最近読んだ本2冊

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不定期読書記録。

濱野ちひろ『聖なるズー』

2019年の開高健ノンフィクション賞受賞作。

動物とセックスする人たち自称ズーの話で、要するに獣姦を題材にした本。京都大学大学院の著者が文化人類学におけるセクシャリティ研究の修士論文を書くための調査がベースになっている。

いわゆる獣姦って「人間が己の性欲のはけ口として動物を使うこと」と思っていた。昔の船乗りは船に羊を乗せて…とか、イスラーム圏の田舎の方ではヤギや羊で童貞を捨てがち…とか、そういった類いのイメージだったが、うむ…そういう種類の人たちもいるのか…と。

「ズー・ゲイでパッシブ・パート」とか、今まで聞いたこともないジャンルを知れるぞ!

題材自体は“アブノーマル”な話ではあるものの、動物好きが一度獣姦イメージ先行の嫌悪感を捨てて読んでみてもなかなか興味深い本だと思う。

満足度:★★★★☆

山田一広『マスカルの花嫁 – 幻のエチオピア王子妃』

満州事変が起こり、満州国が建国され、何やら国際情勢がきな臭くなっていた昭和9(1934)年、日本中を沸かせた出来事があった。

エチオピア帝国皇帝ハイレ・セラシエ1世の甥アラヤ・アベバと、日本の華族・黒田雅子(旧久留里藩主家次女)の婚約話である。

「世紀の婚約」は、なぜ破れたか。2人への直接取材をもとに、国際政治の渦に呑み込まれた「ふたつの人生」を追う異色ノンフィクション。

結局は破談になってしまったこの婚約。

当時、エチオピア侵略を狙っていたイタリアのムッソリーニによる干渉があったためとされているが実際は…イタリアじゃない“某国”(本には国名が出ている)の干渉があったそうだが、この辺りのことはサラッと触れられている程度。

この本とは関係ないが…

アラヤ・アベバは昭和6(1931)年に、エチオピア外交使節団の一員として来日しているのだが、その使節団の団長がヘルイ・ウォルデ外相。このヘルイが、日本滞在の体験を『ማኅደረ ብርሃን – ሀገረ ጃፓን(光の源 – 日本国)』という紀行本にして出している。

アムハラ語で書かれた原本を、イタリア人のオレステ・ヴァカーリが英訳して、それをオレステの妻(日本人)エンコ・エリサ・ヴァカーリが邦訳して日本で出版されたのが『大日本』(1934)。国会図書館のデジタルコレクションで読めるか?と思ったら「著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開をしていません」だって… 著作権は切れてると思うんだけどな。

図書館に行ってまで読もうとは思わないが、インターネット公開されたら読んでみたい。

満足度:★★★★☆
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