ぶぢゅるぢゅるッ
気持ち悪くなってきたと言いながら、またこの話。
色々読んでいた中で、やべぇ官能小説に出会ってしまった。
それが松平龍樹著『家畜看護婦 -悪魔の奴隷治療-』だ!!
ここでオレが紹介したことで、もし友達が「面白そうだから買おうかな」と言ったら「止めておけ」とアドバイスするが、ある意味で異色の官能小説であることは間違いない。
まず…出だし早々、文中で普通にブッ込まれる擬音が気になる。
…視線を浴びていたのだろうか?
ぞわぞわぞわりッ。
その疑惑が真実であるかのように…親愛の度合いを増してくる。
ぞわぞわぞわりッ。
その様子は音も立てず、ひたひたと…
『カイジ』の「ざわざわざわ」状態。
さらに…ルビのクセがすごい。
…みさきに三ツ杜が近寄ってくる。
!!
みさきは整ったおもざしだけでなく、全身から血の気が引いていくのを実感した…
ぞわぞわぞわりッ。
二重感嘆符で「ずざぁぁぁーーッッ!」と読ませる?!
他にも!!!のルビが「どっぱァァーーンッ!」
その次の!!!には「ぶくぶくッ。ブクブクッ。」
さらに続く!!!には「ごぼッ!ゴボごぼゴボボッ!」
他には、躊躇(ちゅうちょ)と書いて「でもでもでも」というルビが…
小島よしおのギャグも文字にすると「躊躇、そんなの関係ねー!」なんだろか?
さらにさらに…オノマトペが独特。
“独特”と言っても独創的という意味ではなく、非常にマンガチックなオノマトペを多用していて、小説として見ると独特という意味。
電話が鳴ると…
RRRRRRッ。RRRRRRッ。RRRRRRッ。
キスは…
ぎぢぢッ、べぢッ。ぶぢゅぐぢゅぶッ。ぶッぢゅるぢゅづぶッ。ぢょッ、ぢゅづるッッ。
読んでいて脳内で全く情景描写できない。
作中の一部を抜粋してみる。
べどべどべどどッ、べっぢゃぁぁッ。ぶぢゅるぐぢゅぶるりッ。ぶッぢゅばぐッぢゅぶるるッ。ぐぢょッ、ぎぢょッ。ぢゅばッ、ぢゅっづづるッッ。
(がは!!)
神経が灼き切れかけ、発狂しそうになるみさきを、さらなる汚辱感が襲いかかる。
べぢょべちょべどどッ。
(ぐぎゃぁぁッ!)
三ツ杜の行為を理解した瞬間、みさきの心臓は本当に止まりかけた。
三ツ杜がおのが唾液をみさきの口の中に流しこんできたのだ。
(おッ、ごぉぉぉ~~~ッッ!!!!)
みさきの固くつぶったまぶたの内側で、目玉がでんぐり返る。
ぼとぼとぼどどどッ。
ぶっちぃッ! ぶちぶちぶちちちちィッッ!!
底なしの汚泥に全身、すべての細胞が呑みこまれていく感覚と、頭の中の脳細胞がぷちぷちッ、ぎちぎちと粉砕され、神経繊維がぎちゃぎちゃぐちゃぐちゃに切断されていく感覚を同時に味わわされ、みさきは気死しかけてしまう。
どういうこと?!
個人的には『ジョジョの奇妙な冒険』とか色々なマンガを意識したような描写に感じる。
最後に、性行為の描写をご紹介。
ずんずんッ、ずこばこッ。ずんずんッ、ずこばこッ。ずんずんッ、ずこばこッ。ずっぢゅぢゅぢゅッ。
三ツ杜に秘奥を突き上げられ、お尻を叩かれながら、みさきは従った。従うよりほかなかった。
「もぉぉぉ~~ッ。もぉぉ~~ッッ。もぉぉぉ~~~ッッ」
「ずこばこ」って中学生ぶりに聞いたわ(笑)
ちなみに、どういうお話か?というと…
看護婦のみさきが、医者である三ツ杜に豊胸手術をされ…
乳の大きさが体半分くらいのサイズまで巨大化したうえ…
牧草が生えた特殊な部屋で調教され…
最終的に身も心も牛になるという話。
だから「もぉぉ~ッ」と。
斬新過ぎてほぼ意味不明だった。
気になった表現
この他にも色々と読んだ作品の中で、気になった表現を再びピックアップ。
「男の充血した欲望器官」久生礼文の書いた本でこの表現が出てきて「ほほぉ」と思ったんだけど、『官能小説用語表現辞典』を見る限りだと…どちらかと言えば館淳一が考案した表現方法なんだろか?
館淳一は「器官」を好んで使ってるようで、女性器を「肉壁器官」とか、男性器を「成熟したマツタケ型の器官」とか表現している。
伊藤計劃の『虐殺器官』みたい…
「図にのった剛棒が好き放題に暴れまわる」図にのった剛棒www
インプット→アウトプット
さて、色々な官能小説を研究した結果、もしオレが南アフリカから日本まで陸路で帰ってきた話を官能小説仕立てで書こうと思ったら、こうなるんじゃないか?という話。
タイトルは…『快楽の魔旅 -暴虐の688日間-』
え?意味ですか?
意味は全くない。
官能小説っぽい言葉をチョイスしたら、こんな感じかな?と。
話は、日本へ陸路で帰国することを決断したところから始まる。
サイドランプがぼんやりと照らす薄暗いベッドの上で、ボクはひとり悶えていた。
徐々に吐く息が荒くなってゆき、握りしめた右手はじんわりと汗ばんだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
溜まっていた煮えたぎる灼熱のマグマが今にも爆ぜてしまいそうなほど膨張している。なんとか決壊を先延ばしにしようと抗ってみたが、これ以上自分を制御するのは限界だった。
もう出そうだ。
「イ、イクっ!に、にっぽんまで…り、り、りくろで…イクぅぅぅーーっ!!」
ビクビクっと身体を小さく震わせながら、ボクは出した。栗の花を咲かせながら答えを出した。
どう?
大の大人が眉間にシワを寄せながら真剣に考えて、これ。
ずっと考えていて、閃いたのが「り、りくろで…イクぅぅぅーーっ!!」(笑)
我ながら死ぬほどくだらなくてビックリである。
しかーし、もしこれを読んで「いやらしい文で嫌い!」と言う女がいたらボッコボコに返り討ちにしてやる。
理由は簡単で、オレは文中で性的な言葉を一切使っていないからだ。
これを読んで、何かを勝手に連想して、勝手にいやらしいことと受け止める…
いやらしいのはオマエの脳内だろ?!と。
悩みで悶え苦しんだ挙句に「行く!日本まで陸路で行く!」と答えを出したオレの姿を書いただけにもかかわらず、その姿をいやらしい目で見るオマエがただの淫乱な色魔なんだろうがぁぁぁっ、ずっぢゅぢゅぢゅッ。
ちなみに、実際には全然悩んでないけどね。
自分に課したルールとしては、文中で直接的に性的な名詞は使わない。
「豊満な乳房のような形の~」とか、形容するために使うのはギリOK。
あくまでも“官能小説仕立て”であり、読者が何かを連想したらそれは読者の脳内の問題というスタンス。
というか…『快楽の魔旅』が完成する日は来るのか?
フッと冷静になった時、「実は思ってるより面白くないんじゃねーか?っていうか、むちゃくちゃつまらないんじゃねーか?」という疑問が湧き上がってくる。