読んだ本3冊

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だいぶ久しぶりに書く読書記録。

増田俊也著『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

本が分厚いっ!! 漬物石くらいある。

なかなか大仰なタイトルだが、ようは日本柔道史上最強と言われる木村政彦の伝記本で、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しているらしい。

「台本あるかと思ったらガチでやる気じゃん!」とアントニオ猪木との試合前に気付いたモハメド・アリと、「台本通りで試合よね」と力道山との試合に臨んだら試合中にいきなりガチで来られて油断して負けた木村政彦の違いと…

スポーツとしての柔道か、武道としての柔道かの違いと…

色々あって木村政彦は力道山にKOされちゃったけど、ホントの木村政彦は間違いなく史上最強なんだぞっ!という木村政彦愛を漬物石くらいの分厚さで説明してくる本。

満足度:★★★☆☆

高木徹著『ドキュメント 戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』

世界から見向きもされない戦争と、世界の注目を浴びる戦争。

世界を味方につける側と、世界を敵にまわす側。

1990年当時と、ネットが当たり前になって情報が瞬時に世界に広まる今とでは違いはあるけど、戦争における情報戦の重要度というのは今も昔も変わらない。

そういう意味では今読んでも面白い本。

『民族浄化(Ethnic cleansing)』を世界の皆に刺さる新しい単語として“バズらせた”のは、ボスニア側を被害者、セルビア側を加害者に仕立てるというか…国際社会(主にアメリカ)にそんなイメージを持ってもらうための手段だったと。

単語自体は旧ユーゴスラヴィアに以前からあったらしいけど、それを英語に翻訳して、ナチスによるホロコーストを“連想させる”『民族浄化』という単語にして世界に広まったのはボスニア紛争からみたい。

実際はどちらの側も同じようなことをやってたんだけど、ボスニア側には「セルビアがボスニアで民族浄化をしてる!」と宣伝してくれるアメリカの広告代理店が付いて、セルビア側にはいなくて…結果、セルビアが悪者に決定!

バルカン半島みたいなヨーロッパ辺境の地の、聞いたこともない国での戦争なんて、一般のアメリカ人には関係がないし興味すら持たない。それをいかに関心を高めてアメリカの世論を動かし、議会を動かし、アメリカ政府も動かざるを得ない状況にもっていくか…

ざっくり言えば広告戦略のお話。

あえてこういう書き方をするけど、

イスラエルのガザ侵攻で、ウクライナの印象が少し弱まったけど、それでもまだウクライナに対する関心度は低くはない。

でも、ミャンマーに対する関心度はどうだろ?

相当薄れて「あっ、そういえば…」と忘れかけているかもしれない。

シリアは?

もう何年も前に忘れちゃってたかもしれない。

スーダンは?イエメンは?

そもそも最初から知らないかもしれない。

それが悪いか良いかは知らないけど、そもそも人間は“新鮮な悲劇”のニュースを耳にするとどんどん上書きされちゃって、新鮮さを失くした現在進行形の悲劇のことは脳のキャパ的に薄れていくものなのかも。もしくは情報過多社会の弊害。

戦争なんてどれも戦争で一緒のはずなのに、注目度に違いが生まれてくることを考えると…残念ながら情報の新鮮さとはまた別の“バズり要素”って無意味ではないというか、逆に注目を集めるためには必要なのかなと。

満足度:★★★★☆

津田信著『小野田少尉との三カ月「幻想の英雄」』

終戦後29年もフィリピン・ルバング島で戦っていた小野田寛郎の手記『わがルバン島の30年戦争』のゴーストライターが書いた本。

世間で英雄視されていく様と、自分の知っている小野田さんの“真の姿”に違和感を抱きまくっちゃって暴露本を出してみたと。

簡単に言ってしまえば、小野田さんってただの変人ってところに行き着くんだろうけど、まぁ変人であったことは間違いないだろうな。

もし普通の人だったら終戦後29年も戦ってないだろ?

終戦後もずっと戦っていたという事実もあるし、晩年の小野田さんが日本会議に関係していたりとゴリゴリの右寄り思想の旧軍人なイメージがあるが、この暴露本が事実なら…実際には思想的なものとか天皇に対する感情といったものは持ち合わせていなかったのかもしれんな。

ルバング島のジャングルから30年の時を経て日本社会にタイムスリップしてみたら、周囲から「軍人の鏡だ!」とかヨイショされていく中で“右寄り”キャラに目覚めた可能性もある。

小野田さんの手記は似たようなやつが何冊も出ているが、オレが読んだことがあるというか、持っているのは朝日文庫から出ている『わが回想のルバング島』。

ブラジルまで小野田さんに会いに行こうかと思ったことがあるが…オレが全然ブラジルに会いに行かないから2014年永眠。

っていうか、今調べたら晩年の小野田さんって東京・佃(月島の隣)在住だったらしい!!

もんじゃ!!

わざわざブラジルに行く必要なんてなかったし、都内なら簡単に会いに行けてたじゃん…

会ってくれたかは知らんけど。

満足度:★★★☆☆
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