去年くらいかな?
店の前に英語と中国語で「満席」と張り紙をして、その下に小さな日本語で「この日本語が読める方は、ご入店くださいませ」と書いて炎上した京都のバーがあった。
スマホのカメラをかざせば一瞬で翻訳してくれる時代に、“ストレート”な一文を載せちゃったから炎上したのであって、もう少し高度な発展を見せてくれるのか?と期待していたのだが…
なんだか中途半端に炎上しただけで終わってしまった。
あの張り紙自体は、非常に巧妙で際どいやり方をしている。
人種でフィルタリングをするわけでもなく、「これが読めたら入店していいよ」と“日本語”で書いていて、「日本語を話せない人は入ってくるな」と直接的に書いているわけではない。
実は、この件はタイでも話題になっていた。
タイは外国人料金があって、寺とかで「チケット売り場はこちら」と外国語で看板が立っていたりする。
でも、その上にはタイ語で「タイ人は無料」と書いている。
翻訳カメラを使えば、一瞬でバレるこの時代。
語音転換(スプーナリズム)を使って、翻訳カメラを欺く一文にしよう!というネタ。

上は、คนไทย(เข้า)ฟรี(コンタイ・(カオ)・フリー)で「タイ人は入場無料」。
下は、คนทรีเข้าไฟ(コントゥリー・カオ・ファイ)で「3人が火に入る」。
タイ(ไทย)とフリー(ฟรี)の母音を入れ替えて、別の意味にしちゃうと。
こんな感じで、日本でも言葉遊びに発展していくかと思ってたら、まったく何の発展もないまま時間が過ぎた。
日本語でも語音転換(スプーナリズム)出来るみたいだが、英語やタイ語と違って音のかたまりが違うらしく、オレも色々考えてみたのだが難しい。
翻訳カメラを欺きながらも、ネイティブには通じるってかなり大変。
散々考えた挙句…
日本人はどうぞ → 二本ジンは銅像
ジンはジントニックのジンね。
翻訳カメラも「てにをは」の翻訳精度はまだまだ甘いから、「Two Gin statues」で“二本のジンの銅像”になって意味不明。
中国人が漢字で意味を読み取ろうとしても不可能。
ネイティブが声に出して読めば「二本ジンは銅像」→「にほんじんはどうぞう」→「日本人はどうぞ」になる。
ただ…これは語音転換ってより、ただのダジャレなんだよなぁ~
同音・近音を使った置き換え。
ただ「日本人はどうぞ」にすると、差別になる。
かと言って、阿藤快と加藤あいくらい語音転換しちゃったら、翻訳カメラだけじゃなくネイティブすら欺かれてしまう。
加藤あいです!って言われて、阿藤快が出てくるようなもんだ。日本語ネイティブでも「騙された!」って怒る。
厳密には語音転換ではなさそうだが、マンガ『鉄コン筋クリート』は素晴らしい。これは“鉄筋コンクリート”が一塊の言葉で認知されてるから効くし、筋(きん)とコン(こん)の入れ替えだからリズムが変わらずネイティブには通じる。
ネイティブ“だけ”には意味が通じるようにするには、日本語の場合は結局ダジャレが一番良い気がする。
かつ、人種には触れない。
そうなるとシンプルに…英語と中国語で「満席」って書いて、その下に
相手〼
と書くとか?
「相手〼」→「あいてます」→「空いてます」
翻訳カメラを使われても「相手」は「Partner(パートナー)」とか「Opponent(競争相手)」としか訳されないから意味は通じない。
翻訳カメラも優秀だから、多少の誤字・脱字と判定されると自動修正してほぼ正確に訳しちゃったりするから…
既存の別語に入れ替えてしまうことで、堂々と翻訳させてあげるのが一番。
長文は、ネイティブにすら意図が伝わらなくなるから、かなり難しい。
結局、短文でダジャレが一番。
オレの脳では「二本ジンは銅像」と「相手〼」が限界だったので、AIに考えさせてみた。
京都のバーの張り紙に書いてあったのは「この日本語が読める方は、ご入店くださいませ」らしいが、「これが読める人は、入ってください」でも主旨は同じだろう。
AIが出してきたパターンがこちら。
【型A:ペア交差(となり同士の語頭1拍を入れ替える)】
・よれがこめる人は、入ってください。
【型B:輪回し(文全体で語頭1拍を右隣へ回す)】
・くれが こめる よとは ひいって はださい。
【型C:語群限定スワップ(読み筋を保つため、狙った箇所だけ崩す)】
・よれが こめる 人は、おはいりください。
【型D:促音・撥音ブースト(っ/ん をまたいで受け渡し)】
・これが読めるはとは ひいって、ください。
ただ「入ってください」や「おはいりください」がそのまま残っていると「please come in」と訳されてしまって、入って来ちゃう。
「please come in」とは訳させないように、「入ってください」や「おはいりください」は絶対に崩さないといけない。
かと言って、「これが読めるはとは ひいって、ください」を翻訳カメラは補正をかけて「If you can read this, please let me know(もしこれを読むことができたら、私に知らせてください)」と訳した。
「知らせてください」って言われたら、入ってきちゃうだろ。
翻訳ソフトの補正・連想・復元機能もレベルが高いからな…
ということで、改めて考えさせたAI案がこちら。
・これが よめる 人は、くいって はださい。
・くれが こめる 人は、よいって はださい。
・よれが これる 人は、くいって はださい。
・これが よめる くとは、ひいって はださい。
「これが読める(If you can read this)」は訳されても困らないわけだから、後半さえ訳させなきゃ目的は達成する。
ただ…バーって1軒目に行かないわけで。
2軒目以降で、それなりに酒が入った状態で「くれが こめる 人は、よいって はださい」という張り紙を読んで、頭が回るか?というのは疑問。
オレなら…全然意味わからんけど、とりあえず入ってみよう!と入る。
そもそも張り紙なんか気にしないかもしれん。
最後に、「スプーナリズムにこだわらなくてもいい」と縛りを解除して、好きな手法で翻訳ソフトと戦う一文を考えてもらった。
そしたら、こんなやつを出してきた。
は っきり読めた方、
い そがず静かに、
れ んらく不要です。
おぉ~、縦読みを使って「はいれ」という手もあったか!!しかも訳されても優しい文!!
他には…
読めた方は 810
下に「8=は/1=い/0=れ」と脚注を書いても翻訳ソフトは訳せない、と。
おぉ~、これはシンプルでいいかもな。
オレの考えた二本ジンは銅像より良い。

