アフリカビジネス

「南アフリカの恥:ムティ(伝統薬)のためにアルビノ狩り!」という最近の新聞記事がありまして、何やら…今年に入ってから武装した男たちが村々を回って、アルビノの人たちを探し出して拉致していく事件が連続しているそうです。拉致後は行方不明になっているものの、ムプマランガ州ではアルビノの子供2人の遺体が発見されていることなどから、警察は他の被害者の行方も捜索中とのこと。

Albinisitic man portrait

アルビノ狩りの理由は、アルビノの体の部位(髪の毛、骨、生殖器、親指)を持っていると、ビジネスの成功や選挙での当選、ギャンブル運がよくなるという信仰治療師の広めた迷信によるもの。需要があるから、武装集団はアルビノを拉致して殺害し体の部位を切り取ろうとするというわけ。タンザニアとかマラウィ辺りだと、家に押し入ってパンガ(牛刀みたいなもん)で腕だけ切り取っていくとか。部位によって効果は違うとされてるらしいけど。

以前にも書いた記憶があるけど、最近のモザンビークではハゲ狩りも行われているようで、ハゲの部位が何に効くのか?は不明ながらもハゲ狙いの殺人も発生しているようです。

アルビノ狩り、ハゲ狩り、童貞狩り…これは全部ムティ(伝統薬)の成分にするために殺されるムティ殺人に繋がると。

教育の問題とか、構造的な問題(例えばケニアの人口当たりの医者の数は33,000人当たりに1人だが、信仰治療師は950人当たりに1人いる)とか色々言われてるけど、ここはいっそのこと逆手にとって…ビジネスにしちゃえば?と思ったりなんかして幾つか考えてみました。

アルビノの毛髪を編み込んだペンダント

モーニングジュエリー(Mourning Jewelry)からヒントを得たんだけど、毛髪をアルビノの人たちから買い取ることでアルビノの人たちにとっても収入になるんじゃ…と思ったんだけど、アルビノの体の部位がラッキーアイテムであることを前提にしちゃうし、「部位によって効果は違うとされてる」だけに毛髪以外の需要まで喚起してしまうと意味がないからボツ

ここはいったんアルビノから離れて、遠回りしながら徐々に信仰治療師を取り込んでゆくか…

呪術師監修精力増強剤

精力剤(エロ)と育毛剤(ハゲ)は安定した需要があって固い。

拉致した男を廻して精子を搾取する犯罪者スパーム・ハーベスターのニュース記事を読んでいて、共通したあることに気が付いたワタクシ。

相変わらずブログの引っ越し作業をしていたら、5年前にこんな記事を書いていたのを見つけました。 ジンバブエ男性たちを震撼させた凶悪犯罪者『ス...

皆一様にやられる前に“謎の液体”を飲まされているのだ!!

男が女にレイプされる場合、どうしても強制性が問題になってしまう。要は「勃ったもん負け」で、レイプされた…入院した…トラウマになった…どうこう言ってるけど結局あんたが勃っちゃったんでしょ?!と思われてしまう被害者。

だが、全てはこの“謎の液体”のせいだったら? バイアグラを凌駕する信仰治療師配合の超強力精力剤のために、心とは裏腹に体が勝手に反応したとかだったら?

エロとハゲは多少怪しくても金を出すから、信仰治療師秘伝の成分配合『ブードゥーエナジー』として売り出せば儲かりそう。問題が…成分が謎過ぎて多少どころかめちゃくちゃ怪しいってところか? あぶねーもんが入ってる可能性も否定できない以上は保留

呪術師印コンドーム

これは信仰治療師とのコラボ製品。

ザンビアの首都ルサカの町中で、この看板を見かけた時は衝撃的だった。

少女の写真と一緒に「私とセックスしてもエイズは治りません」という文言が書かれた看板。

信仰治療師がHIV感染者に「処女とセックスすれば治る」と言えば幼女をレイプしたり、「童貞のペニスを調合した特効薬を服用すれば治る」と言えば男児を殺害してペニスを切り取るムティ(伝統薬)殺人が起こったりする。あとは信仰治療師が「葉っぱの付いた木の枝で膣内を“浄化”してからセックスすればエイズ予防になる」と言えばその通りやって傷が付くので感染率が高まる。

さすがに治療は謳えないが、予防を謳うコンドームは問題ないでしょう。

信仰治療師にもスピリチュアル系と伝統薬系の2種類いて、どっちを先に取り込んだ方がいいかは考える必要があるけど、スピリチュアル系の方が楽ってのはある。

伝統薬系だと、『信仰治療師の秘伝成分を配合したコンドーム』とかなると工場の生産ライン上でひと手間かかるし、原料に草木ベースの伝統薬を一つまみだけ混合させるだけだとしても、コンドームの製品上は“不純物”を混入させるわけだから強度に影響が出ないかな? 天然ゴムラテックス1トン当たり、伝統薬一つまみくらいなら問題なさそうな気もするけど…メーカーが嫌がりそうで折衝が面倒くさそう。

スピリチュアル系なら、祈祷してもらうだけで製品としては純粋なコンドームなままだから製造過程の面倒さは一切ない。各地のスピリチュアル系信仰治療師に呪術師印コンドームの祈祷を依頼して金を払い、その上で信仰治療師にコンドーム販売時のコミッションを払って実質的な販売店化するとか。

どんな形であれ、いかに信仰治療師を絡ませてビジネスをするか?ってところ。

彼らを否定せず、彼らにとっても「金になる」と思わせることで取り込み、最終的には利権化するための布石としての呪術師印コンドーム。本物の薬だと色々問題になりそうだから、(オレの中で)一番都合が良さそうだったのがコンドームってだけで他にもっと都合が良いのがあればそれでも全然いいんだけど。

長期的視点で何を狙うか?と言えば、ハラールみたいな認証ビジネス化

最初から会社名を「全アフリカ伝統治療評議会株式会社」とか、それらしい名前にしておいて、まずは呪術師印コンドームのように信仰治療師を絡めた金の動きを作る。

自分自身が祈祷している事実プラス、売れば売れるほど経済的リターンもある以上、信仰治療師は呪術師印コンドームの予防効果を大袈裟に吹聴することで…結果的に『全アフリカ伝統治療評議会』ブランドでも『呪術師印』でもどっちでもいいけどブランド力を持つようになる。

ブランド化されたら、ゆるやかに信仰治療師の扱うムティ(伝統薬)に『全アフリカ伝統治療評議会認定』とか『呪術師印』を冠することを認証するビジネスを開始。

認証ビジネスの強みは取捨選択できるようになること。

アルビノの体の部位とか、童貞のペニスを調合したHIV特効薬とか、スパーム・ハーベスターの集めてきた精子を使った薬とか、アウトな“伝統薬”は認証しないことで排除していく。

ものすごーーく遠回りな社会貢献ビジネス(笑)

最後は、紅一点の南アフリカ人ボーカリストCatarina Aimée Dahmsを擁するバンドSkip&Dieの曲『Muti Murder(ムティ殺人)』でお別れです。

Muti Murder – SKIP&DIE