嫁と2人で横浜寿町をお散歩していた時、こんな話になった。
「あれ?思ってたのと違って全然大したことねーな!
この感じだと、今のあいりん地区も大したことないかも?」
すると嫁が……
「大阪をナメんなよ!」
いや、ドヤ街で張り合う意味がわからない。
「ちょうど週末に親戚の法要で大阪に行くけど、一緒に行く?
私が法要の間、あいりん地区を散歩してきたらいいじゃない」
ということで、親戚の法要という大義名分を得たオレはわざわざ新幹線に乗って大阪に行った。
だから、「何しに大阪に来たの?」と問われれば「いやぁ、親戚の法要があって…」と答えたが、オレは法要には出ていない。
ちょうど法事の時間帯に、飛田新地をウロウロしていた。
ある意味、飛田新地から祈りを捧げていたとも言える。
結果的には、お散歩のためだけに往復3万円も払って大阪に行ったと言われても致し方ない。
実際そうなのだから。
くそっ!!お散歩する時の交通費は片道300円以内と決めているのに、うっかり新幹線に乗ってしまった!!
1人だったら試しにあいりんのドヤに泊まってみてもよかったのだが、親戚の法要という大義名分があったおかげでちゃんとしたホテルに泊まらせてもらった。
でも、今でもドヤ的なとこに泊まれるかな?オレ自身が。
シャワーカーテンとか、ソケット変換アダプターがなくても泊まれるかな?
ベッドに謎虫(ダニか南京虫か忘れた)がいる地域は、刺されると大変なことになるのでベッドの上にビニール製のシャワーカーテンを敷いて寝ていた。
部屋にコンセントが付いていないから、電球を外してソケットから電気を取っていた。ソケット→ソケット&コンセントの2股アダプターはけっこう便利。
もうそんなグッズは持っていないが、なくてもドヤ街に泊まれるかな?
ヤニ臭くなければ、独房くらい狭くても気にならん。
大阪の夜は、バンコク時代からの旧友とサシで飲みに行った。
どうやら、オレが飛田新地に行ったと聞いて体験談を楽しみにしていたらしいのだが……
「え?歩き回っただけ?中に入ってないの?!
おまえも変わっちゃったな……昔なら突撃してるでしょ?」
いやいや、外から中が見えない怪しさなら突撃するが、飛田新地の場合はオープンな状態の玄関にお運びさんが座ってるから、中に入る=セックス確定でぜんぜん余白がない。
しかも、15分11,000円ですよ?
なんで本来の主目的であるセックスをしないのに、11,000円も払ってお運びさんと15分間おしゃべりしないといけないのだ?
大体、しゃべることが思い当たらない。
どうですか?最近、ナフサ足りてます?
とか?
15分が永遠に感じそう。
ぜんぜん“ちょんの間”(ちょっとの間、ちょいの間の意)じゃない。
そもそも、女の子は客とムダにコミュニケーションとらなくても大金が稼げるから飛田新地で働いてるんじゃねーの?
北新地でキャバ嬢やったところで、金をむしり取るためには客それぞれに合わせたコミュニケーションをとらなくちゃいけなくて面倒くさい。
だったら、寝転がって股広げて「来いよ!」ってチャチャッと時短で肉弾戦するだけの方が楽っちゃ楽って嬢もいるだろうから。
客とのコミュ不要で、回転率重視だろ、あそこは。
そういうところに行って、ダラダラと時間を潰そうと「ナフサ足りてます?」などと意味のない質問してくる客ってしんど過ぎません?
もっと言えば、それだけのために11,000円も払うオレの方がしんど過ぎません?
そこまでナフサ問題に興味もないし、「ぜんぜん足りてない!」とか言われても「へー」くらいしか返してあげられん。
金を出してくれるなら店に上がって嬢とナフサ問題を話し合ってきてもいいけど⋯⋯そのために金を使うくらいなら自分で行けば?という話。
そして、話は我が家のことに。
どうやら、我が家は謎過ぎるらしい。夫婦揃って大阪に来るくせに完全別行動で、仲が良いのか悪いのかわからん、と。
まず、オレは嫁の勤め先を知らない。
上手い言い方がわからないが……
まったくもって興味がない!!
どこで働いてるか?とか、いくら貰ってるか?とか、オレには全く関係のない話なので微塵の興味もない。
隠しているとかではなく、オレが知ろうとする気ゼロなだけ。
会社名も連絡先も知らない。
今の会社は場所だけは把握しているが、その前の会社はどこにあるかも分かってなかった。たぶん三田線沿線だと思うが、あまり自信がない。
当然、家計は完全に別である。
家賃や光熱費、食費は折半して、オレが嫁の銀行口座に振り込む。
相手の給料も貯金額も知らない。
知りたいと思ったことがないので、聞いたことも聞かれたこともない。
交友関係も知る必要がないので、知らない。
お互い不干渉だが、ケンカもしないし、昔からずーっと同じ感じ。
だから、いつものように、いつもの感じで一緒に大阪に行った。
嫁は親戚の法要、オレは飛田新地とあいりん地区をお散歩。
きっと法事中であろう嫁に、飛田新地の写真を送ってやった。

