10月25日、スーダンで軍がクーデターを起こして権力を掌握。
昨年から領土問題を巡ってスーダン軍との小競り合いが続いていた隣国のエチオピアとしては、大いに気になる情勢かと。
これまでのハムドク首相と比べると、クーデターで権力を掌握したブルハン将軍の方が強硬なのは確かで、エチオピアにとっては決して喜ばしいことではないだろうが…
見ている限りだと、スーダン自体にエチオピアと戦争をする余裕はなさそう。クーデター前からダルフール紛争が再燃していたし、国内問題でいっぱいいっぱいで、“今のところは”エチオピアどころではないのが正直なとこなんじゃ?
さて、最新の情報だとエチオピア連邦政府軍とティグレ防衛軍(TDF)の最前線はアムハラ州デセのようだ。
ちょうどメケレとアジスアベバの中間点に位置する交通の要衝で、デセを巡ってはTDFが制圧したかと思ったら政府軍が奪還したという話も出てきたりしていて情報が錯綜しているが、いずれにしてもかなり激しい攻防戦が続いている模様。
ちなみに、デセの標高は2500m。
(オレは奪還していないと思うが)仮に政府軍が奪還していたら政府軍が有利か?と言うと、必ずしもそうとは言い切れない。
デセのすぐ南にあり、空港があるコムボルチャはTDFが制圧。そのコムボルチャを政府軍が空爆したという情報もある。
さらにTDFと軍事同盟を結んでいるオロモ解放軍(OLA)が北進して来ており、デセやコムボルチャから南にわずか50kmほどのケミセなど3ヶ所を制圧。
仮に政府軍がデセを奪還していたとしても、事実上の陸の孤島と化している。
このままいけば、軍事同盟を結んでいるTDFとOLAの部隊が文字通り『合流』するのは今日明日の話になるかと。
エチオピア政府が“起死回生の一撃”と思っているのか知らんが、10月中旬からティグレの州都メケレへの空爆を続けている。
最初の空爆は10月18日。
エチオピア政府のスポークスマンは空爆を即座に否定。「なぜエチオピア政府が自国の都市を攻撃するのだろうか?メケレはエチオピアの都市だ。無実の民間人がいる都市を攻撃するのはテロリストであって、政府ではない」とまで言ったものの…その後、空爆を認めた。
今度は「テロ組織TPLFの通信インフラを標的にした」と空爆を正当化してみたものの、空爆の犠牲者は9才、12才、14才の子供3人。
既に8回空爆していて「テロ組織の訓練・軍事指揮基地を標的」にしているらしいが、市場とか住宅地に落ちて民間人に被害が出ている。
あれ?「無実の民間人がいる都市を攻撃するのはテロリスト」なんじゃ…
その他にいくつか気になったニュース。
Ethiopia Orders Local Outlet to Stop Broadcasting Foreign Newsエチオピアのテレビ・ラジオ局に「“外国製”ニュース報道」の放送禁止令が出たという話。
理由は書いていないが、ティグレについて“大本営発表”以外の情報を国民に知られたくないってことだろ。
これまでも、エチオピアの報道機関アジス・スタンダードが「テロリスト集団のことを『ティグレ防衛軍』と呼んだ」という理由でライセンス剥奪され、編集長も1カ月近く拘留されたり…
ジャーナリストも、独自取材して報道すると身の危険があるということでティグレについては触れないとか…
さすが、人権尊重や報道・言論の自由を謳うアビィ首相!!
Tigray general rules out talks with government
TDFのツァドカン将軍が「戦争は終わりに近づいており、交渉を通じて解決できるものは何もない」と、エチオピア政府との交渉を否定。
OLAのジャル・メロ司令官も「戦争の終わりは近い」と同じようなことを言っている。
ちなみに…1991年当時、ティグレ人民解放戦線(TPLF)らがメンギスツ政権を倒した時は、デセを制圧してから数日で首都アジス・アベバを制圧している。
この時に戦闘に参加していたツァドカン将軍をはじめとする退役軍人はTDF内に多く、もしかしたら経験則から“戦争の終わり”を語っているのかも。
Facebook knew it was being used to incite violence in Ethiopia. It did little to stop the spread, documents show
エチオピアにおける民族間の憎悪をかき立てる書き込みや暴力を扇動する書き込みをFacebookが把握していたにもかかわらず、ほぼ放置してきたというインサイダー情報。
ティグリニャ人の絶滅を訴える投稿などは削除されなかったらしいが、“多少は”削除されたりもしたようだ。
一方、ちょっとでも削除されたことがエチオピア政府は気に入らなかったようで…
Ethiopia to build local rival to Facebook, other platformsエチオピア情報ネットワークセキュリティ局(INSA)は、FacebookやTwitterなどに代わるエチオピア独自のSNSプラットフォームの開発をスタートしたと発表。
検閲されるのはイヤだが、自分たちは絶対に検閲したい!となると、オリジナルのSNSプラットフォームしかないからな…
誰がそのSNSを使うの?という基本的なところはあまり問題にしてなさそう。