俺のタティクパピク

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10月20日にアゼルバイジャン軍が占領したと主張しているナゴルノ・カラバフのヴァンク村。

そんなヴァンクで最大の見所のひとつが、このライオン岩

Valen1988 / CC BY-SA 4.0

『ライオン岩』などと名付けているが、目の部分以外は後付け人工ライオンである。

しかも、tert.amの記事によるとこれを作ったアーティストのアラム・アヴァギャンは「ライオンを作ったら車のプラドを買ってあげる」と言われて3年かけて制作。

結局、報酬が支払われなかった『まんまと騙されてタダ働きで作ったライオン』。

もし今回の戦争で破壊されていたら、まんまと騙されてタダ働きで作ったうえに壊される…という悲劇。

さて…『俺のイタリアン』や『俺のフレンチ』は人気があるのか?ないのか?行ったことがないので知らないが、『俺のタティクパピク』は大人気である。

かわいい『俺のタティクパピク』はどこで何をしているのか?

写真用のファクトチェック・ツール等を駆使して、行方を捜してみた。

まずはアルメニアのshamshyan.comというニュースサイトのこちらの記事

記事というか、ナゴルノ・カラバフの名士たちが連名で出した声明文だな。

「世界よ、ナゴルノ・カラバフを承認してくれ!」という声明に、『俺のタティクパピク』が使われている。

同時に“極悪”アゼルバイジャンと、同じテュルク系民族で兄貴分の“非道”トルコの、極悪非道ブラザーズに対する非難も忘れてはいない。

2004年にハンガリーのブダペストで起こった事件についても言及している。

NATO主催のセミナーに参加していたアゼルバイジャン軍のラミル・サファロフ少佐が、同じくセミナーに参加していて同じ宿舎に泊まっていたアルメニア軍将校の寝込みを襲い、斧でメッタ打ちにして惨殺した事件。

ハンガリーで終身刑になるも犯罪人引渡し条約でアゼルバイジャンに帰国すると、即恩赦&階級も昇進して“国民のヒーロー”に。

サファロフってカラバフ難民なんだよね。

今回のを第二次とすると、1990年代の第一次ナゴルノ・カラバフ戦争の時にアゼルバイジャン人住民が追い出されたジャブライルの出身。今月頭にアゼルバイジャン軍がジャブライルを“解放”した時も「英雄ラミル・サファロフの生まれ故郷を奪還!」って報道してたし。

サファロフが先陣を切って故郷ジャブライル奪還作戦に従軍し、奪還した故郷で涙する!とかいう演出をしたらアゼルバイジャン世論は盛り上がったと思うんだけど、そういう演出はしなかったようだ…

続いては、イギリスのNewStatesmanというニュースサイトのこちらの記事

記事を書いているのはアルメニア系イギリス人。

「アルメニア系だけどナゴルノ・カラバフに行ったことも、タティクパピクを見たこともない」ということで、『俺のタティクパピク』が使われている。

イギリスへ流れ着くまでの彼女の家族の歴史は興味深いが、彼女に限らず多くのアルメニアン・ディアスポラは似たような道を辿っているのだろう。

彼女の祖父母は第一次世界大戦の頃まではトルコのキリキアに住んでいたらしい。

キリキア地域はカッパドキアの近くだが、ここはその昔キリキア・アルメニア王国があったくらいアルメニア人が多く住んでいたと。

ところがオスマン帝国によるアルメニア人虐殺があって、それから逃れてイスケンデルン(当時のフランス委任統治領シリア)に移り住んだけど、第二次世界大戦直前にイスケンデルンがトルコ領になっちゃった。

今度はレバノンの首都ベイルートに逃れて、ここで彼女のお父さんが生まれる。

そしたらレバノン内戦が起こってキプロスへ逃れて、最終的にイギリスに流れ着いた的な。

レバノンもアルメニア人ディアスポラのコミュニティが大きいみたいで、アルメニア革命連盟って政党がレバノン国会に議席持ってるくらいだしな。

シリアにもけっこうアルメニア人いるでしょ? 今、シリア内戦でシリア民主軍に参加して戦ってる『殉教者ヌバール・オザニアン旅団』はアルメニア人の武装勢力だし。

ちなみにヌバール・オザニアンって、2017年にイスラム国(ISIL)の“首都”ラッカを攻略する時に戦死したアルメニア人のおじさん。

意外と『俺のタティクパピク』が真面目な使われ方をしていることが分かった。

もう少しふざけた使い方をしているのがあってもよかったのだが、今のところ発見できず。

例えば…

ナゴルノカラバフ防衛の最終兵器タティクパピク、ついに発動!!

目からレーザー光線を出してアゼルバイジャン軍のドローンを撃ち落としているパピクと、エネルギーを充填中のタティク!

アゼルバイジャン軍がステパナケルトに侵攻してきたら、今は地中に埋まっているその全身を現し、シールドとビームサーベルで撃退するぞっ!

…とか、やらないんだね。

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