女性バックパッカー殺人事件1

スポンサーリンク

お気づきだと思うが、最近はタイの過去ニュースにハマっている。

現在に至るまである程度の年月が経過していることによって、その後の一連の流れが分かるのが過去ニュースだ。

今回は、2000年に起こったある事件について…

当時はオレもタイに住んでいたが、この事件に関しては記憶に一切ない。

事件概要

23才のイギリス人女性カースティ・ジョーンズは、2年の予定で世界一周中のバックパッカーだった。

旅に出て3カ月目の2000年8月4日、カースティはタイ北部のチェンマイを訪れた。

宿泊したのは、チャンマイの旧市街ムーンムアン通りソイ9にあった1泊60バーツ(当時のレートで約160円)の安宿『アリーズ・ゲストハウス』。

到着早々、山岳民族カレン族の村を訪れる3日間のトレッキングツアーに申し込み、5日から7日までトレッキングした後、再び同じ宿に戻ってきたカースティ。

8月9日夕方、知り合ったパッカーたちと3人で食事に行って酒を飲み、夜11時頃にナイトマーケットに行ってイギリスにいる家族へのお土産品を購入。

ナイトマーケットにも一緒に行ったのは、別の宿に泊まっていたイギリス人女性バックパッカーのサラ・ウィジェットだが、サラは11時半に自分の宿に帰っている。

その45分後、日付が変わった直後の10日0時15分頃、『アリーズ・ゲストハウス』のカースティの部屋から「出てって!助けて!」という叫び声を他の宿泊客たちが耳にする。

10日16時30分、部屋のベッドの上で顔を下にし半裸で首に青いサロン(腰布)を巻かれた状態で死んでいるカースティを発見した、とゲストハウスのメイドから警察に通報が入る。

性的暴行を受けた後の絞殺だった。

容疑者

事件後、第一通報者のメイドが「夕方16時30分に遺体を発見したというのは虚偽だった」と警察に告白する。

実際には午前10時30分に発見して慌ててオーナーとマネージャーに報告したところ、「いくつかの問題を処理するまで黙っておくように指示された」と言う。

警察はすぐに容疑者を絞り込み、この中に犯人がいると見て取り調べをはじめた。

【アンディー・ギル(32)】在タイ12年になるゲストハウスのイギリス人オーナー。酒乱で知られており、カースティさんの遺体発見後行方不明になる。2日後にバーで酒を飲んでいるところを発見されたが、タイのビザが2年前に失効していることが発覚して強制送還になることを恐れての逃亡と主張。

【スリン(47)】ゲストハウスのタイ人マネージャー兼麻薬の売人。違法薬物を隠すために警察への通報を遅らせるようメイドに指示したと言うが、彼の部屋からはアンフェタミンとマリファナ、そして裸の白人女性が縛られて四つん這いでポーズをとった写真の絵葉書が見つかった。

【ネイサン・フォーリー(27)】同宿のオーストラリア人バックパッカー。殺害される数時間前までカースティさんと一緒に食事に行っていた。ナイトマーケットには一緒に行かず、睡眠薬を飲んで寝たので悲鳴は聞いていないと証言。

【スチュアート・クライトン(28)】同宿のオーストラリア人バックパッカー。ストリートファイト好きのヘロイン中毒で、部屋からヘロインと大麻が見つかった。

【ステファン・トリッグ(27)】同宿のイギリス人バックパッカー。旅に出て4年目のひげ面。犯行時刻にカースティさんの部屋から「出てって!助けて!」という叫び声を聞いたと証言。ただ、それ以上は叫び声が聞こえなかったのでベッドに戻って寝たと主張。

【グレン・リスター(年齢不詳)】同宿の旅行者。元モルモン教の長老とか、元CIAのスパイを自称し、空想か現実か話すことは支離滅裂。自動車事故で頭部を負傷し、その治療のためにタイに来たと言う。

【ナロン“アブラハム”(34)】カースティが殺害される2日前まで参加していたカレン族の村を訪れるトレッキングのガイド。自身も山岳少数民族で、タイ国籍を持っていない無国籍者のカトリック教徒。

容疑者のバックパッカーたちは全員が長期滞在(いわゆる沈没組)だった。

事件にかんして全員が容疑を否定し、DNA鑑定のために自発的に毛髪などを警察へ提出。

この事件の捜査を指揮していたプラシット・タムディ警察大佐は「この容疑者たちの中の1人が殺したことを確信しており、(DNA鑑定結果が出る)7日から10日以内には犯人を逮捕する」と自信を見せた。

その一方で「被害女性は合意の上のセックスを楽しんでいて、行き過ぎたプレイで“誤って”死んでしまった事故だろう」という見解を示し、発言は海外の20以上の報道機関を通じて世界を駆け巡った。

プラシット警察大佐は、直後にイサーンに左遷される。

DNA鑑定の結果…容疑者全員がシロだった。

さらに、殺害されたカースティの体内に残っていた精子のDNAがアジア人であることを示していたにもかかわらず、チェンマイ警察は宿のオーナーであるイギリス人のアンディー・ギルを最重要容疑者として考え続けていた。

飛ばされたプラシット警察大佐の後任として指揮を執ることになったステープ警察大佐は「ギルが殺人犯であり、現場で発見された精子は外国人殺人犯が買ってきたタイ人の精子に違いない。レディボーイ(いわゆるニューハーフ)とか男娼とかトゥクトゥクのドライバーとか、金のためには精子を売ることを全くいとわない人はいくらでもいる」と主張。

この主張はチェンマイ大学法医学部部長タニン博士によって否定され、非難されている。

アンディー・ギルは10週間留置所に入れられた後、不法滞在によりイギリスへ強制送還されている。その後、イギリス警察によって再度の取り調べが行われたがギルは容疑者リストから外された。

チェンマイ警察は混乱してしまった。

欧米人が犯人に違いないという前提で捜査をしていたのに、科学的根拠がそれを否定してアジア人が犯人であることを示しているからだ。

そこで良い方法を思い付いた。

容疑者の一人だったトレッキングガイドのナロン“アブラハム”(34)だ。DNA鑑定の結果、犯人のDNAとは合致していなかった男だ。

ある日の夕方、道路脇を歩いていたナロンの後ろからバンが近づいてきて、車内から現れた男たちに彼は誘拐される。安っぽいモーテルのような部屋で目を覚ましたナロンは、男たちに裸にされ拷問を受ける。

「タイのためにカースティ・ジョーンズ殺害を自白しろ」と。

結局、ナロンは拷問の途中で気を失い、次に目を覚ました時にはチェンマイ郊外の警察署の留置所の中だった。なぜ警察署にいるのかも説明されず、最終的にナロンは解放された。

ナロンは、自分が何も悪いことはしていないことを神が知ってくださっており、拷問の苦しみから守ってくださると信じていたと述べている。

捜査は振り出しに戻ってしまったが、2002年1月に進展をみる。

新たに5人の容疑者が捜査線上に浮かんだのだ。

4人のツーリストポリスと1人のタイ軍将校のグループである。

スポンサーリンク
広告(大)
広告(大)

この記事をシェアする

フォローする

関連コンテンツユニット
スポンサーリンク
広告(大)