父島で一番高い山、中央山に登っている時に気になったことがある。
やたらと一升瓶とか茶碗とかゴミが落ちているのだ。
世界自然遺産の島なのにっ?!
こんなことをするのは観光客なのか?
しかし・・・ゴミに気がついてしまったオレは、これを持ち帰った方がいいんだろか?
いや、見なかったことにしよう・・・
その夜、宿で「山中にいっぱいゴミが落ちてた」と話をした。
すると「あー、それは旧日本軍のやつだよ」だって。
観光客じゃなかったよ・・・日本軍だったよ・・・
現在は人口2000人の父島に、戦時中は1万5千人も兵がいたらしい。
島全体が要塞だったので、日本兵の生活の跡が今もゴミとして残っているのだった。
そういえば、ひとりでウロウロしている時に秘密基地チックなものを見たな。
厚いコンクリート壁に覆われた頑強な建物の内部はひんやりしていた。
あとで聞いたところ、ここは海軍通信隊本部跡だそうだ。
ひとりで見ても分からないので、夜明山を巡る戦跡ツアーに参加した。
行ってみて思ったが、ツアーじゃなきゃムリ。ひとりじゃ辿り着けない・・・
やはり山中には一升瓶などが落ちている。
大日本帝国陸軍の星マークが付いた茶碗も落ちてた。
状態が良いものはマニアが勝手に持って帰ったりして、今は割れたのしか残っていないそうだ。
ゴミだと思って持ち帰るとこだったよ、オレ。
さすが島全体が要塞だっただけあって、あちこちに掘った跡が残っている。
岩をくりぬいた穴に入っていく。
さすがにガイドが付いていないと入るのに勇気がいる。
中は真っ暗なので懐中電灯で照らしながら進む。
写真だと天井が低そうに見えるが、身を屈めるのは入り口だけで中に入ってしまえば普通に立てる高さ。
中は暗すぎて写真を撮れず、見返してみれば出入り口の写真ばかり。
これが出口。
トラックが通れるんじゃねーか?くらいの大きさの地下道もあって、すごい!!
元々は山頂に台座を作って取り付けていた高射砲も、制空権を奪われた父島では意味を成さなくってきたとかで、台座から取り外して地下壕に搬入。
この八八式七糎野戦高射砲も元々は山頂にあった高射砲だが、取り外して地下壕から二見湾を見下ろしている。
当時の砲が今もそのまま残っているのは国内では小笠原くらいだとか。
ちなみにこんなにも要塞化したにも関わらず地上戦が行われていないのが、残存する理由かも。