修羅の国が…ヤバいことになっとる!!
コンゴ(DRC)東部の話である。
トランプ2.0や、ガザ、ウクライナの影に隠れてあまり注目されていないが、近年ではぶっちぎりでヤバい状況な気がする。
アフリカ大戦とも呼ばれた第二次コンゴ戦争以降で一番緊迫してるんじゃなかろうか?
DRCの反政府武装勢力M23が、北キヴ州の州都ゴマを制圧。
このゴマ攻防戦で、約3000人が死亡。
その中には平和維持軍として展開中だった南アフリカ兵14人、マラウィ兵3人も含まれている。
そしてゴマを制圧した今、M23は首都キンシャサを目指して進軍すると言ってる。
背後にいてM23を操っているのはルワンダ軍というのは公然の秘密。
操るだけじゃなく、ルワンダ軍自体も越境して戦闘に参加しているとされる。
数日前のCNNのカガメ・ルワンダ大統領へのインタビュー。
インタビュアー「本日、2月3日現在、ルワンダはコンゴ東部に軍隊を派遣していますか?」
カガメ大統領「わかりません(I don’t know)」
インタビュアー「(しばし沈黙)…あなたは最高司令官ですけど」
さて、最高司令官は「わからない」と言っているがルワンダ軍がDRC領内にいて…
ブルンジ軍1万人がDRC領内にいて…
ウガンダ軍4~5000人がDRC領内にいて…
コンゴ民主共和国(DRC)という主権国家の領土内に、隣国3カ国の正規軍が越境して来ているという状況に。
ちなみに、ブルンジ軍はDRC政府の支援要請を受けて派兵していて、ゴマから南下してきたM23(&ルワンダ軍)と交戦している。
ウガンダ軍は中立を装っているが、実はルワンダ同様にM23を裏で支援している。敵の敵は味方方式なので、一緒にM23を裏で支援しているからウガンダとルワンダは仲が良いかと言えばそうとも言い切れない。
これ、ただの紛争で終わらない周辺諸国を巻き込んだ地域戦争になる危険性大。
実際、ブルンジ軍とルワンダ軍がDRC領内で交戦したっていうし、もはや巻き込み始めてる。
DRC東部が修羅の国なのは、ひとえに『世界で最も豊かな場所』だからというはあるかと。
正確に言えば、地中は世界で最も豊か、地表は世界で最も貧しい。
レアメタルの埋蔵量がとんでもない巨万の富を生む土地の上で、利権を巡って人間どもが殺し合っている。
興味深いのがスマホやパソコンに使われるレアメタル、コルタン。
世界の埋蔵量の約80%はDRC東部にあるとも言われているが、コルタンの2023年の輸出量を見てみると…
DRCは1918トン。
ルワンダは2070トン。
世界最大のコルタン輸出国になったのがルワンダ。
これ、DRC領内で採掘したコルタンをこっそりルワンダに持ち出して輸出してるよね…という話。
CNNのインタビュアーも動画1:07辺りで「ルワンダはコルタンを輸出していますが、国内には存在せずDRCから密輸してますよね」と突っ込んでいるが、カガメは明確に否定も肯定もしてない。
コルタンだけじゃない。
EVとかバッテリーに使われるコバルトは世界の埋蔵量の半分はDRCと言われているし…
スマホが普及すればするほど、EVが普及すればするほど、作るために必要な原料が地中に眠っているDRC東部はますます金のなる土地になる。
その利権を巡ってますます修羅の国になる。
文字通り血で血を洗って掘り起こされる紛争鉱物。
DRC領内で採掘した地下鉱物を自国に持ち出して売ってるの、ルワンダだけじゃないから。ブルンジだって、ウガンダだって…
M23(&ルワンダ軍)の目的はレアメタルだけではないだろうけど、目的のひとつではありそうと勝手に思ったりなんかして。
15年くらい前、DRC東部の紛争鉱物を巡って任天堂、キヤノン、パナソニック、シャープ、東芝、ソニーなどの日本メーカーは対策していないとか対策が遅れているとして非難されていた。
任天堂は「ハードウェアの製造と組み立てはアウトソーシングされており、弊社製品で使われる原料の供給には直接関与していません」とコメントしちゃったりなんかして。
Bloomberg「Nintendo, Canon ‘Fail to Act’ on Conflict Minerals」
ただ、これも昔の話で、今は名指しで非難された任天堂も紛争鉱物を気にするようになってる。
任天堂のCSRに「責任ある鉱物調達」とかわざわざ載せてるところをみると、名指しで非難された意味はあったようだ。任天堂くらいになったら「原料の調達まで関与してないから知らねー」ではもはや済まされないからな。
第二次アフリカ大戦がはじまりつつあるのか…
“ちょっとした紛争”程度で終わるのか…
わからんけど、状況はここ20年くらい(第二次コンゴ戦争以降)で一番悪い気がする。
少なくとも今は修羅の国に行けないことだけは確か。
ゴマ市内は死体が転がってるらしいよ。