もうあの人のことは忘れかけていた。
嫌いになった、とかそういうことではない。
過ぎ去ってしまったことにしがみ付いていても仕方がない、前を向いて生きて行こう・・・
そう思って忘れかけていたのだ。
なのに、今日ポストに手紙が入っていた。
「今さら・・・何だろう?」
まさか、よりを戻したいとか?
そんな期待は微塵も抱かなかったが、手紙を見た瞬間かすかにある種の期待を抱いたのは事実だ。
「あの決断は間違いでした。やっぱりあなたのことが・・・」
とか、そんな後悔でも書かれているのだろうか。
オレは待っていたのに、オレを選ばなかった。
それなのに、今さら手紙?!
忘れかけていたことを蒸し返されたら、ついつい期待を抱いてしまうのが性だろう。
やっぱりオレの方がいいってことに気付いたか?
部屋で正座をして手紙を眺めてみる。
ドバイからのエアメールであった。
ちょっとだけ期待を抱きつつ、封を切った。
当選者:カラナカラ・ラマンナ・シェティー
国籍:インド
また、おまえかっ!!
カラナカラ・ラマンナ・シェティー!!
・・・忘れかけていたのに!!
ちょっとだけ期待したオレの心を踏みにじる、ただの嫌がらせ!!
わざわざ手紙で、嬉しそうに100万ドルを受け取るカラナカラ・ラマンナ・シェティーの写真など送ってくんじゃねーよ!!
追い打ちをかけられたようで、ちょっとだけ不快な気分になったのでした。
なんの話か分からない方は、過去の日記『絶望の淵』をどうぞ。