。

人気の理由はオレも分からない。

やっぱ、見た目のかわいさ…かな?

つまり、彼も服役経験のある本物の元ギャングスタ。

ま、日本だと服役経験のある人が出所後に社会復帰しようと思っても、社会が受け入れてくれないとか厳しいところがあるが、タイでは服役経験のある顔面タトゥー男でもアイドルになれちゃうという…ある意味でタイ・ドリーム(?)を体現している。

しかも、童顔の19才バターちゃんと結婚までしちゃうというロリコンっぷり。

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ただの犯罪写真にしか見えないのに、7000いいね!!

2017年初頭に、この映画に出演したことでカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いた彼だったが…同じ年の8月になぜか10年前の薬物事件(獄中で少量のクリスタル・メスを売った罪)で逮捕され、罰金28万バーツと禁固3年4カ月の実刑判決。

まさかの現在服役中。

ということで、彼だけは元囚人ではなく現役の囚人になってしまった。

つまり…

この映画は「メーンキャスト以外はすべて本物の元囚人」ではなく、

「現役の囚人を含むメーンキャストと、元囚人のエキストラたち」の映画。

投げ銭Doneru

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