チューウィット

スポンサーリンク

彼は元気かな?

前回のブログでタイについて書いていて、なぜか急にチューウィット・カモンウィシット氏のことを思い出した。

2020年にもなってチューウィットについて書くやついるんか?

ここにいます。

その昔…チューウィットは、コパカバーナ、ヴィクトリアズ・シークレット、エマニュエル、ジュリアナなどを展開するタイ最大のソープランドチェーンだったデイビスグループの総帥で『タイの風俗王』としてその名を轟かせていた。

ちなみに、タイのソープランドって実質的には(本番行為をやるから)違法なんだけど当たり前のように存在していることは…深く気にしてはいけない。

そんなチューウィットが“時の人”になったのは2003年。

当時はバンコクに住んでいたオレもあの騒ぎは知っている。

あの頃、スクムビット通りに面したソイ10辺りは『スクムビット・スクエア』というオープンバー街だった。確か日本人にも出店していた人がいると聞いたことがある。

そんなスクムビット・スクエアの土地を買い上げて、「新しいソープランドを建てる!」とオープンバーのオーナーたちに立ち退きを迫ったのがチューウィットだ。

オレの記憶が正しければ…スクムビット・スクエア自体が昔から流行っていたわけじゃなく徐々に流行り出した頃だったので、波に乗って新規で出店したばかりというバーも多く、数十軒のオーナーたちが立ち退きを拒否。徹底抗戦の構えを見せているオーナーもいて色々とトラブっているというのは風の噂で耳にしていた。

ある日の早朝、予告なしに数百人の謎の男たちがブルドーザーと共に乗り込んできて問答無用で全てのバーを完全破壊。スクムビット・スクエアは写真の通り瓦礫の山と化した。

器物損壊行為をしたとして陸軍中佐を筆頭に130人が逮捕されたが、一審では「事件当時は暗くて特定が不可能」として証拠不十分で129人が無罪になっている。

風俗王の地上げを実力行使してあげたのが軍だったというね…

一方、この事件で警察に逮捕されたチューウィットは、保釈後の記者会見で「警察にはめちゃくちゃ賄賂を払ってきたのに守ってくれなかった!」と逆ギレし、警察との全面対決へ。

過去10年間にわたり月平均1700万円もの賄賂を延べ数百人の警察に払ってきたとし、何人かの警察高官を実名公表。

さらには警察高官に自身のソープランドで“無料サービス”を受けさせていたと暴露。ソープ嬢の証言で裏取りまでしてみせた。

この暴露の直後チューウィットは行方不明になり、2日後に衰弱状態で道路脇にいたところを発見される。彼によると警察に拉致られて拷問されたらしいが、自作自演劇という説もある。

この年、なぜか有名俳優を本人役として起用して風俗王に成り上がるまでの自伝映画を製作。よく知らないが、興行的には普通にコケてるはず。

誰も観ねぇーだろ、ヒゲ面のおっさん風俗王が主人公の映画なんて!

その後、自身が経営するソープランドを全て売却し、2004年のバンコク都知事選に出馬。

30万票以上を集めるも惜しくも得票数3位で落選。

翌年には「警察の腐敗と戦う!」と国政選挙に出馬し、当選して下院議員になっちゃった。

「え?贈賄側だったくせに腐敗と戦うって何?」と思うかもしれないが、あまり気にしてはいけない。

警察にみかじめ料を取られるのは当時のタイでビジネスをする場合には“あるある”なので、被害者意識を共有する有権者からの支持を得やすい公約ではあった。

「っていうか、そもそもソープランドって違法じゃね?」と思うかもしれないが、本人曰く「個室内で何をやっているのか私は知らない」ということなので…

知らないならしょうがない。

あくまで建前論で、客が入浴するための補助をする女性を付けるが、部屋の中で客と女性従業員が何をしようが店としては関与していないと。「えー!本番行為やっちゃったりするんですか?!知らなかったぁ~」という体裁。

そんなの信じてるやつ、この世に1人もいないけど。

ただ、下院議員になった直後に選挙規定違反で失職している。

2008年のバンコク都知事選に再挑戦するも、テレビ出演した際にキャスターに殴る蹴るの暴行を加えたことが影響して落選。

2011年に自身の政党を立ち上げて国政に再挑戦。

ブル・テリアの愛犬『モトモト』を前面に押し出して「政治家より犬の方が信用できる」という謎の選挙運動を行い、犬のかわいさの助けもあって100万票以上を集めて自身の政党から4人の下院議員を出す。

下院議員として警察改革に乗り出した元風俗王は「警察の悪事を批判しまくり作戦」を発動し、結果的に当時の警察長官を解任させている。

一定の人気を誇ったチューウィットだが、人気の理由は愛犬モトモトのかわいさだけではないはずだ。多分だが…娘が美人だからだな。

一般人にもかかわらずファンクラブもある。

もちろんチューウィットのではなく、娘タイアの。

軍事クーデターが起こる直前の2014年2月、選挙で投票するため自宅を出たチューウィットは、選挙ボイコットを求める黄シャツ隊支持者に絡まれ…

そいつをヘッドロックで返り討ちにする。

翌月、スクムビット・ソイ24にあるチューウィットが経営するザ・デイビス・バンコク(エロくないちゃんとした高級ホテル)に銃弾5発が撃ち込まれる。防犯カメラにはバイクに乗った2人組が拳銃をぶっ放すところが映っていたそうだ。

それを受けて「そっちが拳銃でくるなら、オレはショットガンだ!」と、ショットガンを振り回すチューウィット。もう見た目がマフィアじゃん…

絶対、ヘッドロックした仕返しで撃ち込まれたんだよ。

スクムビット・スクエア破壊事件から13年後の2016年、チューウィットに禁錮2年の実刑判決が下るが、同年に恩赦で出所。

「ん?13年後?速攻で恩赦?」と色々気になるかもしれないが、あまり気にしちゃいけない。

なお、スクムビット・スクエアの跡地に結局ソープランドは建たなかった。

自身の名前を冠した『チューウィット公園』になっている。

今はチューウィットも政界を引退して悠々自適に暮らしていることだろう。

あのお騒がせ暴れん坊・元風俗王のおじさんは元気かな?

スポンサーリンク
広告(大)
広告(大)

この記事をシェアする

フォローする

関連コンテンツユニット
スポンサーリンク
広告(大)