色々な国籍の人たちが詐欺工業団地で奴隷になっているようだが、それを報じる各国のニュースをいくつか要約・抜粋で。
その前に…
ひとつだけこんなニュースを。
Laos Government Presents Medal to Chinese Casino Operator2022年10月、ラオス政府はゴールデントライアングル経済特別区(GTSEZ)の大ボス趙偉(チャオ・ウェイ)に第二級英雄勲章を授与した。
勲章を授与されている“ゴールデントライアングルの名士”の写真をどうぞ。
マレーシア
700 Malaysian workers stranded, held for ransom in Lao SEZ700人のマレーシア人がゴールデントライアングル経済特別区(GTSEZ)で奴隷になっており、2022年9月26日に家族たちが人権団体と一緒に在クアラルンプールのラオス大使館の前で抗議行動をした。(*ちなみに趙偉がラオス英雄勲章を授与されたのはこの数日後)
奴隷たちはパスポートや携帯電話を没収され、監禁状態でインターネット詐欺のオペレーターとして働いている。
奴隷たちは暴力や拷問を含む悲惨な状況に耐えているが、一部の奴隷は命令に従うことを拒否したとして射殺された。
一部の奴隷は、マフィアから別のマフィアへ、詐欺工業団地から別の詐欺工業団地へ、国をまたいで売り買いされている。
奴隷からの解放を望む場合は、5万リンギット(約158万円)から10万リンギット(約316万円)の身代金を払う必要がある。
中国
女子被骗至金三角从事电诈,被强迫吸毒、卖淫,曝光人贩子7大诈骗套路最近、東南アジアでの詐欺、誘拐、人身売買が頻繁に発生している。
騙された人たちは人身売買業者や詐欺組織の施設に閉じ込められ、ムチ打ち、電気ショック、強姦、売春強要、採血(売血用)、舌を切り取られたりする。
海外の詐欺工業団地から救出されたシャオ・シュウさんは、詐欺グループから“顧客サービス”の仕事を与えられ、ノルマを達成できなかったので毎日殴られていた。食事は一日肉まん1個と水2本。
一度逃走を試みたが捕まり、水牢に15日間投獄。
その後、金を稼ぐために血を売るよう言われ、コーラ缶ほどの大きさの瓶に毎日6本(約500ml)の血を意識を失うまで4日連続で抜かれた。
以下は東南アジアの人身売買業者がよく使う手口。
1.【高収入を謳う求人】月収2万元(約41万円)で人材を募集。仕事としてカラオケのウェイター、カジノの警備員やディーラーなどが多い。
2.【ギャンブル】一夜にして一攫千金を夢見る人をカジノに連れて行く。負ける上に借金を背負うように最初から仕組まれており、借金返済のためとして売られる。
3.【誘拐】人身売買業者の中には「騙す」という過程を省略して直接誘拐して売り飛ばす者もいる。2022年8月から14人の中国人を誘拐し48万元(約1千万円)で売り飛ばした4人組が逮捕されたが、ミャンマー警察も誘拐に関与していた。
4.【旅行】騙してミャンマー北部、カンボジア、タイなどに旅行させ、詐欺工業団地に連れて行き売られる。広西チワン族自治区出身のチーチーさん(24)は失恋を理由にタイへの旅行を計画していたが、微信のグループチャットで「タイの一人旅は退屈」だから誰か一緒に旅してくれる人を探している女性を見つけた。女性に連絡を取ってみると、女性はチーチーさんのために運転手を手配して空港まで迎えに行き、一緒に旅するために女性のいるチェンマイまで連れて行ってくれるとのこと。「初めての海外で何も分からなかったので良かったぁ」と思ったチーチーさん。手配してもらった車に乗り込むと連れて行かれたのはミャンマー。その後、人身売買業者に3回転売される。
5.【ビジネス】ビジネスの名目で東南アジアに誘い出し、行ってみると待ち受けているのは人身売買業者。中国全土に142店舗を展開する旅行会社の社長シンさん、観光業の視察のためという名目でタイに誘われて行ってみると、連れて行かれたのはミャンマーのミャワディ。詐欺工業団地に売られるも脱出。
6.【オンラインロマンス】恋愛感情を抱かせ「会いた~い」と言って東南アジアに誘い出し、そのまま売る。
7.【研修旅行】人身売買業者がダミー会社を設立して従業員を募集。全社員で一致団結すべく海外研修に行こう!と従業員全員を引き連れて東南アジアに研修旅行に行き、全員まとめて売り飛ばす。
フィリピン
Chinese, Indonesians, Malaysians among 2,700 victims rescued in Philippines cyber scam raidフィリピン国家警察は、人身売買と暗号通貨詐欺・国際ロマンス詐欺の疑いでマニラ首都圏ラス・ピニャスにあるオンラインギャンブルの会社フィリピンオフシェアゲームオペレーター社(POGO)の施設を急襲。
中国人604人、ベトナム人183人、インドネシア人137人、マレーシア人134人、タイ人81人、フィリピン人1534人の奴隷計2673人を救出。
カンボジア
From Timber to Human Trafficking: Rescued Victims Allege Major Scam Operations in Tycoon’s SEZ違法森林伐採で財を成してフン・セン首相の顧問にまでなったカンボジアの悪名高き大物トリー・ピアプが経営するポーサット州の『MDSトモー・ダ経済特別区』には少なくとも2千人の奴隷がいるとされ、周辺では不審死も起こっている。
内モンゴル自治区出身の23歳の中国人は、オンラインゲームで知り合った友人からゲームの宣伝をするだけで月30万円+歩合がもらえる仕事がカンボジアであると誘われ、さらにその友人は中国からカンボジアまでの航空券代まで払ってくれた。
カンボジア到着後、待っていたのは1日15~16時間働かされるロマンス詐欺のお仕事で、当然ながらお給料なし。
この“詐欺工業団地”からはタイ人奴隷103人が救出されている。
Victims Allege Sihanoukville Precincts With Ties to Major Businesses Are Sites of Scams, Torture, DetentionシアヌークビルのKBホテルを中心にした詐欺シティの周辺では、手錠をかけられた死体が埋められていたり、絞殺体が見つかっている。
KBホテルを経営しているのは、サムナン氏。そのサムナン氏の義父は与党カンボジア人民党のコック・アン上院議員。
そのアン上院議員が経営するANCO社が所有する国道4号線沿いの『クラウン』と呼ばれる詐欺工業団地には、数千人の奴隷がいる。クラウンの敷地を警備しているのはANCO社。
ANCO社に問い合わせると「土地や建物の所有者はアン上院議員だが、中国企業に貸しているだけ」と主張。
ちなみに、2019年に火災を起こしたポイペットにあるゲンティン・クラウン・カジノ(中身は詐欺会社)のオーナーはアン上院議員。
ベトナム
Exploitation, misery drove Vietnamese workers to flee hellish Cambodian casinosFacebookに出てきた「ベトナム・タイニン(カンボジアとの国境に近い)でエアコン完備のお部屋でコンピューターのお仕事:月給2500万ドン(約15万円)」という求人広告に騙され、最終的に連れて行かれたのがカンボジアのカンダル州はビンディ川沿いにある中国人経営のカジノ。
カジノは裏でオンライン詐欺工場をしていて、与えられたのは偽垢を作って恋愛ゲームでターゲットに課金させるお仕事。
ノルマは月に3億ドン(約180万円)を課金させること。ノルマ未達成の奴隷は電気ショック拷問部屋行きか、別の人身売買業者に転売。
耐えかねたベトナム人奴隷40人がカジノからの集団脱走を決行。国境のビンディ川に飛び込み、泳いでベトナム領に逃げる様子の動画が記事の中ほどにある。
ケニア
How Myanmar became destination for trafficked East Africans The Kenyans lured to become unwitting ‘love’ fraudstersFacebookに出てくる数々のタイでの求人広告。
営業、英語教師、翻訳など、月給25万ケニア・シリング(約25万円)でタイに誘い出し、最終的に連れて行かれるのはラオスやミャンマー。
実際に待っているのはTinderやInstagram、Facebookを使って魅力的なプロフィールを捏造して異性ターゲット(主にアメリカ人)に近づいて、国際ロマンスからの暗号資産投資という詐欺のお仕事。
ノルマを達成できないような奴隷は、性奴隷になるか臓器を取られる。
これまでにラオスとミャンマーからケニア人、ウガンダ人、ブルンジ人の75人が救出されたが、まだ数百人が奴隷になっているとみられる。
こちら、ミャンマーにある詐欺工場でケニア人が臓器摘出手術に失敗して死亡したする、ケニア外務省のツイート。
The Kenyans and many other Africans working in the forced labour camps run the great risk of losing their body organs and lives as well. Already one young Kenyan has died as a result of a botched operation by quack doctors operating in the Chinese run factories in Myanmar. 5/9
— Foreign and Diaspora Affairs Kenya (@ForeignOfficeKE) November 16, 2022
臓器を取られたか…
ザ・イーストアフリカン誌の記事を読むと、救出されたケニア人たちはタイのメーソートでの仕事ってことに誘い出されたようだ。
メーソートで仕事ねぇ…オレなら「難民が押し寄せるミャンマーとの国境の町メーソートで高収入のお仕事って…」とむちゃくちゃ怪しむというか、怪しさしかないけど、東アフリカの人は何の疑いも抱かないのかもしれん。
ケニア、ウガンダ、ブルンジの人に分かるように言えば、コンゴ(DRC)やソマリアとの国境の町で“高収入の営業のお仕事”ありますって言われるようなもん。
そんなもんあるわけねーだろ!っていうね。
案の定、ケニア人たちはメーソートから国境の川を渡ってミャンマーに連れて行かれて奴隷になっている。
メーソートから川を渡ってすぐの詐欺工業団地ってことは、モエイ川沿いのシュエコッコかKKパーク(KK園区)に連れて行かれたんだろうな…
どちらもラオスのゴールデントライアングル経済特別区並みに悪名高い詐欺工業団地。
使えなくなった奴隷の臓器を取って死体は捨てちゃうことで有名。
シュエコッコは(違法だけど)カジノがあるから部外者も出入り出来るけど、KKパークは部外者が一切立ち入れないらしいが、どちらも佘智江という湖南省出身の41才の中国人が経営するヤタイ・インターナショナル・ホールディングス社が運営してる詐欺工場団地。
ケニア外務省のツイートでは死亡したケニア人の年齢・性別を明らかにしていないが、この記事だと22才の女性で、やはりKKパークでやられているようだ。KKパークに奴隷が“入所”する際に絶対に血液検査をしないといけないのも臓器摘出目的のためだろうと。
場所は秘密でも何でもないから『缅甸KK园区』でグーグルマップ検索すると出てくる。グーグルマップに“人間地獄”として誰かが登録したようだ。
これ、中国人YouTuberがタイ側からミャンマー側にあるKKパークをドローンで空撮した動画。
タイの記事によると、KKパークにあるKK4と呼ばれる建物はラオスのキングス・ロマンス社が投資したもので、ラオスとミャンマーの詐欺工業団地同士で結び付きを強めているんじゃないか?って話も。
Chinese Cybercrime Syndicates in Myanmar Now Target Victims Worldwideこの記事だと、モエイ川沿いにはシュエコッコやKKパークなど17の詐欺工業団地があって、民主カレン仏教徒軍など4つの反政府武装勢力が合併して出来た“国境警備軍”(BGF)の庇護下にあるみたい。
KKパーク2もあるみたいだからな。
世界30カ国から奴隷が連れて来られて、Amazonそっくりな偽Amazonサイトを作ってフィッシング詐欺をしたり、ありとあらゆるインターネット詐欺をやっていると。
別の記事では「他の詐欺工業団地も含めた総数は不明ながら、シュエコッコとKKパークの2カ所だけでも最低2万人の奴隷が働いている」としている。
ラオスのゴールデントライアングル経済特別区(GTSEZ)のソープで働いている東京のレイカちゃんは元気かな?
今にして思うと、オレがしばらくやり取りさせてもらった自称ドバイ在住中国人女性カーキサン(素敵な外国人女性と知り合いました)の中の人ってラオスのGTSEZからだった可能性だってゼロじゃないわけだ。
お仕事のジャンルが詐欺と売春で違うから同じGTSEZ内でも出会うことはないだろうけど、もし知り合う機会があったらよろしくお伝えください。