下書きを成仏

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ブログの下書きに30本以上書きかけがある。

最初だけちょろっと書いて、すぐ気乗りしなくなって止めたやつ。

少しずつ成仏していくか…

結局書きかけで止めてるわけだから、面白くない(と思った)のだろうが、当時オレは何を書こうとしていたか?を予想して、いま続きを書いてみる。

なんと6年前の2019年に書きかけて、下書きに眠っていたのがこちら。

この前、NHKで「日本の象牙市場は世界最大で、世界から厳しい目が向けられている」的な内容のニュースをやっていた。

ワシントン条約の会議でインタビュー撮影した「日本にはどうか我々の提案に賛成してもらいたい。象牙市場を閉鎖して欲しい」という“黒人”のコメントを流す。

映像だけを見てたら、まるで“アフリカ”は象牙市場を閉鎖させたがっているのが『総意』で、なんだか「日本はそんなアフリカの皆さんの提案を無視してる」的な印象を受けてもおかしくない仕上がりになっていた。

何もウソを放送しているわけではない。

ただ…見た人がどういう印象を持つのかを計算して作られたニュースのような気がして、何だか気持ちが悪い。

「日本には象牙市場を閉鎖して欲しい」とインタビューで答えていた“黒人”は、字幕でエチオピア代表団と出ていた。

は?と思って。

エチオピアにもゾウが数百頭いて「いないことはない」が、ほぼいない。南部のオモ渓谷の方に“エレファント・サンクチュアリ”があるが、わざわざ行ってもゾウにはほぼ出会えないという話。

WWF(世界自然保護基金)によると、アフリカゾウの数は41万5千頭。

ケニアといえばサバンナが広がって野生の王国の代名詞のような国だけど、ゾウ人口は2万6千頭ほどで、実はインドに住むインドゾウとほぼ同じ数。

対してジンバブエは8万2千頭、ボツワナは13万頭と、アフリカ大陸にいる全ゾウの半数以上がこの2カ国に集中。

ここまで。

なんとなく、書きたかったことはわかる。

“アフリカ人”が「日本は象牙市場を閉鎖してください!」って言ってたら、世界最大級の象牙市場をもつ日本はひどい!!って印象を持つけど、ちょっと印象操作の匂いがしてひっかかるぞ!ってことだ。

ただ、書いてて急に興味を失くしたか、話題がややセンシティブだから6年前に途中まで書いて止めたのかも。

先にオレのスタンスを明確にしておくと、象牙市場が善か悪かの判断はできない。

個人的には象牙にまったく興味ないし、必要としていないので、象牙市場が無くなっても何も困らん。

あった方がいいのか、ない方がいいのか、その判断ができないってだけ。

そんなもん、ない方がいいに決まってる!となりそうだけど…実のところオレには正解がわからない。

エチオピア代表団が「象牙市場を閉鎖してくれ!」と言ってても、それって別に“アフリカの声”を代弁してるわけじゃない。

エチオピアなんてゾウがほぼいないんだから。

問題は、アフリカゾウの半数が集中しているボツワナとジンバブエを筆頭にした南部アフリカ諸国。

彼らは、基本的に象牙市場の閉鎖に反対で、象牙取引がしたい

これは6年前も、2025年現在も大きくは変わっていない。

理由の一番は、保全費用の財源確保。

世界最大級の個体群を抱えてる国々では、作物被害・補償・取締りにかかる費用が重い。

「ゾウを守ろう!」と声を上げる人は世界中にいるが、別に金を出してくれるわけじゃない。言うだけはタダで、守るためのコストは現地負担。

クマと構図は一緒。「かわいそう」って言う人が現地の負担を肩代わりしてくれるわけじゃない。

南部アフリカ諸国としては、自然死とかで貯まった政府保有の“合法”象牙在庫が巨額だから、これを象牙市場に放出して保全費用を捻出したい。

この“合法”象牙在庫がだいたい10億ドル(約1540億円)相当で、宝の持ち腐れ状態。

じゃあ、国際取引を許可すればいいじゃん!って思うじゃない?

“合法”象牙在庫を放出したら、一気に供給量が増えるから市場の原理で価格が暴落して、密猟も減ってwin-winじゃん!って思うじゃない?

逆らしい。

“合法”象牙在庫を放出したら、潜在需要を刺激して密猟も増えるらしい。

90年代と2000年代に単発で“合法”象牙在庫を放出しているが…

その時に実証実験をしていて、2008年の一回限りの“合法販売”の方が、むしろ密猟・違法流通を押し上げたという分析結果が。

Does Legalization Reduce Black Market Activity? Evidence from a Global Ivory Experiment and Elephant Poaching Data

正確に言うと、確実ではないが、蓋然性が高いと。

南部アフリカから象牙を輸入する“国際取引”の話と、日本国内だけで象牙を売買する“国内市場”の話は、別なんだけど…

まったく関係ないわけでもないというのが主流。

国内市場の閉鎖(例:中国は2017年に閉鎖)は、価格や購入意向の低下、違法販売チャネルの縮小など需要側の圧力を和らげたとする報告があったりと、“(絶対ではないけど)国内市場が無くなれば密猟も減る”的な?

事実、ワシントン条約(CITES)は「密猟・違法取引に寄与する国内市場は閉鎖すべし」と勧告を出してる。

日本は全面閉鎖していない世界でも数少ない国のひとつ。

じゃあ、全面閉鎖だ!禁止だ!って思うじゃない?

南部アフリカ共同体(SADC)は、管理下の資源(象牙在庫)を現金化して保全とコミュニティ還元に回したいという「持続可能な利用」の立場を繰り返し表明。

一律の禁輸は現場の努力を無視しているという政治メッセージを一貫して出し続けてる。

もう、わからん。

オレにはどっちが良いのかわからん。

投げ銭Doneru

書いた人に投げ銭する

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