最近、こういう人はみんなから敬遠されてしまうのではないか?と心配している。
ポジティブ(+、陽性)であることを自ら公言しているのは素晴らしいが、言われた方からしてみれば新型コロナウイルスの話をしているのか、ただのお前の思考傾向の話をしているのか分からないので、え?どっちの話?となる。
逆に、己のネガティブ(-、陰性)さを前面に押し出してくる奴は妙に安心感がある。
昔の話だが、何となく「ポジティブ」という言葉に良い印象、「ネガティブ」という言葉に悪い印象を持っていた。日本ではそういうニュアンスで使われることが多いことが影響していただけで、単語の正しい意味を知らなかった。
以前、19才の時に海外で女にクスリを盛られて結果的に不眠不休でやりまくった話を書いたことがある。
お金も取られていないし…なぜだ?
女の動機が分からずにモヤモヤしていたオレはある結論に達した。
あの女…もしかしてHIVに感染していて、オレにうつすのが目的だったんじゃ…
そこから1年ほど「絶対うつされた、オレ…」とネガティブになっていたオレ。
意を決して1年後に行ったのがタイ赤十字病院だった。
毒蛇がうじゃうじゃいて、キングコブラのショーもやってる観光スポット『スネークファーム』は同じ敷地内にある赤十字病院の施設だ。
本来は血清を作ったりと毒蛇研究のためのすごい機関なんだけど、観光客の首にニシキヘビを巻いてお金を取る副業もしている。
そして、ここではヘビ関係に限らず色んな病気の予防接種も受けられるし、HIV検査も出来る。
そこで人生初のHIV検査をドキドキしながら受けた。
検査後すぐに医者から結果発表があった。
ネ、ネガティブ…
単語の持つ本当の意味も知らずに、ただ“悪い感じの時に使う単語”程度で使っていた『ネガティブ』を医者の口から聞かされたオレ。
医者も医者で、「良かったね!」という雰囲気がオレに伝わるようにヘラヘラした感じで言ってくれたらまだしも、「残念なお知らせですが…」的な雰囲気にも取れるすごく改まった感じの顔で言ってくるもんだから、こりゃぁ悪い知らせだなと。
「あぁ…20才で人生詰んだな…」と、ネガティブという言葉にただただネガティブになって絶望の中でバスに乗って帰ったのを覚えている。
頭の中で医者の言葉がリピート再生していたから、家に帰ってから英和辞書を引っ張り出して調べました、『Negative』を。
そしたら、え?陰性なの?!ってなって。
HIVに感染してなかったの、オレ!?ってなって。
ネガティブって言われて一瞬ネガティブになったけど、ネガティブの意味をちゃんと知ったらポジティブになれたから良かったけど、もしポジティブって言われてたら一瞬ポジティブになってたけど、意味を知ったら己のセンシティブな状況にめちゃくちゃネガティブになるとこだった。
この時から毎年“大人のエチケット”としてHIV検査を受けてたんだけど、毎回ネガティブ宣告をされる度にホッとするもんで。
そういうのもあってか…
と言う人は、もっと自信を持って嬉しそうに宣言した方がいいと思うわけ。
言われた方も絶対に「え?何が、何が?!HIVが?エボラが?」ってなってるわけじゃない? 最近だと「新型コロナが?」ってのも加わってくるだろうし。
自信を持ってネガティブ宣言されたら、周囲からしても「あ、この人とは濃厚接触しても大丈夫なんだな」という安心感があるし。
今の状況だと、下手したら羨ましがられる可能性だってあるわけで。
「え?どうやってネガティブって分かったの?!」みたいな。自分は一体ポジティブなのか?ネガティブなのか?知りたくも知れない、検査を受けたくても受けれない人が多いこの世の中で、答えを見つけられた幸せな人として。
ポジティブな人が減って、みんなネガティブだったらいいね。