トロフィーハンティング【4】

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過去から振り返る流れ

その昔、アフリカ大陸を”発見”したヨーロッパ人たちが野生動物を競って殺しまくりました。

アフリカゾウを1000頭狩ったと豪語するハンターもいたようで。

ちなみに、ケープ植民地では先住民サンも人間ではなく動物扱いだったのでハンティングの対象でした。

「あれ、動物が減ってね?」

殺しまくった挙句、途中で事の重大さに気が付いたヨーロッパ列強たちは、『自然保護』という概念が誕生した影響もあって1900年に条約を結びアフリカに動物保護区をつくることに。

「これからは自然保護の時代だぜっ!」

その土地に住んでいた現地人を強制的に排除して「今日からここは保護区だ!」と”野生の王国”を設置。

ハンターたちは「我々ヨーロッパ人のような節度あるハンターと違って、銃を持ったニガーたちが節操なく狩ったせいで動物が減った!」と、アフリカ人のせいにしました。

設置された保護区はGame Reserve(ゲームリザーブ)。ゲーム(=ハンティング)のために野生動物をリザーブしようと。

それまで狩りで食糧を得ていた狩猟民族たちも、今まで通りの生活をしようものなら密猟扱いに。

密猟者は見つけ次第射殺し、村に怪しい奴がいたら拷問にかけて殺しちゃってもしょうがない。すべて自然を保護するためです。

植民地支配からの独立後も、このスタイルは継承されました。

1980年代、極東の日本とかいう国が成金パワーで象牙を沢山欲しがるようになって世界最大の象牙輸入国(世界市場の4割を我が物)に。

「じゃんじゃん象牙くれぃ!」

1970〜80年代の20年間に、日本が輸入した象牙はゾウ25万頭分にあたる5000トン。

「我々日本人は品質にこだわるから、マルミミゾウの象牙がいい!」

象牙の中でも種にこだわったのは日本人くらいらしいが、アフリカゾウの中でも元々がサバンナゾウよりも数が少ない中央アフリカに生息するマルミミゾウが日本人に大人気。

結果、象牙目的の密猟が激増。最悪なのが罠で行う密猟で、ゾウ以外の動物も多くの被害に。

買う側の日本人は自然抜歯みたいにゾウを殺さずとも簡単に牙が取れるとお花畑な考えだったのかは知らんが、推定ではこの時期に大陸のアフリカゾウは半減したとも言われる。色んな意味で「世界が驚いたニッポン!スゴ〜イデスネ!」

レンジャーを増やしても「日本が象牙を爆買いしてるから、じゃんじゃん殺そうぜ!」と密猟者がわんさか集まる。

そんな要塞型の保全には莫大なコストがかかるくせに、野生動物のために”怪しいと思っただけ”の住民をボコったり殺したりするのは人権的にどうなのか?と欧米が非難してくる始末!

「これからは人権の時代だぜっ!」

1990年頃を境にして、住民排除の要塞型から住民参加型の保全が主流に。

↓今ここ↓

トロフィーハンティングや、人間と動物の紛争で動物が死ぬと、欧米や日本からは・・・

「これからは動物の権利の時代だぜっ!」

野蛮で粗野なアフリカ人に動物愛護の気持ちを教育してやらないと。なぜなら、いつの時代も常にお前らより”先進的”なオレ様たちだから。

象牙が沢山欲しいからじゃんじゃんゾウを殺させて半減させた元凶である日本が、急に「人間の身勝手で野生動物の命が奪われるなんて可哀想・・・命の尊さは人間も野生動物も同じ!」とか言い出す始末。おいおい、急にどした?みたいな。ゾウ殺してハンコとかいう東洋の意味不明のやつを作ってた人たちがどした?みたいな。

とりあえず時代のせいにすれば、先進的ではあり続けられるしな。

そんな”常に先進的な外国”に翻弄され続けてきた歴史を踏まえると・・・非難された時のアフリカ側のリアクションも理解しやすい。

結局のところ、トロフィーハンティングもアフリカが『欧米人』の趣味の舞台になっているという点では昔も今も翻弄され続けているという点では変わっていないんだけど。

移動させる案

さてさて・・・

南部アフリカで野生動物が増え過ぎたからと言ってトロフィーハンティングするなんて酷い! 数が減っているところに移動させればいいのに。

的な意見もある。

まぁ、ある程度は再導入できるとこでは既にやってる話ではあるんだけど。

ウガンダとか1982年にサイは絶滅してるけど、ケニアから再導入してる。

ただ、そもそも数が減ってるところってそれだけの理由があるわけで。

腐敗して管理能力も低く、数が減ってしまう理由がそれなりにある環境に連れて行くことが正解なのか?という。

南スーダンで内戦がはじまる前とその後で、ゾウは半減、サイは全滅したとされる。(そもそも調査できていないので確定ではないと思うけど)

政府軍は内戦のための武器購入費に850億円を使って、現金がないので兵士に充分な給料を払えていない。

反政府勢力もまたしかりで、兵士は「腹減ったー!」と密猟に走る。

国立公園のレンジャーも、相手が政府軍とか反政府軍になると大変なようで。政府軍の兵士19人を密猟で逮捕したりと頑張ってはいるようだけど、かなり危機的な状況らしい。

じゃあ減ってるから、南部アフリカから連れて行く? ムリでしょ。

あと・・・絶滅して久しいところなどすでに生態系が変わってしまっている場合もあり、その“今の”生態系を考えて再導入が正解なのか?ってこともあるようで。

キャンドハンティング

最後に・・・

政情も比較的安定していて、管理能力も他のアフリカの地域よりかは高いとされる南部アフリカで行われているトロフィーハンティングは野生動物の保全に役立っている・・・という意見もある中でこんな事実もある。

全体数が減っているライオンだが、数が増えている国もある。

南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、ジンバブエの南部アフリカ4カ国(ICUN)。

南アフリカの”新自由主義的”なライオンの増やし方の一因にこんなのがある。

キャンドハンティング

民間業者が所有する飼育場が全国に200あり、約8000頭の動物が飼育されている。

そのうちライオンは約1000頭。

もう野生ですらない。

繁殖させ・・・成長させ・・・そしてハンティングする。

ハンティングする瞬間に外に出してサファリ感を演出したりする。

または、檻の中に閉じ込められた状態のライオンを狩るパターンもあるそうだ。

オンラインで遠隔操作できる銃を檻内に設置して、海外からワンクリックで引き金をひきライオンを殺す。

こうして最終的には殺すために民間業者は一生懸命に増やす。

ちなみにこれも合法だ。

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