7月31日に、マラウィ共和国で『投資・輸出促進法案』が施行されました。
マラウィといえば・・・湖くらいしか見どころのないアフリカの小さな国ですが、
1週間前に施行された法律は、マラウィの4大都市(リロングウェ、ブランタイヤ、ムズズ、ゾンバ)以外で外国人がビジネスをすることを禁じる内容で、『投資促進』などという名前にはなっていますが実質的には排除するものです。
ちなみに、外国人となっていますが実質的なターゲットは・・・
中国人です。
法案の目的としては、地方の個人商店を外国人の貿易商から保護するというもの。
きっかけになったのは去年の5月、カロンガという町のマラウィ人貿易商たちが中国人を追い出すように地方自治体に働きかけたことから始まります。
この動きは、その後に28の地域に拡大。
公式な統計はないみたいですが、すでに7つの地域で中国人貿易商が追い出されたようです。
ちなみに、マラウィの4大都市ではビジネスできることになっていますが、これも免許制になったようで、免許を交付してもらうためには中央銀行に最低25万ドル(約1975万円)を補償金として預けないといけないみたいです。
そんなわけで、実質的には中国商人を排斥する法律という。
オレがマラウィに行った時は、マラウィは台湾と国交がある希少な国だったんですが、その後マラウィは41年間にも及んだ台湾とのつながりを捨て中国と国交を樹立。
その後に、急速に中国人経営の商店やレストランが増えたとか。
ま、台湾との国交を断絶して中国に乗り換えたのはカネ目的がほとんどでしょうけど、その期待に応えて中国がマラウィに援助したおカネは2億6000万ドル。
国内初の5つ星ホテルも、中国によって建てられました。
こういうホテルとか、インフラ整備とかビッグビジネスに関してはウェルカムみたいですが、マラウィ人が不満を持っているのは中国人の個人経営するスモールビジネス。
エレン・ムワゴムバは、カロンガでの中国商人に対する抗議行動の先頭に立った人物です。
彼女は2003年にカロンガで食料雑貨品店を始めましたが、2008年に中国人が進出してきてから店の売上が落ちたと言います。
「中国人が安物を持って押し寄せてきて私たちのお客さんを奪うまでは、ビジネスはすごく順調でした」
彼女によれば、中国人の店が彼女の店よりも4分の1の価格で商品を売り始めたため、客足が遠のいて行ったそうです。
「うちに置いてある商品は地元産と南アフリカから輸入したもので、あまり安くはありませんが品質は良いものです。しかし、人々は中国の安くて品質の悪い方を選びます」
ちなみに、マラウィ国民の約74%は1日1.25ドル(約99円)以下で生活しており、人々は実質購買力を最大化するために中国製品を好んで選んでいると彼女は考えています。
しかし、ムワゴムバは仲の良い地元住民たちと中国商人を追い出すように地元議会に働きかけ、追い出すことに成功しました。
「彼らは6月にはいなくなったので、新しい法律が施行される前にビジネスは回復しています。今は多い時で1日500ドルを稼いでいますが、中国人がここにいた時は1日100ドルも稼ぐことが出来ませんでした。」
一方の中国人は不公平に扱われていると感じています。
フーハン・チャオはマラウィ北部のムジンバでレストランを経営していましたが、6月30日にレストランを閉鎖しました。
「マラウィ人は私たちが働くほど一生懸命に働きません。私たちは彼らが店を開けるよりもはるかに早く店を開け、彼らが店を閉じた後に店を閉じます。ほとんどの店が閉まっている日曜日にも私たちは店を開けていました。」
彼は、ビジネスとは競争だと付け加えています。
彼がやむを得ずレストランを閉じるまで、多くの顧客がいて、1日最大800ドルを稼いでいたと言います。
「私たちはこの国の経済に大いに貢献しました。でも、次に何をしたらいいのかはまだ決めていません。たぶん中国に戻って何かビジネスを始めると思いますが、中国は人口も多く競争も激しいので厳しいと思います。」
なお、中国政府はこの問題で中国人を擁護していません。
在マラウィの中国大使は・・・
「我々の同胞を徹底的にふるいにかけるのはマラウィ政府のすることで、中国政府は関係ありません。彼らは規模の小さな個人事業者ですし、マラウィ政府が彼らのビジネスを許容する必要がありますかね? 法律は尊重されるべきで、私たちは同胞がマラウィの地方でビジネスをすることを奨励しません。私たちは本当の投資家がマラウィに来ることを奨励します。」
まぁ、地場産業の保護というのはどこの国でも問題になる話ですけど・・・
“店を経営している人”という、マラウィ全体からみれば一部の人の利得のために、4分の1の価格で商品を提供する中国人を排斥するということが、果たして良いことなのか?という視点で考えないとね。
なんせ国内マーケットの74%が1日100円以下で生活している貧困層なわけで、例えば1個100円の雑貨を買って他は何も買えない現状と、同じ物で作りは悪いやつを中国人商店で1個25円で買って残り75円で他の物を買うという選択肢を彼らを奪うことが、ホントにマラウィ全体にとっていいことなのか?という話かと。
同じマラウィ人でありながら「うちのは品質が良い」とかって、市場のニーズを分かってないですね。
あと「南アフリカからの輸入品は品質が良い」、これは納得できます。
「マラウィの地元産だから品質が良い」って・・・んなわけねーだろ。
マラウィと関係ないですけど、お隣のモザンビークでオレが勝手にミリ・パンと呼んでたパンがあるんですけど、1000(ミリ)メティカシュで買えるパンでして・・・
100%の確率で石が混入しているパン
でございました。パン食って歯が欠けたのはモザンビークだけですよ。
そんなレベルだろうよ。
もちろん中国人のやり方が絶対正解とは思いませんけど、ただ排斥するだけでは問題は解決しないでしょーね。
なんでこんなニュースを取り上げたか?と言うと・・・
反中感情が高まると、日本人 in マラウィもとばっちりを受ける可能性が大だから。
彼らに中国人と日本人の区別なんて出来やしないですから。
ザンビア人に「あんたマラウィ人?」と言うとキレられるのと一緒ですけど。