こちら、ナゴルノ・カラバフのシューシャ(シューシ)周辺の景色。
シューシャがサファヴィー朝の流れをくむカラバフ・ハン国の首都だった時代の要塞遺跡の上から北側を撮った写真。
手前に4~5軒ほどある建物の周りで瓦礫化しているのがミルザ・ハサン墓地で、荒れ放題になったままのアゼルバイジャン人墓地。
2020年の戦争でアゼルバイジャンが28年ぶりに奪還した町だが、ナゴルノ・カラバフ(自称アルツァフ共和国)の“首都”ステパナケルトはアゼルバイジャン軍の手に落ちる前に停戦合意。
停戦で、シューシャはアゼルバイジャン支配下、ステパナケルトは支配が及ばない結果になったということを踏まえて、さっきの写真を拡大すると…
丘の先の盆地になっているところに少し見えているのがステパナケルト。
シューシャとステパナケルトって、けっこう目と鼻の先なのだ。
どうやら丘もアゼルバイジャンが支配下に置いたっぽいので、ステパナケルトはアゼルバイジャン軍に見下ろされる状態で停戦になったと。丘の上に砲台でも並べられたら、プレッシャーが半端ねーだろうな。
あと丘の中腹を走っているのはアルメニア本国とステパナケルトを結ぶ幹線道路。ここが(アルメニア側からすれば)通れなくなったので、新たに迂回道路を建設しないといけなくなった。
シューシャとステパナケルトの位置関係を改めて写真で見ると「へぇ~」って感じ。
距離にして10kmくらいのステパナケルトとシューシャをマルシュルートカに乗って簡単に行けたのも、もはや過去の話。今はステパナケルトはアルメニア側、シューシャはアゼルバイジャン側からしか行けないだろうから恐ろしく遠い10kmになってしまった。
一方、こちらはソマリランドのベルベラで撮った商店の写真だが、何かがおかしい。
分かりにくいので拡大すると…
本当はCold Drinkにしたかったのだろうが、なぜかDrankと過去形にしちゃった。
本当はMoney Exchangeにしたかったのだろうが、Moye Exgange(モイェ・エクスギャンジ)という謎の言葉にしちゃった。もはやソマリ語ですらないオリジナル単語。
でも大丈夫! そんな時のためにかどうかは分からないが絵が描いてある!
ソマリ語が分からなくても、そこが何の店なのか?壁を見ただけで分かるのがソマリランドのいいところ。
絵自体は恐ろしいが、歯医者と一発で分かる。
Cosmatics Stereo(コスマティクス・ステレオ)という謎の英語っぽい言葉が書いてある店。スペルを間違えただけで、本当はCosmetics(化粧品)なんだろうなと想像はつくものの…そうだとしても化粧品ステレオは意味が分からん。
でも絵が描いてあるので大丈夫! ここはシャンプーとか石鹸とか売ってる商店だ。
ロイター通信の記事『Drawing in the customers in Mogadishu』の写真を見ると、モガディシュも同じようだからソマリア全土で一緒なのかも。
絵の上手い下手を別にすれば、これが実はすごくいい。
現地の言葉を読めない外国人旅行者からすると、言語以外の色々な視覚的情報を無意識に収集して判断をしているわけで…日本もインバウンドに力を入れるんだったら、こういう発想も参考にした方がいいと思う。
ぶっちゃけ「英語も併記して…」とかじゃなくてやりようはあると。ソマリランドが良い例で、何か英語っぽいことが書いてあってもどうせ意味が分からないので最初から読もうとしなくなって代わりに絵を見る。
前も書いたと思うけど、バルト三国のリトアニアの首都ビリニュス旧市街も分かりやすかった。
世界遺産でもあるビリニュス旧市街は(他のヨーロッパの町並みもそうだけど)石造りの家が並んでいる上にパッと見で外観からは何の店か分かりづらい。でも(全部ではないが)多くのお店に営業時間の看板が掲げられていて、これを見ただけで何屋さんか分かるし、営業時間も分かりやすい。写真は靴屋さんで、土曜日は9時から15時営業で日曜日はお休み。
メガネ・コンタクトのお店は土曜日は目が半開きで日曜日はお休み。
言葉以外の方法で伝えるという点では、外国人旅行者にとってはものすごく親切でいいアイデア。町全体でこういう取り組みをしてたら旅行しやすいもんだ。
そういう意味では実はソマリランドもユニバーサルデザインを採用していたと。